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もっとも得意とする東京ダート1600m/フェブラリーS

  • 2016年02月20日(土) 18時00分


おそらく先行馬には苦しいハイペース

 東京のダート1600mで行なわれるG1ながら、なんと関西馬の「16連勝」が続いている特異なレース。この間、1番人気になった関東馬は1頭も存在しない。さらには、2着に食い込んだ関東馬さえたった1頭だけ。かろうじて3着に食い込んだ関東馬が16年間で4頭。長い間、ダートの勢力図は極端な「西高東低」が続いている。

 ところが、今年は過去16年間で最多タイの6頭の関東馬が挑戦することになり、断然の1番人気に支持されるのは、最初は牝馬と間違えられることも珍しくなかった4歳牡馬ノンコノユメ(父トワイニング)である。ノンコノユメは期待に応えることができるだろうか?

 馬名の印象と、500キロ以上が当たり前のダートのオープン馬の中にあって、今回の組み合わせの中では抜けて少ない馬体重450キロ台。ノンコノユメが1番人気に支持されるのは、G1格のレースを含みもう6勝もしているのに、自身にとっても11戦目の今回が初めてである。

「これは本当に本物だ」と多くの人びとに思わせたのは、あまり合っていそうもない公営大井のダート2000mのジャパンダートダービーを力強く伸びて完勝したあと、大きく条件の異なる武蔵野Sを制してみせた内容だった。初の古馬相手に別定58キロを背負い、ちょっと苦しいと思える位置から、届いたのはまさに底力の証明である。大井の2000mを2分05秒6で勝ったあと、一転、1600mを現在のレコードと0秒6差の1分34秒7はすごい。まだ完成途上の3歳の秋、さらに強くなることが予測されると、ホッコータルマエ、コパノリッキー、サウンドトゥルーなどを相手に、苦しいインに突っ込みながら、チャンピオンズCを小差2着。これからまだパワーアップすること必至である。

 今回は、もっとも得意とする東京ダート1600m。土曜日の雨で1分35秒を切るくらいの速い時計が求められるのも、行きたい先行型が複数いて、おそらく先行馬には苦しいハイペースのレース展開が避けられないのも、ノンコノユメ向きだろう。

 死角は、あまりに流れが厳しくなり、1番人気馬ゆえ、道中で脚を使わされてしまう形か。58キロの武蔵野Sですでに1分34秒7がある。ルメール騎手だから、あせって早めの追撃はないと思えるが…。

 怖いのは、本質が快速系ゆえ、時計が速くなるほど失速の危険が小さくなる4歳モーニン。素晴らしい状態になり、一転、差す形もあるだろう。デムーロの戦法は読みにくい。過去2回は力を出し切ったとはいえないベストウォーリア。それに、急速な本格化を示す牝馬ホワイトフーガが侮れない。最近、やや勢いを欠くクロフネ産駒だが、この牝馬は体型からして父クロフネに似ている。東京ダート1600mで独走したクロフネの逆襲があって不思議ない。穴馬は、タメが利いた際のタガノトネールだろう。前回は動くのが少し早かった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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