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交流時代を勝ち抜くには

  • 2016年01月29日(金) 18時00分


◆大きな意味があったハイジャの勝利

 28日に笠松で行われたゴールドジュニアを制したのは、1番人気に支持された地元のハイジャだった。全国的にはさほど注目されることのない地区交流の3歳重賞だが、ハイジャが勝ったことには大きな意味があった。

 じつは昨年1年間、笠松競馬場で行われた重賞では、地元笠松所属馬が1頭も勝てないという異常事態だった。地元馬の重賞勝ちは、2014年末のライデンリーダー記念をマルヨバナーヌが勝って以来のこと。実はその2014年も笠松の重賞14レースのうち、地元馬の勝利は3戦のみと、名古屋をはじめ他地区からの遠征勢相手に苦戦していた。

 また近年では笠松に限らず2歳や3歳の重賞では、北海道や中央から移籍した馬の活躍が目立っているのだが、ハイジャは地元笠松の生え抜き。ゴールドジュニアを笠松デビュー馬が勝ったのは、2012年のアウヤンテプイ以来4年ぶりということでも価値ある勝利だった。

 ゴールドジュニアの表彰式のインタビューで、佐藤友則騎手は、「僕や吉井(友彦騎手)は重賞を勝ってはいたんですが、それもほかのところの馬だったので、今回笠松の馬で勝てたのでうれしい」ということを話していたので、やはり地元馬でという思いは強かったのだろう。

 実は2014年には同じようなことが佐賀で起きていて、他地区所属馬も出走できる、地区交流や全国交流の重賞は、すべて他地区からの遠征馬にタイトルを持って行かれたということがあった。

 地方競馬は、競馬場ごとに見ると所属頭数がそれほど多くはなく、したがって年によって全体のレベル差にもかなり波がある。ひと昔前とくらべて交流レースが当たり前になった今、そうした中で勝ち星を伸ばし、タイトルを獲ろうと思えば、馬1頭1頭の能力を高めることと同じくらい、馬主にしてみればどこに馬を預けるかという判断、調教師にしてみればどのレースを使ったらいいかという判断が重要になってくる。地方競馬でも、いわばマネジメント能力が問われる時代になったと言えそうだ。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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