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メルボルンCを占う意味でも重要な一戦となるコーフィールドC展望

  • 2015年10月14日(水) 12時00分


アドマイヤラクティより「上」もベストは2マイルという評価のフェイムゲーム

 北半球の競馬がシーズンのクライマックスを迎えている一方、南半球では本格的な春競馬の季節を迎えている。

 今週土曜日(17日)に、オーストラリアのコーフィールド競馬場で行われるG1コーフィールドC(芝2400m)も、メルボルンにおけるスプリング・カーニヴァルの中核をなす一戦で、ましてや日本調教馬2頭が出走するとあって、日本の競馬ファンにとっても見逃せないレースであることは間違いない。スプリング・カーニヴァルには海外から多くの遠征馬がある中、フェイムゲーム(牡5)とホッコーブレーヴ(牡7)の2頭は、外国馬の先陣を切る形で9月19日の夜に現地に到着。以降、ウェリビー競馬場を拠点に調整を進められている。

 13日朝の段階で、ブックメーカー各社がいずれも4倍台のオッズを掲げて1番人気に推しているのが、モンゴリアンカーン(牡4、父ホーリーローマンエンペラー)だ。

 3歳時の昨シーズン、G1ニュージーランドダービー(芝2400m)とG1オーストラリアンダービー(芝2400m)の2冠に輝いた同馬。今季緒戦のG1マカイビーディーヴァS(芝1600m)が7着、続くG1アンダーウッドS(芝1800m)が4着、そして10月10日のG1コーフィールドS(芝2000m)がクライテリオンの3着と、じわじわと調子を上げてきている。実を言えば、コーフィールドSの前の段階で、コーフィールドCの前売りにおける同馬の人気はオッズ13倍前後の4〜5番人気だったのだが、コーフィールドSを終えて俄かに人気が急上昇している。

 ラックスベットやラドブロークスがオッズ8倍で2番人気に推しているのを筆頭に、各社が軒並み上位人気に評価しているのが、フェイムゲームである。今年・昨年と連覇しているG3ダイヤモンドS(芝3400m)を含めて重賞を4勝しているのに加え、G1天皇賞・春(芝3200m)が僅差の2着という実績は、昨年のこのレースの勝ち馬アドマイヤラクティよりも「上」というのが現地メディアの見方だ。一方で、アドマイヤラクティにはG1ジャパンC4着という実績があり2400mも守備範囲と見られていたのに対し、フェイムゲームのベストは2マイル(3200m)というのが一般的な評価だ。12日(月曜日)に拠点の香港から豪州に飛んで追い切りに騎乗したザック・パートン騎手も「勝つ力は充分にある馬だが、2400mはこの馬には短い」とコメント。ここでは4番人気以下に留めているブックメーカーもいるのは、その辺りが要因と見られる。

 ホッコーブレーヴは、オッズ11〜17倍で5〜8番人気になっている。同馬のベストパフォーマンスは、勝ち馬フェノーメノから首+鼻の3着となった昨年のG1天皇賞・春で、そういう意味ではこの馬も、真の狙いは次走のG1メルボルンC(芝3200m)と見る向きが多いようだ。

 スポーツベットがオッズ8倍で2番人気に並べているのが、ホウラキ(セン4、父リセット)とセットスクエア(牝4、父リセット)である。3歳の夏を越してから急激に力をつけたのがホウラキで、ローズヒルのG2トゥーロックS(芝2000m)で重賞初制覇。続くG1オーストラリアンダービー(芝2400m)で2着となって3歳シーズンを終了。今季3戦目となった前走、10月3日にランドウィックで行われたG3クレイヴンプレート(芝2000m)が2着だった。ここは53キロという軽ハンデも買われる材料となっている。デビュー2戦目から3連勝で、フレミントンのG1クラウンオークス(芝2500m)を制したエリートがセットスウエアである。実はその後は6戦して未勝利なのだが、今季3戦目となった前走G1ターンブルS(芝2000m)では、牡馬相手に3着と健闘。この馬もまた、51キロという軽ハンデが魅力となっている。

 各社が13倍前後のオッズを掲げて5〜6番人気に推すのが、ライジングロマンス(牝5、父エクラー)だ。2年前のG1オーストラリアンオークス(芝2400m)勝ち馬で、同年のG1ニュージーランドダービー(芝2400m)で2着。そして、昨年のこのレースでアドマイヤラクティの2着となっている、男勝りの牝馬である。昨年と同じ斤量(53キロ)での出走で、昨年のレースを再現すれば、日本馬にとっては充分にマークが必要な1頭と言えそうだ。

 各社13〜17倍のオッズで5〜7番人気に推しているのが、コンプラセント(牡5、父オーソライズド)である。3歳時のG1ヴィクトリアダービー(芝2500m)2着馬で、靭帯の損傷で4歳シーズンを全休した後、今年9月に1年9か月ぶりにカムバック。復帰2戦目となったG2チェルムスフォードS(芝1600m)で久々の勝利を収めている。続くG2ヒルS(芝2000m)3着の後、前走10月3日にランドウィックで行われたG3クレイヴンプレート(芝2000m)で、復帰後2勝目を挙げており、本調子を取り戻したのであれば、ここで日本馬にとって最大の敵となるのは、実はこの馬ではないかと見ている。

 11月3日のG1メルボルンCを占う意味で、日本の競馬ファンの皆様にもぜひご注目いただきたい一戦である。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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