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ジェイエス繁殖セール

  • 2015年10月28日(水) 18時00分
ジェイエス繁殖セール

ジェイエス繁殖セール


売却率は昨年より減少も売り上げ総額はセール史上最高額となった今年のジェイエス繁殖セール

 去る10月21日(水)、新ひだか町静内にある北海道市場を会場に、(株)ジェイエス主催による「繁殖馬セール」が開催された。このセールは国内唯一の繁殖馬を対象にした市場で、秋のこの時期と年が明けた1月の年二回開催されている。

 今年は、同セール史上最高となる224頭(受胎馬174頭、空胎馬50頭)が上場され、171頭(受胎馬134頭、空胎馬37頭)が落札された。売り上げ総額は昨年を1億8079万2000円上回る7億5843万円を記録。売り上げ総額もまた同セール史上、最高額となった。

 売却率は昨年より1.05%減少の76.34%だったが、平均価格は前年比68万4367円上回る443万5263円であった。

 全国各地より300人を超える関係者が来場し購買登録を行なった同セールは、午前10時半よりセリが開始されたが、例年にも増して活発な取引が続出し、価格がじわじわと小刻みに競り上がる上場馬が多く、1歳馬市場と比較すると全体的に時間を要するセールになった。1歳市場では今年より10万円単位のセリ上げが周知徹底され、そのこともあって進行がスムーズだったが、繁殖セールの場合は価格差が大きく、20万円、30万円といった価格帯での競り合いになるケースもあり、値付けが1万円単位の上場馬が少なくなかったことから、価格の割に落札されるまでの所要時間がかなり長かった印象だ。

 休憩なしのままセリは進行したが、最後の上場馬が落札されセリが終わったのは午後6時であった。この時期の午後6時はもう日が落ち、辺りは真っ暗になる。延々7時間半に及ぶ長い1日であった。

 最高価格馬は167番「ロイヤルバラード」(9歳黒鹿毛、父Elusive Quality、母Musical Chimes、母の父In Excess)の3456万円(税込)。アドマイヤムーンを受胎しており、最終種付け日は4月9日。同馬の母ミュージカルチャイムズはフランス1000ギニー優勝馬という名血。価格は100万円単位で見る見る間に競り上がり、3200万円まで上昇したところでハンマーが下ろされた。販売者はダーレー・ジャパン。落札は日高町のチャンピオンズファーム。

ロイヤルバラード

3456万円で取り引きされたロイヤルバラードの落札場面


ロイヤルバラード

最高価格馬となったロイヤルバラード



 また次点は、秋華賞、ニュージーランドトロフィーを含む4勝を挙げたファビラスラフインを母に持つファビラスタイム(6歳鹿毛、ダイワメジャーを受胎)が2160万円であった。販売者は社台ファーム、落札者は(有)桜井牧場。

 先日のオータムセール(1歳)の2日目と同様に、この繁殖セールでも、ダーレー・ジャパンと社台ファーム、及び社台ブラッドメアからの上場馬が目立った。

 ダーレー・ジャパンは、同ファーム名義と併せ、名簿上では45頭を申し込み、1頭が欠場して44頭の上場であった。うち35頭が落札され、主取りは9頭という成績であった。

 また社台ファームは28頭の上場申し込みで26頭が上場され、うち23頭が落札された。社台ブラッドメアも24頭の上場で、こちらは完売であった。

 春以来、今年は2歳トレーニングセールも一連の1歳馬セールもきわめて堅調に推移してきたことから、生産地では今後、軽種馬市場がさらに好況に転じて行くのではという期待感がある。そうしたムードに後押しされて、今回の繁殖セールもまたひじょうに活発な取引が展開し、好成績を挙げる原動力となった。

ジェイエス繁殖セール

繁殖セール上場馬がパレードリンクを周回する様子



 来春ここで取引された繁殖牝馬たちは出産し、それらの産駒が1歳を迎えるのは再来年になるが、今のうちから新しい血を導入しておこうという積極的な姿勢の生産牧場が増えているということかも知れない。

 繁殖セールはこの後、年明け1月20日に冬季セールの開催が予定されている。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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