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地方の小回りで適性示したストロングサウザー/佐賀記念・佐賀

  • 2016年02月12日(金) 18時00分

(写真提供:佐賀県競馬組合)



今後の活躍の場が広がった

 このレースの過去2年の勝ちタイムがともに稍重で2分9秒台の中盤で、地元期待のキョウワカイザーは暮れの中島記念で不良馬場とはいえ2分9秒2で楽勝していたので、ひょっとしてということがあるかもと考え予想で白三角をつけた。しかし結果的に地方最先着とはいえ、中央馬が掲示板を独占しての5着馬から6馬身も離されての6着。勝ったのは重賞実績のないストロングサウザーで、乾いた良馬場で2分8秒1という勝ちタイムを演出したのはキョウワカイザーだった。

 逃げが予想されたのは人気の2頭、マイネルバイカかクリノスターオーか。実際にはクリノスターオーが好スタートを切ってハナに立ちかけたものの、競りかけていったキョウワカイザーが1周目のスタンド前の直線でハナを取り切った。のみならず、2コーナーを回って向正面に入るあたりでは単騎の逃げに持ち込んだ。

 それでもキョウワカイザーを楽に逃げさせるとまずいと思ったのか、早めにつかまえに行ったのがマイネルバウンスだった。鞍上はコースを熟知する川田将雅騎手。ご存知の方も多いと思うが、川田騎手は父が佐賀の調教師ゆえ、この佐賀競馬場で育ち、佐賀記念こそ1勝のみだがサマーチャンピオンでは3勝している。

 キョウワカイザーにしてみれば、前半先頭に立つのに少し無理をしていて、それでも2周めに入って息が入ればよかったが、マイネルバウンスに早めに来られたことで厳しい展開になり、3コーナー過ぎで後退。それで実績上位の人気2頭が抜けてくるかと思いきや、2頭ともに追走に一杯という状態だった。

 そして3〜4コーナー、1頭だけ抜群の手ごたえで位置取りを上げてきたのがストロングサウザーだった。直線では、勢いをなくしたマイネルバウンスと、外から来ていたマイネルクロップとの間を割るようにして突き抜けた。

 人気2頭も最後は地力で食い下がったものの、クリノスターオーが3着で、マイネルバイカが4着。中央5頭が掲示板を独占したものの、実績どおりの結果とならなかったのは、地方の小回りコースや、時計のかかる乾いた馬場が合うか合わないかが要因としてあったのではないだろうか。1番人気のマイネルバイカは、スタートしてしばらく砂の深い内を通らされた。クリノスターオーは前走後、栗東の坂路で相当の本数を乗り込んでいたが、それでいて輸送があっての12kg増で、デビュー以来の最高の馬体重というのは本来の状態ではなかったのだろう。

 勝ったストロングサウザーは外枠からのスタートで、前が出入りの激しい競馬を好位のうしろに控えてスムーズに追走できたことで力を発揮した。中央勢ではもっとも若い5歳。ここで賞金を加算し、地方の小回りの時計のかかる馬場が合うとなれば、今後活躍の場が広がるだろう。

 2着のマイネルクロップは昨年のこのレースを制し、マーチSも連勝していたが、その後がさっぱりだった。しかし今回は馬場適性があったことに加え、2歳時の初勝利を別とすれば、連対実績は11月〜3月に限られるという季節的なこともあっただろう。

 今回はいかにもフェブラリーSの裏番組といえるようなメンバーで、地元期待のキョウワカイザーは着順こそ6着だったが、厳しい流れと展開は、今後に向けてのいい経験になったのではないか。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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