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ホッカイドウ競馬、好調

  • 2015年09月09日(水) 18時00分
札幌2歳ステークスのパドック

多くのファンが押し寄せた札幌2歳Sのパドック


2〜3週程度でも、ホッカイドウ競馬を札幌競馬場で開催できないものか

 地元紙によれば、9月2日、門別競馬場にて「第1回北海道地方競馬運営委員会」が開催され、その席で主催者より、現時点におけるホッカイドウ競馬の馬券発売状況が明らかにされたという。それによると、4月23日より9月1日までの48日間で、発売金額が計画比12.7%増、前年比10.1%増の100億3256万円に達しており、ひじょうに好調に推移していることが示されたとのこと。

 このところ各地の地方競馬は、ホッカイドウ競馬に限らず売り上げが伸びており、これは主としてインターネット発売によるところが大きい。自助努力の結果というよりも、いわば発売システムの改良、発達に伴い、道外客によって売り上げが支えられているわけだが、長らく売り上げ減少に苦しんできたことを思えば、何を措いても喜ばしいこと。この勢いを保ち、オーラスの日まで順調に開催を消化できるように願うばかりだ。

ホッカイドウ競馬から参戦したリッジマン

札幌2歳Sに出走したホッカイドウ競馬所属のリッジマン



 一方、中央競馬の北海道シリーズは、先週(9月6日)で終わり、また来年6月の函館まで当分おあずけとなる。昨年、札幌競馬場は、リニューアルオープンしたこともあり、7週14日間の開催であった。しかし、今年になりまた2012年(2013年は工事のため開催せず)当時の開催日数に戻り、6週12日間に短縮されてしまった。

 その結果、以前は10月初めまで実施されていた中央札幌開催が、このところ9月初めには姿を消してしまうことになり、道内の競馬ファンを落胆させている。最終週の5日(土)と6日(日)はそれぞれ名残を惜しむかのように札幌競馬場はかなりの賑わいであった。

 10月になってしまうとさすがに厳しいものの、9月ならばまだ十二分に戸外で競馬を楽しめる季節だ。とりわけ北海道の場合は、9月というと爽やかな気候に秋の味覚も味わえる月である。暑くもなく寒くもなく、何をするにも快適な月である。

 現状では厳しいだろうとは思うが、中央開催のなくなった9月中旬〜下旬あたりに、2〜3週程度、ホッカイドウ競馬を札幌競馬場で開催できないものか。札幌2歳ステークスの日に札幌競馬場にいて、土曜日ながらこんなに大勢のファンが集まっているのかとひじょうに驚かされた。しかし、それ以上に、6日の最終日には実に3万7千人が詰めかけたという。180万都市札幌だからこその入場人員数だとはいえ、せっかくの良い季節にこの立派な競馬場が活用されないまま来年まで長い休みに入るのは本当にもったいない気がする。「場外施設として利用している」と反論されるだろうが、場外は所詮場外、生の競馬を目の前で見られる魅力には到底及ばない。

 もちろん生の競馬は、道内でも引き続き門別と帯広で開催しているが、とりわけ門別の場合は、今に始まったことではないものの、如何せん交通アクセスが悪く、周辺人口が少ないために、本場の入場者がいつも限られている。重賞のない普通の開催日では、概ね400人台〜600人台の入場者しかいない。空いていてゆったり観戦でき快適だとは思うが、それよりも、活気のない寂しい光景に映ってしまう。主開催を門別競馬場で実施することに変わりはなくとも、9月中旬以降の札幌競馬場をどうにかして有効利用できないものか。

札幌2歳Sゴール前

2頭の激しい叩き合いとなった札幌2歳Sのゴール前



 もちろん借りるとなれば賃貸料も捻出しなければならず、そのコストに見合う売り上げが果たして期待できるのかという問題になってくる。門別トレセンからの輸送の問題もあるだろう。検疫、発売体制など問題山積だが、個人的には、このまま門別開催だけにこだわっていても、新たなホッカイドウ競馬ファンの開拓はかなり難しいような気がしている。

 その点、大都市札幌にはまだ潜在的需要があるように思えてならない。今後、さらに売り上げが増えそうな気配がでてきた暁には、ぜひ札幌進出を検討していただきたい。

 余談だが、有力馬主の中には、日高で10月に開催しているオータムセールをぜひ札幌競馬場で開催してはどうか、という意見もあるという。その裏には、日高(新ひだか町静内)までの交通アクセスの悪さと宿泊施設不足が大きな理由としてあるらしい。

 こうした生の声には大きな説得力を感じる。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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