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馬券の特売キャンペーン

  • 2015年11月27日(金) 18時00分


◆増額分より、むしろ気分的なことのほうが重要

 中央では今週末のジャパンCが終わって中山開催となると、一気に年末の雰囲気。個人的には、JBCが終わってホッカイドウ競馬のシーズンが終了すると「ああ、今年も終わりか」という気分になるのが毎年のこと。

 そんななか、TCK大井競馬場の年末開催のリリースにあったのが、『年忘れ☆ウマ福トリプルセブンキャンペーン』。12月28〜31日の4日間、最終レースの馬複の払戻率を通常の75.0%から77.7%に引き上げるというもので、昨年末に続いての実施となる(昨年は29〜31日の3日間)。

 2012年の競馬法改正によって、現在では主催者の裁量で70〜80%の範囲で馬券の種類ごとに払戻率を決められるようになった。しかし地方競馬では、こうした特定の日や特定のレースで払戻率をアップさせるようなキャンペーンがイマイチ少ないように思う。

 ちなみに現在の地方競馬の払戻率は、馬券の種類によって主催者ごとに若干異なるものの、おおむね単勝・複勝が80%、枠複・枠単・馬複・馬単・ワイドが75%、3連複・3連単が72.5%、ネット発売のみの5重勝・7重勝が70%となっている。

 例外的に異なるのは、道営のワイドが80%、道営の3連複・3連単が70%。兵庫の馬複が77.5%、高知の最終レースの3連単が77%、佐賀の3連複が75%となっている。

 高知の最終レースのみ3連単が77%というのは、「一発逆転ファイナルレース」と題したキャンペーンが話題になった。これは今でも続けられていて、最終レースに近走成績の悪い馬ばかりを集めて予想を難しく(荒れやすく)して、さらに払戻率を高く設定したもの。地方競馬では1レースあたりの出走頭数が少ない上に、同じようなメンバー同士でのレースが多く、堅い配当になりやすいため、それを逆手にとったキャンペーンだ。

 こうしたキャンペーンは、たしかに払戻額は増えるのだが、その増額分より、むしろ気分的なことのほうが重要で、スーパーのチラシの“特売品”のように、もっとハデに宣伝したほうがいい。スーパーや家電量販店などのチラシで“特売品”として目立つように掲載されているものはたしかに安くなっているのだろうが、それ意外、紙面にびっしりと並んでいる商品の多くが普段の値段と変わらないということがほとんどではないだろうか。ようするに“特売品”という赤い文字が大きく印刷されているだけで、全体が安くなったように感じる、まさに気分だ。

 大井の『年忘れ☆ウマ福トリプルセブンキャンペーン』というネーミングも秀逸だとは思うが、「77.7%」という数字を大きな目立つ文字でドカンと見せたほうが、年末の浮ついた雰囲気の中で「何やら数字が縁起いいし、払い戻しも多いのか」という気分になると思うのだが、どうでしょう。

 さらに上記の例で言えば、例外的に他主催者より払戻率が大きい兵庫や佐賀なら、『兵庫は馬複がお得』、『佐賀は3連複がお得』みたいなことは宣伝してもいいと思う。

 ようは“気分”なのだ。馬券を買う人のほとんどが当たると思って買っているので、その儲けは少しでも多いほうがいいに決まってる。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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