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新・ダート女王の貫禄、ホワイトフーガ/TCK女王盃・大井

  • 2016年01月14日(木) 18時00分


ホワイトフーガ

(撮影:高橋正和)

2〜5着馬は毎回着順が変わるのではないか

 人気、実力どおり、ホワイトフーガの完勝だった。そして5頭出走したJRA勢が掲示板独占となったが、前走クイーン賞(船橋)で重賞初制覇となったディアマイダーリンが5着だったように、同じメンバーで何度か対戦すれば、1着のホワイトフーガは変わらないものの、条件などによって2〜5着馬はそのたびに着順が変わるのではないかと思えるレースだった。

 最内枠に入ったノットオーソリティが前走同様の逃げとなって、大外枠のセキショウが2番手というのはほぼ予想されたとおり。ホワイトフーガはその直後、外の3番手を追走した。3コーナーあたりでは行きたがる素振りを見せたが、4コーナーを回るまで鞍上はがっちり抑えたまま。直線を向いて追い出されると、後続を置き去りにした。

 「思ったよりペースが遅かった」と話した大野拓弥騎手だが、それもそのはず。同じ大井1800mが舞台だったレディスプレリュード、JBCレディスクラシックが、サンビスタをはじめとしてこの路線のトップクラスが相手だったのに対して、今回はかなりメンバーが楽になった。1000m通過のタイムで見ると、レディスプレリュードが61秒2で2番手を追走、JBCレディスクラシックでは59秒4というハイペースで控えて6、7番手を追走していたのに対して、今回の1000m通過は64秒2だった。今回もやや行きたがっていたとはいえ、2番手で抑えるのに苦労するほど掛かっていたレディスプレリュードのレースぶりと比べればかなり大人になった。それが昨年秋からの充実ぶりということなのだろう。このメンバーで別定2kg増の56kgなら勝って当然だった。ただ地方のダートグレードでは、牡馬が出走できるレースも含めて賞金別定なのはこのレースが唯一で、たとえばサンビスタがJBCレディスクラシックを勝ったあと57kgや58kgを背負っていたように、今後、グレード別定やハンデ戦のJpnIIIでは斤量との戦いとなるかもしれない。

 2着は、メンバー中唯一上り36秒台(36秒6)の末脚を発揮したパワースポット。クイーン賞ではスタートでダッシュがつかず最後方からの追走となって4着だったが、今回は互角のスタートから馬群が一団となっての5、6番手を追走。最後の直線でホワイトフーガとの差を詰めたのはこの馬だけだった。明けて8歳とはいえ、ダートでも直線での瞬発力勝負になれば今後も要注意。ただ賞金的に今後地方のダートグレードの出走枠に入れるかどうかは微妙だ。

 タマノブリュネットは、パワースポットと同じような位置からヨーイドンとなったが、直線半ばから置かれてしまった。現状の実力は出しているように思う。

 ディアマイダーリンは、4番手の内を追走して、直線を向いたところでは伸びかける場面はあったものの、直線半ばから失速。クイーン賞のゴール前で見せた、ぐいぐい伸びてくる末脚は影をひそめてしまった。クイーン賞から2kg増の55kgということもあっただろうし、中央でも連対実績が左回りの東京のみで、今回は右回りの大井ということもあったかもしれない。

 地方勢で期待されたのはノットオーソリティで、うまくスローの逃げに持ち込んだものの、直線で失速してしまった。逃げて3着に粘ったクイーン賞から3kg増の55kg。JRA勢相手ではハンデや条件などに恵まれないと、ちょっと厳しい。南関東の牝馬では、今回出走していたメンバーよりも、年末の東京シンデレラマイルでアタマ差の接戦となって1、2着を争ったブルーチッパー、ララベルのほうが最上位クラスと思われる。中央所属時にダートグレードで入着があったブルーチッパーは当然として、明けて4歳のララベルはもうひと皮むければダートグレードでの活躍も期待できるのではないだろうか。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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