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第7回ジョッキーベイビーズ

  • 2015年10月14日(水) 18時00分
第7回ジョッキーベイビーズ

第7回ジョッキーベイビーズ


多くの観客から盛んな拍手と歓声を浴びた未来の騎手を夢見る子供たち



 10月11日(日)の東京競馬場。メインの毎日王冠の興奮冷めやらぬ中、最終12レースが終了した直後に第7回ジョッキーベイビーズ(以下JB)が行なわれ、未来の騎手を夢見る子供たちによって直線400mで迫力あるレースが展開された。既報の通り、好スタートを切った北海道代表の大池崚馬=りょうま君(栗姫、小4)が、後ろから迫る長野代表の津本柾=まさき君(レインボー、中1)に2馬身2分の1差をつけ先行逃げ切りでゴールイン。スタンドに居残った多くの観客から盛んな拍手と歓声を浴びた。

 この日の東京は朝方より降雨があり、馬場の悪化が懸念されたが、幸いにもお昼にはほぼ雨も上がり、午後には雲の切れ間から太陽光線が覗くところまで天候が回復。無事にレースが行なわれる運びとなった。

 優勝した大池崚馬君は、6人兄弟の4番目で、3人の兄姉たちもこれまでJBに出場してきた経験を持つ。しかし、3着が最高の成績でJB優勝は一家の悲願であった。4人目の代表としてようやく今回、1着となった。また北海道代表としては、第1回(ピースに騎乗した木村拓己君)以来となる二度目の栄冠をもたらした。

 夏以来全国7か所で予選が行なわれ、8人の選手が選ばれていた。北海道・大池崚馬君(小4)、東北・永野猛蔵君(中1)、関東・横山琉人君(中1)、関東・吉澤千風音=ちかねさん(中1)、長野・津本柾君(中1)、東海・吉田彩音産(中1)、関西・西浦秀馬君(中1)、九州・福元願=ねがう君(小6)の8人である。関東地区のみ2人で、他は1人ずつの代表だ。

 前日の土曜日午後2時。家族とともに競馬場入りした8人は、事務所2階の会議室にて説明会に臨み、続いて恒例の騎乗馬抽選会となった。北から順に、まずくじ引きの順番を決めるカードを引き、それによって決まった順にいよいよ馬名の記入された封筒を箱から順に引いて行く。その結果決まった騎乗馬は次の通り。

抽選会で栗姫を引いた大池崚馬君

抽選会で栗姫を引いた大池崚馬君



1.大池崚馬君
栗姫 牝7歳

2.永野猛蔵君
ゴット せん4歳

3.横山琉人君
ドリームスター せん9歳

4.吉澤千風音さん
ヒメ 牝6歳

5.津本 柾君
レインボー せん12歳

6.吉田彩音さん
エンベツクイーン 牝8歳

7.西浦秀馬君
オオタニハヤテ せん8歳

8.福元 願君
ジュニア せん3歳

 主催者より改めて確認されたのは1.ムチは使用しない、2.ガッツポーズは禁止する、3.安全第一にまっすぐ追う、という点であった。一昨年には落馬があり、手首を骨折した選手も出てしまったことから、とにかく事故のないように全馬無事にゴールすることが何より優先とのことであった。

 東京競馬場4コーナー奥には乗馬センターが併設されており、一昨年まではここでポニーと触れ合う場面が必ず用意されていたが、昨年と今年は、この乗馬センターが改修工事のため角馬場しか使用できず、騎乗馬のポニーたちは職員によってサラブレッドたちのいる厩舎から予め馬装をした状態で連れて来られた。前日の練習開始は午後4時を回っていた。

 角馬場で部班運動を行ない、最終レースが終わった直後にリハーサルのため本馬場入りした。今年の8人は全員が初参加であり、それぞれ初めての東京の芝コースを経験して興奮気味の表情であった。以前は本馬場をゴール地点まで試走するリハが行なわれていたのだが、一昨年あたりからスタート方法の確認が主で、100mほどキャンターで走ったところで馬を止める。ここで騎乗馬を御せないようなことがないように、と出場資格を小4以上にしたのである。

前日リハーサル

前日リハーサル(先頭は横山琉人君)



 約1時間で前日練習が無事終わった。

 翌日はいよいよ本番である。午後2時に集合した8人は着替えを済ませ、勝負服に身を包んで事務所から角馬場へと移動する。ファンエリアを抜けて行くので方々から視線が集まる。テレビカメラが何台もついて回り、8人を映し出す。徐々に緊張が高まってくる。

本番直前の練習風景

本番直前の練習風景



 角馬場に岡部幸雄さんが現れ、ゼッケンを手渡してみんなを激励してくれた。スタンドから毎日王冠の歓声が響いてくるが、8人にとってはそれも耳に入らないくらいだ。

ゼッケンを渡す岡部幸雄さん

ゼッケンを渡す岡部幸雄さん



 12レースの馬たちがドドドッと内側のダートコースをゴール方向に向かって駆け抜けて行く。これが終わるといよいよJBである。

 場内の大型ビジョンにJBの告知が映り、長谷川雄啓アナによって出場選手たちが1人ずつ紹介される。8人を先導するのはサザエさん。いよいよ本番である。

スタンド風景

多くのファンが残ってくれた発走直前のスタンド風景



 JBでは前年の優勝者がスターターを務める。今回は角田大和君が背広姿にソフト帽というファッションで登場し、台上から旗を振った。GIファンファーレが鳴り響くとスタンドは大きな歓声に包まれた。ほぼ揃ったスタートを切ってレースが始まったのは、午後4時46分であった。

 結果は冒頭で記したように、栗姫騎乗の大池崚馬君が1着。勝ちタイムは31秒8。2着はレインボー騎乗の津本柾君(2馬身2分の1)、3着にエンベツクイーン騎乗の吉田彩音さん(8馬身)。以下、吉澤千風音さんが4着、西浦秀馬君が5着という結果であった。

大池崚馬君

大池崚馬君が先頭でゴールイン



「将来の夢は」と鈴木淑子さんからマイクを向けられた大池君は「優勝できて嬉しい。兄や姉たちに、ボクは優勝したよ、と伝えたいです」と答えた。将来の夢は騎手になることだという。

大池崚馬君

将来の夢は騎手になることです、とインタビューに答える大池崚馬君



 また岡部幸雄さんによって、4着の吉澤千風音さんが敢闘賞に選ばれた。「走っていてとても気持ち良かったです。将来は競馬場で誘導馬乗ってオークスの誘導をしたいです」と語った。

 8人はレース後、検量室奥にある小部屋でパトロールフィルムを見ながら岡部さんの解説を受けた。レースを振り返っての思いはそれぞれあるだろうが、選ばれた8人だけが経験できるJBが、今後も全国にいる少年少女たちのあこがれの舞台であり続けていて欲しいと強く思う。
参加全員で記念撮影

表彰式後に参加者全員で記念撮影

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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