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【藤岡佑介騎手コラム(1)】「他の人馬を巻き込まなくて本当に良かった」

  • 2015年10月26日(月) 18時01分


自分の判断ミスが招いた事故


 初めまして。JRAジョッキーの藤岡佑介です。僕は現在、落馬事故の際に負ったケガにより、休養を余儀なくされています。

 有名なアスリートであれば、アクシデントが起きた状況や、ケガの度合い、復帰までの道のりなどが、ニュースとして取り上げられる事もあると思います。しかし、僕のようなプレイヤーの場合は、ケガをした事自体が大きなニュースになる事もなく、ましてや復帰までの道のりなどが取り上げられる事は、本当に稀だと思います。

 そんな中、今回はこのような形で、皆さんに、自分の事を知ってもらえるチャンスをいただけました。復帰までの期間、どんな生活をし、どんな事を考え、そしてどのような思いを持って、再びレースに臨んでいくのか。見守っていただければ幸いです。

ノンフィクションファイル

▲病室で落馬のことを振り返る藤岡佑介騎手


 まずは今回のケガの原因となった、8月29日の小倉競馬、最終レースで起きた、落馬事故の状況をお話しさせて下さい。

 この日、勝ち星の無かった僕は、1番チャンスがあると感じていた最終レースで、なんとか勝ちたいと、気合が入っていました。

 コンビを組んだダラニ号には、前走も同じ条件で騎乗していて、その時は外目をスムーズに廻ってきたものの、もう一押しが足りずに、小差の負け、というレース内容でした。ただ、懸念していた揉まれ弱さもみせず、非常に乗りやすい馬だったので、今回はロスの少ないレースで勝負しよう、と考えていました。

 レース本番。返し馬の感触も良く、スタートも決まったので、すぐに逃げ馬の後ろのポジションへ。早めに外に出す選択肢もありましたが、勝つためには“1つでも内に”と判断して、ラチ沿いでレースを進めました。

 勝負所の4コーナー。目の前の逃げ馬より、2番手の馬のほうが手応えが良く、2頭の間にはスペースができそうにない。逆に逃げていた馬は、少し外に逃げ気味だったので、ラチとの間にスペースができそうだと判断し、そこを狙っていました。

 そして、直線への立ち上がり、一瞬開いたと感じた最内のスペースに入ろうと、一気にゴーサインを出した時・・・。

 実際、追い抜くには十分でなかったスペースにとまどい、馬がブレーキをかけて、急減速。突っ込んでいくことに意識が向かっていた僕は馬上でバランスを崩し、斜め前方に投げ出される形で落馬しました。

 その際に、転がりながらラチの支柱にぶつかった衝撃によって、大腿骨を骨折。意識はハッキリしていたので、めちゃくちゃ痛かったですが、自分の判断ミスが招いた事故で、他の人馬を巻き込まなくて本当に良かったと、その時は意外と冷静に考えていたことを覚えています。

ノンフィクションファイル

▲手術前のレントゲン写真


ノンフィクションファイル

▲術後のレントゲン写真、ボルトできれいに固定されているのがわかる


 後日、落馬の様子をパトロールビデオで確認しましたが、かなり無理な進路取りをしてしまったと、改めて反省しました。勝ちたいという気持ちが、焦りを生んで、今回の事故を引き起こしてしまったんだと思います。

 常に危険と隣り合わせの職業なので、気を抜くという事はありませんが、ちょっとした気持ちの変化が、大きな事故に繋がってしまう事を、再認識しました。

 これから、復帰に向けて、ケガのリハビリはもちろんの事、メンタル面の強化にも取り組みたいと考えています。

菊花賞を見ていてヒヤッと…


 ここで、休んでいる間に見たGIで、思うところがあったので、少し書かせてもらいます。

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