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来年度の春季競馬番組発表 競走番組はどのように編成されるのか

  • 2015年11月23日(月) 18時01分
 11月22日、2016年度春季競馬番組が発表された。来年の年明けから5月末まで、いつ、どの競馬場で、いかなる競走条件のレースがどういう順序で行われるか、全て記載されている。「優駿」や「週刊競馬ブック」「週刊ギャロップ」などを購読している人なら、開催日を横軸に、競走条件を縦軸にした表を1度は見たことがあるはずだ。この表を基に関係者はプランを立て、一般のファンもひいきの馬がいつどこを走るか、想像を巡らす。競馬のあり方を規定する、施行の核心と言うべき競走番組は、どのように編成されるか?

三段構えの構造


 16年度の競走番組に関する広報発表は例年通り、三段構えで行われた。10月19日に各競馬場の開催割り当て日数と開催時期を定めた「日割」、重賞競走の日程表が発表された。次いで11月18日には賞金・諸手当の水準や、細部的な競走ルールを定めた「一般事項」の変更内容が、JRA全体の来年度事業計画と予算と同時に示された。最後に1〜5月分の番組表と付随資料を22日に配布。開催競馬場でメディア関係者に配って終わりである。

 発表に際しては、決まった順に発信する手順が踏まれている。10月の時点では、賞金・手当の水準が決まっていないため、重賞日程表の各レースの1着賞金の欄は空白で、事業計画・予算の公表時に額が入る。こうした手順は、07年の競馬法・日本中央競馬会法改正で、JRAに経営委員会が新設されて以降に取り入れられた。日割と重賞日程を早めに発表するのは、JRAや各メディアによる来年のカレンダーの制作に配慮した面もある。

 先に日割を決めるのは、それだけ重要という意味である。といっても、土日開催という原則がある以上、選択の幅はそう広くない。しかも、地方競馬の住み分けを目的に、JRAには(1)祝日開催は年間4日以内(2)開催は1月4日から12月28日まで――というタガがはめられている。今年は「12月28日」の部分が海外馬券発売を解禁した競馬法改正に伴い修正されたが、この点については後述する。

 通常の年なら中山金杯、京都金杯という開幕日のGIIIは1月5日に組まれ、16年もこの原則通りとなる。ただ、16年1月5日は火曜日で、翌6日で世の中は年末年始モードから平常運転にほぼ切り替わる。従って、5、6日の連続開催は一般的な生活感覚とは合致せず、営業的成果も期待できないため、ひとまず5日は浮き石のような1日開催となった。

 今年の場合、1月4日が日曜のため、開幕を前倒しし、半ば惰性で5日も連続開催としたが、来年はそうも行かない。そこで問題は今年の1月5日分をどこに置くか? JRAが選択したのは12月23〜25日の有馬記念を抱える連続開催だった。2日分を夏場などのローカル期間に置くなら話は簡単で、実は札幌開催の延長論が各方面で叫ばれている。だが、現在のJRAは輸送費・滞在費のかさむ4大競馬場(東京、中山、京都、阪神)以外の開催は極力削るスタンスを貫いており、最初からこうした選択肢はなかったと思われる。

悩みどころは祝日使用


 そのため、来年は12月23日(金曜=天皇誕生日)を使用するのだが、来年の祝日開催を今年と比較すると、苦心の跡が見て取れる。今年は1月2週(成人の日)、9月3週(敬老の日)、10月2週(体育の日)、11月4週(勤労感謝の日)が使われた。すべて月曜で「2場×3日(土日月)」の組み方だった。ところが、来年の日割では1月2週と10月2週が同じだが、9月と11月が消えて、代わりに12月最終週と3月3週が入っている。

 11月が消えたのは勤労感謝の日が日付指定で、いわゆるハッピーマンデーの対象外のため、来年は水曜になってしまうためだ。9月を外したのは、「夏から秋への端境期で、高額条件の馬が集まりにくいため」と、JRA競走部の臼田雅弘・番組企画室長は説明する。この時期は3歳未勝利馬が退出し、入れ替わりに入厩した2歳馬の調教が本格化する。どうしても2歳馬の調教に時間がかかるため、全体の出走頭数が減る。出走させる切迫した理由の乏しい古馬の高額条件馬は、各厩舎も10月以降に本格稼働させがちで、せっかく3日開催を組んでも、売り上げが期待できない。

 11月と9月が使えないとなると、選択肢はぐっと狭まる。12月を採ったのは9月と逆な理由で、年末年始の出馬ラッシュを少しでも緩和する布石の意味もある。残る1日は3月となったが、日割を見ればわかる通り、ここは中京が開催中。本来は「2日×3場」となるのを、春分の日を組み込む「3日×2場」とした。通常は売り上げの少ない中京も、2場開催にすれば売り上げが伸びるからだ。

 祝日使用を巡っては以前、地方競馬との間で激しい駆け引きがあった時期もある。地方の稼ぎ時とされていた年末の12月28日に、有馬記念が組まれたのは03年が最初。これは創設間もないJBCへの発売協力が取引材料とされたが、02年(盛岡)に関しては調整がつかず、03年に実施に至った経緯もある。現在はIPAT発売で地方側が息を吹き返したこともあり、双方の関係は相当に改善された。現在はどの祝日に開催するかを8月前後に地方側に内々に伝えているという。

来年も微修正=重賞体系


 日割が決まると次は重賞体系だが、16年は微修正にとどまる。今年は12月3週のターコイズS(中山)がオープン特別から重賞に格上げされ、愛知杯(中京)が年明けに引っ越したが、16年は京都牝馬S(1400m)と阪神牝馬S(1600m)の距離を入れ替え、福島牝馬Sを実績馬有利の斤量とするなど、古馬牝馬の重賞路線に手をつけた。また、秋華賞トライアルの紫苑S(中山)をGIIIに格上げ。優先出走枠も従来の2から3に増やした。

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1964年1月19日、東京都出身。87年4月、毎日新聞に入社。長野支局を経て、91年から東京本社運動部に移り、競馬のほか一般スポーツ、プロ野球、サッカーなどを担当。96年から日本経済新聞東京本社運動部に移り、関東の競馬担当記者として現在に至る。ラジオNIKKEIの中央競馬実況中継(土曜日)解説。著書に「競馬よ」(日本経済新聞出版)。

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