スマートフォン版へ

出世レースで抜け出すのは? 追い切りチェック!

  • 2016年02月10日(水) 18時00分


新馬戦の出走制度について

 今日はいつもトレセンにいて、思うことから「提言」をさせていただきたいと思います。それが新馬戦における出走の制度。新馬戦の場合、各厩舎が投票を行って、頭数がフルゲート以上の場合は先週までの段階で除外されたことがある馬を優先的に出走させてくれます。ただし、その枠はフルゲート一杯ではありません。たとえば、16頭立てのレースの場合、11頭が除外の権利持ちが優先ですが、残り5頭の枠は除外の権利を持っている馬、そうでない馬、ごちゃまぜの抽選になります。つまり、運のない馬は除外の権利を持っているにも関わらず、5頭枠の抽選に外れて、またも除外ということになります。ちなみに除外された回数が多い馬が優先になるので、2回除外になれば、ほとんどの場合は翌週以降の投票で出走できることがほとんどです。

 このような状況は調教師が把握しています。よって、使いたいレースがあれば、一発では出走できない→除外になってもいいつもりで前の週に投票する。という状況が起こります。でも、権利を持っていなくても、5頭枠で入る場合があるわけですから、そうなると調教師が意図したこととは違う結果になります。

 ですから、新馬戦に限っては5頭枠を廃止して、除外の権利を持っている馬を優先的に出走させるべきだと思います。もちろん、権利がなくても使いたいというケースも発生してくるでしょう。しかし、権利を持っている馬が優先的に使うことができれば、前が詰まることはないので、自然と権利がなくても出走できる環境が整っていくのではないかと。しかし、それには番組構成の問題があるので、それについては、また来週書いてみたいと思います。

【クイーンC/サプルマインド】

 1週前追い切りをCWで行っていますが、その時計が馬場を考慮するとかなり速く、状態に関しては、その時点から良いと判断できました。小柄ですが、内面から張っている感じがして、体を大きく見せてくれます。

 最終追い切りはデビューから2戦と同じ坂路。その時計ですが、4F52.2秒なので、前走時の最終追い切りでマークした4F53.5秒を大幅に更新する自己ベスト。東京競馬場までの輸送があって、これだけの時計が出るのですから、動けるし動かせる状態なのでしょう。1勝馬といっても、決して侮ることができない存在となるはずです。

サプルマインド(2月10日撮影)

1勝馬といっても、決して侮ることができない存在となるサプルマインド(2月10日撮影)



【共同通信杯/イモータル】

 前走の最終追い切りはDコース芝馬場でしたが、明らかに折り合いがついていない動きでした。そのイメージを払拭させたのが、この中間の追い切り。まず、2月3日のCWではベルラップに先行して、きっちり先着。2月7日の左回りになるCWでも時計を出しているようなので、いろんな意味で上積みを感じる調教内容です。

 そして、2月10日のCWでのアドマイヤエイカンとの併せ馬。追走して、4コーナーでは外を回したので、最後の直線は交わせないように見えましたが、最後の30mくらいできっちり前に出て先着。この伸びは折り合っているからこそだと思うだけに、今回の状態は前走と全く違うといってよいでしょう。中間の乗り込み量も豊富なので、この状態でどれだけやれるか、本当の試金石になりそうです。

イモータル(2月10日撮影)

今回の状態は前走と全く違うといってよいイモータル(外・2月10日撮影)



【共同通信杯/スマートオーディン】

 東京スポーツ杯2歳Sを制した後も栗東で在厩するという、今の時代では少し異例な調整。そんなこともあってか、この中間にはCWでの追い切りがなく、そのあたりを心配していました。実際、1週前追い切りはあまり目立っていませんでした。

 しかし、最終追い切りの坂路ではラスト1Fが12.2秒の伸び。ラスト2F時計は前走時と同じ24.9秒ですし、CW追い切りがあるとかないという点についてはあまり気にすることはないかも知れません。

スマートオーディン(2月9日撮影)

最終追い切りの坂路ではラスト1Fを12.2秒で伸びたスマートオーディン(2月9日撮影)



【京都記念/レーヴミストラル】

 金鯱賞では負けるわけないと思って負けて、日経新春杯では、最終追い切りの単走がどうなんだろうと疑心暗鬼で勝たれて。どうも馬券的に相性の良くない馬ですが、この中間の動きはどちらかといえば後者に近い印象。むちゃくちゃ良く見えていた時に比べると、少し地味に映ります。

 そして、10日のCWでの最終追い切りは単走。全体時計は遅いし、ラスト1Fもすごく伸びたというほどではありません。これでも走るのかなあ、という感じですが、これで大丈夫だと判定すれば、凡走しそうな気もしますし、馬券的な判断は本当に難しいかぎり。ただ、この馬の前走を除く好走時と比較すれば、やはり評価できない内容です。

【京都記念/ヤマカツエース】

 富士S以降、ずっと栗東での在厩調整が続いているということで、長期間にわたって、馬を見ることができています。そんな中で、1週前追い切りは池添謙一騎手が跨って、上々の動き。この時計をとっている時に担当の土屋均調教助手から「まだまだ大きくなっている」という話を聞いていましたが、画像を撮影した9日の坂路での調整を見ていて納得。トモの運びが本当に力強くなっていて、びっくりしました。

 そんな印象とはちょっと違った動きが、10日のCW。少し時計を要する馬場だったこともあり、ラスト1F12.9秒と「らしくない」数字でした。もちろん、前半からある程度飛ばしているので、終い要するのは当然なのですが、このあたりをどのように判断するべきか。ちょっと難しいような気がします。

ヤマカツエース(2月10日撮影)

ラスト1F12.9秒と「らしくない」数字だったヤマカツエース(2月9日撮影)



◆次走要注意

・2/6 エルフィンS【ダイアナヘイロー】(7人/2着)

 予想コラムにも取り上げましたが、中1週で最終追い切り坂路の4F時計が51.3秒。これだけ動けるというか、これだけやれる状態は牝馬としては珍しいと思います。
 最後はレッドアヴァンセの末脚に屈しましたが、これから先も目を離すことができない存在になりそうです。

[メモ登録用コメント] [芝]追い切り本数標準以上なら勝ち負け

・2/7 東京新聞杯【アルマワイオリ】(10人/8着)

 予想上では無印でしたが、1週前追い切りの様子などを見ていると、好走しても不思議ない状態にあると判断していました。ただ、問題は折り合いがつくかどうか。また、東京競馬場も適性舞台ではないと思っていましたが、それらの課題をクリアした上での、勝ち馬から0.5秒差の負けだと思います。
 上がりが速くなりすぎない舞台なら、もっと勝負になるはず。馬券の買い時は次あたりだと予想しています。

[メモ登録用コメント] [芝]最終追い切り馬場問わず1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・4歳上500万下【テイクウォーニング】
 3歳未勝利を勝ち上がったのが、昨年3月。それから休養に入っているので、今週レースとなれば、11ヶ月ぶりですが、そんな状況を忘れてしまうくらい、抜群の動きを見せたのが、10日のDP。
 併せ馬でしたが、追走してくるエイシンノーティスが全く追いつくことができない状況。小倉芝1200mを予定しているそうなので、開幕週ならスピードで押し切ることができそうです。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング