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特別と同等のS2重賞(佐賀)

  • 2015年09月25日(金) 18時00分


◆佐賀のS2重賞は準重賞か特別に改めるべき

 しばらく触れてなかった佐賀の“S2重賞”について、気になってしょうがないことがあったので、またかと思われるかもしれないが、あらためて触れてみたい。

 佐賀で、以前までの重賞をS1重賞とし、条件的にも賞金的にも特別戦とほとんど変わらないS2重賞を乱発するようになって今年で3年目。年間の重賞日程を見ると、「第3回」という重賞が数えるのもいやになるほどたくさんあり、「第2回」という重賞もそれなりの数があることで、一昨年度、昨年度に数多くのS2重賞が新設されたことがわかる。

 3歳のS2重賞に関してはレース名や距離などにほとんど変更がないのでまだいいのだが、3歳以上のS2重賞に関しては、昨年度と今年度の重賞を比較すると、その多くで条件などが変わっている。開催日については、カレンダーや日程の都合もあるので少しずれるのはいいとして、たとえば今年9月に行われるS2重賞だけを見ても、以下のとおり(矢印の左が昨年、右が今年の条件)。

 大淀川賞 A2級/1750m → A1・A2級/1400m
 雷山賞 A1級/2000m →A1・A2級/1400m
 長月賞 B級/1400m → B級/1750m

 9月の3レースだけを見てもこうした具合だ。特に雷山賞は、昨年は10月19日に九州大賞典ステップとして行われたものが、今年は1カ月繰り上げての9月19日、距離は1400mとなって単なるS2重賞となった。ちなみに昨年はこの雷山賞と玄界灘賞が九州大賞典ステップだったのが、今年は玄界灘賞だけになっている。

 たしかに年月の経過とともに競馬を取り巻く状況が変わるので、伝統の重賞でも距離や条件が変わることはあるが、佐賀のS2重賞は、そのときどきの番組の都合で条件を決めているとしか思えない。

 ただ今年度、進歩したと思われることがないわけではない。昨年まで開催ごとにA1級とA2級で別々にレースを組んでいたものが、今年度はA1・A2級の混合として2レース組み、一方を1400m、もう一方を1750mもしくは1800mとして、1開催の中で距離にバラエティを持たせていること。昨年度のA1級またはA2級の多くが、今年度はA1・A2級となっているのはこのため。しかし、それにしても同じレース名での距離設定がめちゃくちゃだ。

 しかも、A1・A2級を2レース設定して距離を違うものにしたといっても、一開催の中でそのひとつは重賞、もう一方は特別となっていて、しかし1着賞金は重賞が85万円、特別は80万円。看板に重賞か特別かを掲げるだけで、その中身にほとんど差はない。これでは重賞の体系などあったものではない。

 それでさらに気づいたのが、さがけいばのウェブサイトの「レース情報」のところに、昨年度まではなかったと思われる「重賞競走レース体系」というページができていたこと。

 http://www.sagakeiba.net/race/roadmap2015.html

 S2重賞をどう体系化しているのだろうと思ったのだが、体系化されているのはS1重賞だけ。これではそもそも主催者が重賞はS1だけと認めているようなもの。

 体系図の中には、(ステップ)や(トライアル)としていくつかS2重賞が入っているが、むしろ「特別」や「特選」のほうが多い。つまり、賞金的にも、立ち位置的にも、S2重賞と特別は同じ扱いなのだ。

 かねてから書いているように、佐賀のS2重賞は、「重賞」とするにはそもそも数が多いし、記録に「重賞」として残してしまうには、後々に混乱が大きいことは間違いない。そうしたことからも、佐賀のS2重賞は準重賞か特別に改めるべきだ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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