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「1頭1頭大事に乗ってレースへ持っていきたい」荻野琢真騎手にインタビュー

  • 2016年02月09日(火) 18時00分
競馬の職人

荻野琢真騎手



荻野琢真騎手「ゴールドシップやジャスタウェイの調教にかかわることができたのは僕の財産です」

 2月7日に行われたきさらぎ賞での5億円対決は見ごたえあるレースでしたね。僕は京都競馬場にいてライブで見ていましたが迫力あるレースに感動しました。

 サトノダイヤモンドの走りは古馬を思わせるような安定感があり、まっすぐ走るのがすごい。これだけまっすぐ走る馬は珍しいでしょう。メジロマックイーンを思い出します。

 もちろんダービーを視野に入れているでしょう。ロイカバードもかかってしまいましたが力のある馬だと思います。今年の3歳は実力馬ぞろいですね。春のクラシックが楽しみです。♪春よ来い はーやくこい、春が待ち遠しいです。

 3日節分の日にトレセン取材に行くとトレセンには似合わないとっても素敵な令嬢、鈴木淑子さんが小牧騎手にインタビューされていました。(小牧騎手ちょっとタジタジに見えたんだけどー)

 2月一杯で定年となる橋口調教師と松田博調教師にまつわるインタビューでした。僕もそっと近づいて聞いていると僕に気付いてくれラッキー(それが狙いでした)。少しお話させていただき、ツーショットまで撮らせていただきました。話題が豊かでにこやかに話されるのが印象的でした。鈴木淑子さんもお洒落で素敵な出会いができました。ありがとうございました。

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トレセンにきていた鈴木淑子さんと記念撮影



 さて今週は荻野琢真騎手にインタビューしました。

常石: 1月9日1Rドゥドゥドゥでの勝利おめでとうございます。新年早々初勝利が高配当になってファンの皆さんへいいお年玉になりましたね。

荻野: ありがとうございます。この馬にはデビュー時から乗せていただいているので何とかしたかったんです。早い時期に未勝利を卒業してくれてうれしいです。早い時に勝ち上がったので余裕のローテーションでレースを組み立てていけますね。

常石: 新馬戦から騎乗されていますが変化はありましたか?

荻野: 1度だけ乗り替わったんですが僕が3戦乗っています。3度目の正直ですかね。とっても乗り易い馬で人間とのコンタクトが取れるんです。レースごとに立ち回りが上手くなっています。

常石: レース展開はどんな感じでしたか?

荻野: 勝つときってやっぱりいい走りをしますね。スタートで少し外へ逃げるようなところがありましたがじわっと行かせて中団から内ラチ沿いに進めていくことができました。向こう正面半ばからいい感じで上がっていって馬群のやや外目に出して、直線に向くとぐんぐんいい脚を使ってくれて逃げた馬をとらえてゴール寸前でかわすことができました。向こう正面でペースが落ちたときに口向きの悪さを見せましたがすぐに折り合いが付きレースに集中してくれました。

 右手前のまましっかり伸びましたね。まだまだトモが緩いですがこんな勝ち方をするといい競馬の仕方を覚えてくれるのでとってもいい収穫になります。距離も中距離でダート路線も行けるので幅が広がります。初めて乗ったときは、ちょっと怖がるかも…と厩務員さんから言われていたんですが、キャンターはスムーズでした。まだまだ幼い面もあってふらふらしたりもたれたりしトモの緩さも出ていますが、長くいい脚をつかいます。馬込みも大丈夫だし素直なんですよね。だから安心して乗れます。

常石: 安心して乗れるって騎手にとって一番いいですね。次走の予定は?

荻野: ちょうどいい時に放牧に出てリラックスさせて帰る予定です。頑張ったご褒美ですね。一回り大きくなって帰ってくるでしょう。矢作先生も馬のことをよく見て考えて的確に指示をしてくれるのでとっても仕事がしやすいです。

 ただ、このレースで勝ったのはうれしかったんですがちょっとよれた時に、走行妨害をして他の馬に迷惑をかけ騎乗停止になってしまいました。関係者の皆さんには大変ご迷惑をおかけして申し訳なかったです。自分が乗るはずだった愛馬が乗り替わりになってさみしい思いをしましたがジックリ客観的に見ることができ学ぶところがたくさんありました。とってもいい経験になり勉強になりました。

常石: 怪我をさせても怪我をしてもやっぱりいやだよね。僕は何度も経験してしまったけどね(笑)。今はいろんな厩舎の馬も調教されているんですね。

荻野: 多くの厩舎から声をかけていただきうれしいです。調教に乗ると自分の腕を磨くことができますからね。騎乗停止中もちょっと暇やなーと思っていたらたくさんの厩舎から調教を依頼されてうれしかったです。いそがしかったわー(笑)

 調教を終えたときのコメントは曖昧な返事をするのではなくきちんと伝えるようにしています。調教を依頼してくださった先生に誠意を尽くすことだと思っています。

 ドゥドゥドゥは素直で乗り易い馬です。厩務員さんにもすごくかわいがってもらっています。そんな子は素直ですね。

常石: ちょうどデビューされて10年目の節目になると思います。今後の目標を教えてください。

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仲良し同期の藤岡康太騎手(左)、大下智騎手(右)と一緒に記念撮影



荻野: 先ほども話しましたが新年早々走行妨害で騎乗停止処分になって関係者の方やファンの方にご迷惑をかけてしまいました。

 騎手クラブの新年会の時、福永祐一さんが「怪我をさせてしまう覚悟を持ってください」とあいさつをされていました。それだけ危険と隣り合わせでギリギリのレースをしている自覚と責任を持たなければいけないことを痛感しました。

 福永さんも藤岡佑先輩も復帰できてよかったです。また競馬が盛り上がってくるでしょう。凱旋門賞出走前のゴールドシップやジャスタウェイの調教もさせていただきこの馬たちのキーポイントで調教にかかわることができたのは僕の財産です。背中に跨った瞬間、違いが判りますね。

常石: 見ているだけではわからないことでも跨ったら『おーこの馬走るなー』って思うでしょう。

荻野: やっぱり違いますよね。強い馬の背中を知ることでこれからの仕事に生かせると思うのでどんどん調教させてもらえるように頑張ります。1頭1頭大事に乗ってレースへ持っていきたいです。応援してください。

常石: 話は変わって面白いブログを書いていますね。あのタイトルいいわー。なんやー、とのぞいてもらえるようなタイトルっていいよな。顔やもんね。

荻野:「オギトン」よんでくれましたか?荻と琢でオギトンです。競馬以外でも僕のことを知っていただけたらいいかなって思いで変なこと書いていますよね。

常石: ふっとつぶやくのって親しみがわいていいと思うよ。続けてください。実は、ブログで僕もというかおかんが僕のことをつぶやいているようです。まだ見たことないんだけどなー。今日はありがとうございました。

荻野: こちらこそありがとうございました。

***

 積極的に調教をこなし、的確なコメントが調教師の先生方や馬主さんに信頼され人望の厚い琢真騎手でした。馬が大好きだったので中学生の時、週末に牧場の手伝いをしながら乗馬を習いこの仕事に入ったそうです。ガッツあるオギトンこと荻野琢真騎手の魅力にせまりました。

 浜中騎手の勇気ある騎乗に敬服します。脳震とうと4か所の骨折との診断が発表されました。治療に専念してください。3日の取材時シルクロードSをダンスディレクターで制覇した笹田調教師と浜中騎手のツーショットを撮らせていただきました。いつも快く取材に応じてくれるさわやかな騎手です。お大事にしてください。にこやかな顔を見せてくれる日を待っています。つねかつこと常石勝義でした。
競馬の職人

浜中騎手の1日も早い回復をお祈りしています

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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