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IPATとJBCの相乗効果

  • 2016年01月22日(金) 18時00分


◆2003年度以来、12年ぶりの4000億円超え

 2015年(1〜12月)の地方競馬の開催成績が発表された。地方競馬の開催成績は、通常年度(4月から翌年3月)で比較されるため、以下は、2015年度(4月から2016年3月まで)の数字も暦年の2015年の数字とそうは変わらないだろうと仮定しての話になる。

 売上げを見て、まず「おっ!」と思ったのは、全国の総売得金4171億9685万5460円という数字(100円未満の数字があるのは、SPAT4 LOTOがあるため)。年間の売上げが4000億円を超えたのは、2003年度以来、12年ぶりとなる。当時は、中津、益田、新潟(三条も)はすでに廃止されていたが、上山、北関東(足利・宇都宮・高崎)、福山、荒尾はまだ健在だった。ばんえい競馬は4場の持ち回りで、ホッカイドウ競馬も旭川・門別・札幌の3場で開催されていた時代だ。

 地方競馬はバブル終焉の1991年度に総売得額がピークとなる9862億3944万9300円を売り上げた。底を打ったのは2011年度の3314億3768万2700円だから、その後の4年でよくぞここまで回復したものと思う。

 さらに2015年の全国の1日平均の売得額は3億2416万2300円で、1日平均が3億円を超えたのは、1994年度以来じつに21年ぶり。当時は『地方競馬30場』と言われた時代で、年間の総売得額もまだ7000億円を超えていた。現在、地方競馬が開催されている競馬場は、当時の半数以下の14場(近年開催がない中京、姫路は除いた)となっている。

 2015年の売上を主催者ごとに見ると、岩手が総売得額、1日平均ともに前年比91.0%だった以外、もっとも伸びが少なかった金沢でも105.5%(1日平均)で、おおむね10%前後かそれ以上の伸びを見せている。

 岩手だけ10%近い減少となったのは、前年にJBCが行われていたため。2013年にJBCが行われた金沢でも、同様に2014年度は同じように10%ほど減っていた。2015年度の通常開催(4月4日から今年の1月11日)が終了した岩手競馬からのリリースでは、発売計画額の102.0%だったから、目標額は上回っていたことになる。

 ちなみに2015年の岩手競馬の総売得額は229億8026万8700円で、前年の2014年11月3日に行われたJBC当日1日の売上げは29億2539万3900円。JBC当日だけで、年間の1割以上の売上げがあるのだ。

 かつてJBCは、南関東で開催される時と、南関東以外が開催場になる時では、売上にかなりの差があったのだが、地方競馬IPAT(JRA-IPATによる地方競馬の発売)が始まってからは、その差もなくなってきている。実際に、地方競馬IPATで初めてJBCが発売された2012年の川崎開催のJBC当日1日の売上げは27億円弱で、上記のとおり2年後の盛岡開催では川崎の売得額を上回っている。

 地方競馬の売上げが回復したのは、よく言われるように地方競馬IPATが始まったことが大きいが、南関東以外の競馬場にとっては、JBCを開催したときの地方競馬IPATとの相乗効果による特需は相当に大きいといえそうだ。

 今年のJBCは川崎での開催だが、大井、川崎と南関東が続いて、さて来年は?

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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