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社台スタリオン展示会

  • 2016年02月10日(水) 18時00分
キズナの撮影会

社台スタリオン展示会でのキズナ


改めてここの種牡馬ラインナップの豪華さにはため息が出てくる


 去る2月9日(火)、生産地で毎年この時期に開催される種牡馬展示会のトップを切って、今年は社台スタリオンステーションからスタートした。日高地方は、前夜から朝にかけて、いくぶん降雪に見舞われたが、その雪も早々に上がった。社台スタリオンステーションのある安平町も展示会の始まる午前11時半には完全に天候が回復し、この時期にしては異例の暖かさにも恵まれ、会場には生産者や競馬関係者ら約800人が集まった。

 社台スタリオンの今年の新種牡馬は5頭いる。登場順にキズナ、エピファネイア、スピルバーグ、フェノーメノ、リアルインパクトである。キズナとエピファネイアは各250万円の種付け料だが、すでに「満口」になっており、依然として、ここの新種牡馬は人気が高い。因みにスピルバーグは150万円、フェノーメノとリアルインパクトは80万円である。

社台スタリオン展示会

今年の新種牡馬、キズナ


社台スタリオン展示会

今年の新種牡馬、エピファネイア


社台スタリオン展示会

今年の新種牡馬、スピルバーグ


社台スタリオン展示会

今年の新種牡馬、フェノーメノ


社台スタリオン展示会

今年の新種牡馬、リアルインパクト



 全28頭のうち、キングカメハメハを除いて27頭が披露された。新種牡馬にはそれぞれ所縁の調教師や馬主が姿を見せるのも社台スタリオンならではの風景で、今年はキズナの佐々木晶三調教師、エピファネイアの角居勝彦調教師、そして展示会終了近くになってから、武豊騎手も来場してマイクを握った。

社台スタリオン展示会

キズナの主戦騎手だった武豊騎手も来場



 毎年書いていることだが、改めてここの種牡馬ラインナップの豪華さにはため息が出てくる。新種牡馬の後は今年初産駒誕生(つまり昨年より種牡馬入り)のジャスタウェイとベルシャザールが、そして今年初産駒が1歳になるロードカナロア、エイシンフラッシュ、ノヴェリスト、オルフェーヴルが、次に初年度産駒が3歳になるドリームジャーニー、ヴィクトワールピサ、ワークフォース、ダノンシャンティ、カジノドライヴが続く。

社台スタリオン展示会

今年初年度産駒が1歳になるオルフェーヴル



 そして今年いよいよ初年度産駒デビュー予定のスマートファルコン、ディープブリランテ、タートルボウル、ルーラーシップがお披露目され、ハーツクライ、ダイワメジャー、ハービンジャー、ゴールドアリュール、クロフネ、キンシャサノキセキと続いて、最後にディープインパクトが登場した。

社台スタリオン展示会

体も白くなったクロフネ


社台スタリオン展示会

最後に登場したディープインパクト



 キングカメハメハは大事をとって展示は見送られたが、体調は悪くなく、交配にも影響はないという。

 日高の種馬場ならば文句なしにエース級になれそうな種牡馬たちが、ここにはズラリと揃い、まったく死角が見あたらない。昨年度は繋養する全種牡馬で4300頭余の繁殖牝馬に交配したという。のみならず、例えば今年の場合には、新種牡馬5頭が新たに入厩したことで、キャプテントゥーレ、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、ネオユニヴァースが日高のブリーダーズスタリオンとレックススタッドにそれぞれ移動したように、過去に社台スタリオンで繋養されていた種牡馬が日高に移籍して種牡馬生活を続行しているケースも目につく。正確には把握していないが、これら移籍組も含め、日本で交配されている繁殖牝馬の3分の2くらいが、“社台系”種牡馬で占められているのではないか。

 約1時間半にも及ぶ展示会であった。一通り全種牡馬がお披露目された後、恒例の新種牡馬撮影会が最後に行なわれ、冒頭で紹介したキズナ、エピファネイアなど5頭が再度、厩舎前に登場し、ぐるりと多くの人々に囲まれていた。この頃には武豊騎手も姿を見せ、軽妙なトークを披露し、参加者を楽しませてくれる一幕もあった。

社台スタリオン展示会

新種牡馬撮影会でのエピファネイア



 ところでここの種牡馬展示会は「完全招待制」として知られており、その対象はまず胆振日高を中心とした軽種馬生産者及びその関連団体などである。一般ファンがここで間近に種牡馬を見ようとすれば、まず知り合いの生産者に同行を依頼するのが最も手っ取り早い方法だが、そうはいっても簡単にここに連れて行ってくれそうな知人友人が確保できるとは限らず、社台スタリオンの展示会の見学は実のところかなりハードルが高い。

 にもかかわらず、いざここの展示会に足を運んでみると、どう見ても生産者ではなさそうな人々が少なからず来場している。規制を強化すればおそらく参加人数が少なくなり、全体的に寂しい雰囲気になってしまうだろうし、かといって、誰でも参加可能ということになれば、まちがいなく収拾がつかなくなるだろう。匙加減の難しいところだが、概ね現在のルールがちょうど良いレベルなのかも知れない。

 なお来週は日高の各種馬場でも展示会が開催される。こちらは招待制ではないので、どなたでも参加可能だ。ビッグレッドファームのゴールドシップにどれくらいの人々が集まるか、ちょっと興味がある。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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