スマートフォン版へ

今年は平穏の年/アーリントンC

  • 2016年02月26日(金) 18時01分


急に評価の下がった馬の取捨がカギ

 2000年エイシンプレストン、2002年タニノギムレット、2004年シーキングザダイヤ、近年では2012年のジャスタウェイなど、時々のちの大物を輩出するレース。

 外回りの1600mになった2007年以降の9回は、馬連1500円以下の平穏な年が「5回」に、まったく逆に馬連100倍以上の年が半分の「4回」。特徴というなら、順当か、大波乱か、極端な結果が多いこと。なぜか、ほど良い配当の中波乱がまったくない。出走馬のなかに、今年ならボールライトニングロワアブソリューのように大きく評価の変動するタイプがいるのも特徴。急に評価の下がった馬の取捨がカギになる。

 人気の中心だが、どうやら平穏の年とみてアーバンキッド(父ハーツクライ)から入る。

 坂のある中山コースの1600mで、前々回が「1分34秒1」。前回がちょっと脚を余して「1分34秒2」。ここ2戦の中身は濃い。

 騎乗するF.ベリー騎手は先週で実効4日間の騎乗停止が解けたあと、今週が単騎免許の最後の1週になる。もう帰国してしまい、残る1週だけ乗るとは思えなかったが、13年のAJCCの大斜行で実効「6日間」の騎乗停止になったときも、たしかそのあと2週間騎乗している。ちゃっかりしているのか、思われているより律儀な男なのかは分からないが、変に日本人化していないから、どのレースも真剣に勝ちに出る点では信頼に足る騎手である。

 ハーツクライ産駒は、前出のジャスタウェイを筆頭に、今年のシンザン記念のロジクライ、さらにはヌーヴォレコルト、ワンアンドオンリーなど、最初のうちは1600mで結果を残し、それから本格化して距離延長をこなす産駒が多い傾向がある。

 アーバンキッドの牝系は、祖母セニョラージェ(父ヌレイエフ)の兄に凱旋門賞、仏ダービーなどのスワーヴダンサー(父グリーンダンサー)がいる。また、5代母ロッジの半兄には名種牡馬ハビタットがいる。ハビタットは、その産駒にスティールハートなど一般にはスピード系の種牡馬だったが、母の父となってリファレンスポイント、シャーミットなどの英ダービー馬に影響を与えるなど、短距離向きスピード系にはとどまらない種牡馬だった。

 アーバンキッドは、スウェイン、ヌレイエフ、アレッジド、ラウンドテーブル、ボールドラッド…を配されてきた牝系に、ハーツクライ。うまくかみ合うと距離が延びてからジャスタウェイ型に育ってくれるかもしれない。

 4番人気の朝日杯FSでは凡走したが、今度はゆるい仕上げではなく直前もビシッと追って一変がありえるボールライトニング、陣営がきわめて強気なヒルノマゼラン、勝ち方がちょっと光っていたビップライブリー、今度は気分良く行かせるだろうロワアブソリューが相手本線。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング