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岩田騎手の3着付けとMデムーロのちゃっかり付け

  • 2016年02月04日(木) 12時00分


2016年1月の騎手リーディング
1位Mデムーロ 19-9-11-48 勝率.218 連対率.322 複勝率.448
2位戸崎 18-9-8-59 勝率.191 連対率.287 複勝率.372
3位ルメール 17-17-9-41 勝率.202 連対率.405 複勝率.512

勝率.200が名手の目安とも言われる。それで言うならMデムーロもルメールもさすがの成績だ。今年はMデムーロとルメールが1年通して騎乗してくるから、この2人でぶっちぎるかと思われたが、去年のリーディングの戸崎が食い込んでいるし、4位の武豊は15勝、5位の川田は14勝だからぶっちぎり感はない。最初のひと月はスタートダッシュを決める伏兵が現れることがよくあるが、今年は見当たらない。だいたい想定どおりだ。あくまでも「だいたい」だけど想定どおりだ。

リーディングといえば、香港競馬がすごいことになっている。
今シーズン(15-16シーズン)1.31付け
1位モレイラ 84-43-53-120 勝率.288 連対率.423 複勝率.600
2位パートン 31-37-17-138 勝率.139 連対率.304 複勝率.381
3位プレブル 31-25-19-168 勝率.127 連対率.230 複勝率.308

モレイラの成績が異常だ。勝ち星も連対率も複勝率もとんでもない。
大名手が各競馬場に君臨していた昔の日本の地方競馬みたいだ。
そんなモレイラの独壇場の香港で、世界のムーアと去年の英国リーディングのデ・ソウサが1月から短期免許で騎乗し始めた。

ムーア 6-7-5-23 勝率.146 連対率.317 複勝率.439
デ・ソウサ 8-6-2-38 勝率.148 連対率.259 複勝率.296

大将モレイラの異常な成績には及ばずとも、勝率的には2位、3位のパートン、プレブルを二人とも超えている。いつまで香港で騎乗するのかわからないけれど、モレイラとどう闘うのか興味津々だ。
ちなみ1/26に行われた香港G1の香港クラシックマイルをムーアは勝った。勝ち星は少なくとも勝利の中身は濃そうだ。

そういえば31日に香港G1のセンテナリースプリント(1200M)が行われ、エアロヴェロシティ(パートン)が勝った。今年も高松宮に来るのかな? 来るという声と来ないという声があるけど、どっちだろう?

異常といえば、今年の岩田の成績も興味深い。

6-8-17-65 勝率.063 連対率.146 複勝率.323

1着が少なくて、3着が異常に多い。もともと1着も多いけど2着、3着も多い岩田だけど、それにしてもだ。去年も101-113-135-661と3着が多かったけれど、今年は比率的には去年以上だ。

複勝率とは3着以内に入る確率だから1着、2着の数値も加味されるけど、純粋に3着する率は.177になる。惜しい! 3着率.200を超えていたら3着名人と呼べたのに! でもMデムーロの.126、戸崎の.085、ルメールの.107に比べて3着率は圧倒的に高い。もちろん騎乗数の多い(リーディング50位以内)騎手の中でも飛びぬけて高い。

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その岩田騎手が東京新聞杯でエキストラエンドに騎乗する。
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とはいえ、狙って3着する騎手はいない。岩田騎手ほどの技術と実績のある騎手なら、そろそろ勝ち星が3着数に追いついてくるはず。ふつうに考えて、1年通してこの比率のわけがない。だから、岩田騎手で3着固定馬券を積極的に狙おうとは思わない。

思わないけれど、東京新聞杯のエキストラエンドでは3着を狙いたくなる。

エキストラエンド 角居厩舎 父ディープインパクト 牡7

東京芝 3-1-0-7
東京芝1600 0-1-0-4

成績を見ると、東京はいいけれど、東京マイルは得意ではないように見える。けど、よくよく成績を見ると、東京マイルが苦手とも言い切れない。

東京新聞杯 3人気2着(0.2差)Cデムーロ
安田記念 12人気12着(1.3差)横山典
富士S 9人気5着(0.1差)田辺
東京新聞杯 2人気6着(0.2差)Cデムーロ
安田記念 16人気9着(0.7差)蛯名

G1の安田記念は力が足りなかった感じだけど、G3の東京新聞杯と富士Sでは負けるにしても善戦してるのがわかる。実際2着もある。

角居厩舎の東京マイル力も見逃せない。

角居厩舎の東京新聞杯(2001年開業以来の成績)
1-2-3-2

着外1回は14人気だった9歳センターフレッシュの15着。厩舎初の東京新聞杯出走のときで、ぶっちゃけ参加しただけとも言える。もう1回は去年の2人気で6着に負けたエキストラエンド。ただ去年は2頭出しで臨み、1人気のフルーキーは3着した。

冬競馬の東京遠征だから、勝負にならない馬は連れて行かないし、出走するからには勝負のデキにある。無駄打ちしない。そんなポリシーを角居厩舎には感じる。

その角居厩舎が今年もエキストラエンドを出走させる。それも岩田で。

東京新聞杯には勝負になる馬しか出走させない角居厩舎だけど、さすがにエキストラエンドは力が落ちて来ているように感じなくもない。それでも角居厩舎が岩田で出走となるとざわつく。角居厩舎の乗り替りだからだ。

角居厩舎の乗り替りについてはたまに書いている。直近では朝日杯FSの週に「非情のライセンス」と称して触れた。非情のライセンスはG1でときどき発動させるここ一番の騎手変更だけど、その本質は、騎手変更は馬を走らせる起爆剤の1つと考えているからではないか。

それはエキストラエンドの鞍上遍歴を見てもよ〜〜〜くわかる。
Mデムーロ、Cデムーロ、ルメール、福永、川田、岩田、田辺、横山典、ビュイック………そうそうたる面々が騎乗しているけれど、3回連続で騎乗した例はない。とびとびで3回以上の騎乗はあっても、連続騎乗は2回までだ。

めまぐるしく騎手が替わるから、参考程度にしかならないけれど、乗り替りの方が成績もいい。
乗り替り初戦 5-3-2-16 馬券圏内率.385
連続騎乗2戦目 1-0-0-3 馬券圏内率.250

すべての馬がそうではない。当然馬の資質を見ての判断だろう。ただエキストラエンドについては、「連続騎乗は2回まで」という厩舎方針があるように思えてしまう。

吉田隼で京成杯AHを2着し、吉田隼で京都金杯を7着した。
今回は岩田にチェンジ。

岩田で東京マイルに参戦は初。
岩田はこの馬に過去4度騎乗して、0-0-1-3。
相性抜群という成績ではない。
ただし、3着、5着、6着、4着と相性が悪いとも言えない。

つまり、こういうことだ。
東京マイルは得意とは言い切れないけれど、G3なら掲示板の下の方に来る力はありそう。
岩田騎手との相性は抜群というわけではないけれど、掲示板の下の方に来る可能性はありそう。
そこに、角居厩舎の東京新聞杯力と乗り替り力、そして、岩田騎手の今この瞬間の3着力が加わると…………おっとぉ!

とはいえ、それでも、人気なら買う気にはなれない。しかし予想は7人気。
この人気なら話は別だ。
掲示板の下の方+1、つまり3着か4着ならなんとかなるような気になる。

エキストラエンドは、ここ3年、ずっと京都金杯→東京新聞杯のローテだ。
14年 京都金杯6人気1着→東京新聞杯3人気2着
15年 京都金杯4人気2着→東京新聞杯2人気6着
16年 京都記念4人気7着→

京都金杯の着順は少しずつ落ちているから、東京新聞杯の着順も落ちる。
それが自然か。

でも今の自分には、今年の京都金杯は展開が向かずに走れなかっただけで、逆に東京新聞杯で巻き返してくると思えてしまう。
昨秋の京成杯AHを11人気で2着したことを記憶しすぎなのかもしれないけれど、人気を落としたときしか走れない穴馬に成長、いや変貌してしまったのではないか? とついつい都合よく解釈したくなるのだ。

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東京新聞杯注目馬
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エキストラエンドを3着で。
ダイワリベラルを逃げか番手で。
(テイエムタイホー)

ダノンプラチナは東京マイル3-0-0-0、ダッシングブレイズは東京マイル2-0-0-0。
この2頭が1人気、2人気。
東京新聞杯は1人気も2人気も取りこぼしがちだけど、1人気が来るときは2人気、3人気もいっしょに来ている。1人気と2人気が、1人気と3人気が同じような位置にいて、いっしょに走っている感じだ。

ダノンプラチナもダッシングブレイズも同じ差しタイプで、同じような位置で走って、いっしょに来るかもしれない。

1人気が差し系で取りこぼすときに馬券になるのは逃げ・先行系だ。
今回は明確に逃げる馬がいない。
逃げそうなのはダイワリベラル(横山典)とテイエムタイホー(戸崎)とマイネルアウラート(柴田大)。逃げても、2番手でも競馬が上手そうなのは横山典。番手なら上手そうなのは戸崎。

枠にもよるけど、今はダイワリベラル、(テイエムタイホー)、で注目。

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きさらぎ賞のちゃっかり注目馬
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今年も人気のディープインパクト産がきっちりしっかり勝ちそうだ。
1人気サトノダイヤモンド(ディープ) ルメール
2人気ロイカバード(ディープ)    武豊
3人気ロワアブソリュー(ゼンノロブロイ)  Mデムーロ

こういうときはちゃっかり2着か3着しそうな馬を買って、レースを鑑賞することにしている。
きさらぎ賞は11頭の登録があるけれど、森厩舎が3頭登録していて、何頭か回避する可能性がある。10頭立て以下になると「逃げ」のちゃっかり指数が上がる。

前走逃げたのはウルトラバロックとロワアブソリュー。逃げて勝ち負けしたことのある馬はジョルジュサンク。

一番気になるのはロワアブソリュー。はたして逃げるのだろうか?
新馬で、サンデーRの馬で、鞍上Mデムーロで、芝で、1600以上で、逃げたのはむしろ驚きで、今回どのような戦法を取るのか気になる(コメントによると、新馬は引っかかっての逃げだったようだ)。

逃げるのかな? 抑えるのかな? 出遅れるのかな?

たとえ逃げなくても、サトノダイヤモンドやロイカバードよりは前で競馬をしそう。ならばそれなりに楽しめる。
たとえ出遅れても、Mデムーロなら最後方からでも伸ばしてくる期待は持てる。ならばそれなりに楽しめる。

3人気はちゃっかりっぽくないけど、頭でなら買える。
3人気はちゃっかりっぽくないけど、1、2人気合わせて5億円の馬に勝つのなら、ちゃっかり感十分だ。っていうか、そういう馬をちゃっかり負かすのがMデムーロは似合いそう。

というわけで、今年は人気薄の2着か3着の逃げ残りじゃなくて、3人気馬の戦法に注目してみる。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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