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「大駒」の移動・入厩が続く(須田鷹雄)

  • 2015年09月08日(火) 18時00分


◆「なにも悪いところはないが、タイプとして夏を越してから」という馬に妙味が生まれつつある

 各地のドラフトで上位を賑わせた馬たちがデビューに備えて入厩し、いよいよシーズン本格化のムードが漂っている。

 この世代のセレクトセール当歳セッション最高価格馬である母アゼリはまだ入っていないが、秒読みというところ。2位のサトノダイヤモンドは8月末に一回入厩した。当歳セッションの高馬ではキングオブアームズが入っているし、1歳セッション組ではミュゼモーゼスが再入厩を果たした。

 クラブの高馬ではリライアブルエースがゲート試験合格後、しがらきで待機。ハートレーとケイブルグラムは美浦に入った。いよいよ役者が揃いつつある、という印象だ。

 これらとは別に、個人的にいちばん期待しているのはマウントロブソンだ。春の取材時に「早くにデビューすることはない」と聞いていたので敢えて赤本でも推し、個人のPOGでも指名した。

 最近は2歳馬の動きだしが早いことに加えてPOG媒体が発達しすぎて、春の時点で移動やデビューが具体的に見えている馬は過剰人気になりがちだ。その裏で、「なにも悪いところはないが、タイプとして夏を越してから」という馬に妙味が生まれつつある。その典型例だと期待しているのがマウントロブソンというわけだ。実際にはこの馬とて6月に一回入っているわけで、前倒しの流れは昔に比べるとかなり強い。

 余談だが、最近は取材を受ける牧場のスタッフが「これPOG向きだよ」と特定の馬を教えてくれることもある。ただそういう馬は早くに勝ち上がるものの、後が続かないことも多いように思う。どちらかというと昔の速攻タイプに近いイメージで、牧場側もそれゆえ推してくれるのだろうが、いまの時代、未来のクラシック馬も平気で6月7月にデビューしてくる。もはやPOGで取るべき存在はそちらや秋デビュー組に移っており、昔の「とりあえず山内厩舎とっとこう」的なノリで指名する類の早期デビュー馬には、期間トータルのポイントを期待しにくくなってきている。

 POGも技術だけでは勝てなくなりつつある時代。結局のところ、いまごろ入厩し、10月頃にデビューする「大駒」の評価にすべてがかかっているのだと思う。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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