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個人馬主のGI初Vに多くの称賛 キタサン北島オーナーの“器”

  • 2015年10月30日(金) 18時00分


◆全てを現場に任せてくれるオーナー

 先週の菊花賞。キタサンブラックが勝った直後の馬主席の様子について北島三郎オーナー(名義は大野商事)のお付きの人がこう教えてくれた。

「歓声がすごかったんですよ。馬主席にいる方々全員がスタンディングオベーションで祝福してくれました」

 もちろん、「北島三郎=芸能人」が勝ったことに対する祝福という意味もあっただろうが、半世紀も続けてきた個人馬主が初めてGIを勝ったことに対しての称賛という側面も少なからずあったのだろうと推測される。

 クラブ馬全盛の今、大手牧場のバックアップもなく、個人で馬を持ち、GIを勝つのは容易なことではない。そんな現代競馬において、成し遂げた個人馬主のGI初Vだからこそ、他のオーナーから称賛されるのだ。

 レース前のパドックで鞍上の北村宏に対して「頼むな」とだけ声をかけたという北島オーナー。馬のローテーションからジョッキーのチョイス、騎乗方法、放牧に出すタイミングなど、細部に至るところまで、オーナーサイドが主体的に決断することが多くなっている昨今、全てを現場に任せてくれるのもキュウ舎にとってはとてもありがたいことだ。

「一切何も言わず、全てを託してくれていますからね。こちらとしては重大な責任を感じていますし、心地いい緊張感の中でやっていますよ」とは管理する清水久調教師。

 さすがに3000メートルを走り抜いた後だけに「体も細くなったし、正直な馬なので疲れは見せている」とのことだが、競馬を盛り上げる意味で体調を戻し、ぜひとも暮れの有馬記念に出走してきてほしいものである。
 (栗東の坂路野郎・高岡功)

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