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マイル女王エイジアンウインズの息子マッジョテンペスタ

  • 2015年11月04日(水) 12時00分
カントリーロード(牡 栗東・高橋義忠 父キングカメハメハ、母アグネスショコラ)
 全兄ゴールデンチケットは兵庫チャンピオンシップ(JpnII)を勝ったほか、毎日杯(GIII)2着、ジャパンダートダービー(JpnI)3着などの成績がある。同じく全兄のロワジャルダンはダート中距離路線でOP入りを果たした。2代母スキーパラダイスはムーランドロンシャン賞(仏G1)、京王杯SC(GII)の勝ち馬で、芝適性に関しては問題なかったが、3代母スキーゴーグルはエイコーンS(米G1)を勝ったアメリカ産馬なので、このファミリーは芝・ダート兼用の資質を備えている。父キングカメハメハはパワーに秀でたタイプなのでダート向きの適性を引き出しているようだ。全兄2頭のようにダート戦で本領を発揮するだろう。

セネッティ(牡 栗東・音無秀孝 父ワークフォース、母タッチザピーク)
 母タッチザピークは新馬-紅梅S(OP)を連勝したスピード馬で、タッチミーノット(13年中山金杯-GIII)の4分の3姉でもある。繁殖成績は上々。これまでに産んだ2頭は、ピークトラム(父チチカステナンゴ/13年デイリー杯2歳S-GII・3着、13年新潟2歳S-GIII・3着)、タッチザターゲット(父クロフネ/13年ユニコーンS-GIII・5着)といずれも重賞で入着を果たしている。父ワークフォースは現役時代、英ダービー(英G1)や凱旋門賞(仏G1)を制した典型的な欧州2400mタイプ。したがって、アメリカのスピード血脈を豊富に抱えた繁殖牝馬との交配が好ましい。本馬はMr.Prospector 4×3というスピード型のクロスを持ち、サンデーサイレンスも入る。芝中距離でいいところがありそうだ。

ダノンフェイス(牡 栗東・大久保龍志 父キングカメハメハ、母アイアムカミノマゴ)
 母アイアムカミノマゴは阪神牝馬S(GII)の勝ち馬で、母の全妹アイアムアクトレスはユニコーンS(GIII)を勝った。2代母アイアムザウィナーは、同馬のオーナー堀紘一氏が故大川慶次郎氏と一緒にアメリカのセリへ行って買ってきた。二十年ほど前、堀氏がフジテレビの『平成教育委員会』に出演された際、控え室で番組収録を待っていると、大川氏から「馬を買ってみませんか」と誘われたのがきっかけだったという。アイアムザウィナーは「Danzig Connection×Mr.Prospector」というスピード型の配合だったことが幸いし、コンスタントに活躍馬を送り出して成功した。このファミリーは切れ味こそないもののスピードの持続力に秀でているので、芝もダートも行けるタイプだろう。距離はマイル前後がよさそう。

テイエムパルクール(牡 美浦・石栗龍彦 父スクリーンヒーロー、母テイエムユメノコ)
 2代母テイエムオーシャンは桜花賞(GI)、秋華賞(GI)、阪神3歳牝馬S(GI)など5つの重賞を制した名牝。母の父テイエムオペラオーはジャパンC(GI)、有馬記念(GI)、皐月賞(GI)などGIを7勝した名馬。父母がGIを計10勝している母テイエムユメノコは、まさに“夢の子”ではあったが、スピードに乏しかったため現役時代はJRAで勝利を挙げることはできなかった。スクリーンヒーローを掛けて誕生した本馬は、モーリス、ミュゼエイリアン、オーシャンヒーローと同じく母方にRivermanを持ち、さらにSadler's WellsとLyphardを併せ持っているので、モーリス(15年安田記念-GI)と配合構成が似ている。一発があっても不思議のない好配合馬で、芝・ダート兼用の中距離タイプ。

マッジョテンペスタ(牡 栗東・藤原英昭 父ワークフォース、母エイジアンウインズ)
 ヴィクトリアマイル(GI)と阪神牝馬S(GII)を勝ったエイジアンウインズの3番子。初子(父コンデュイット)はデビューできず、2番子エイジアンドリーム(父キングカメハメハ)は1戦0勝で死亡と、いまのところ体質の弱さを感じさせる繁殖成績だが、本馬はデビューを目指して順調に稽古を積まれている。2代母サクラサク2はきわめて優秀な繁殖牝馬で、エイジアンウインズのほかにエバーブロッサム(13年オークス-GI・2着)、キュートエンブレム(08年フローラS-GII・3着)、パッシングマーク(06年ベンジャミンS-OP)などを産んでいる。父ワークフォースはNureyev≒Sadler's Wells 4×2で、現時点で勝ち上がった同産駒6頭のうち3頭はこのクロスを継続してNureyevクロスを持っている。本馬の4代母BoundはNureyevの4分の3妹なのでおもしろい。また、Mr.Prospector 4×5はスピード面のサポートとなるので好ましい。芝向きの中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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