強敵2頭より後方に控えることはない
今年の3歳世代の牡馬の関係する重賞路線は、興味あふれる複雑な形がまだまだ連続している。夏のロードクエスト(新潟2歳S)から始まり、先週のレインボーライン(アーリントンC)まで、マイル戦以下の短距離重賞も含めると、男馬の制したJRA重賞は計「15」に達した。でも、その15レースの勝ち馬はすべて異なっている。交流の全日本2歳優駿などの勝ち馬も加わる。このうち、おそらくクラシックではなく、マイル路線に行くだろうと思える勝ち馬が3〜4頭いる。
これらを別にして、ふつうはクラシック候補ランキングに入って当然の重賞勝ち馬が12〜13頭もいる。この弥生賞で、
エアスピネル、
リオンディーズ以外の馬が勝利し、賞金の加算されない3着に1勝馬が入って皐月賞の優先出走権を獲得。スプリングSでも似たような結果が生じ、さらに毎日杯で新星が勝ったとする。そうすると、皐月賞のフルゲート「18頭」から、新馬と早い時期の2歳重賞を勝ち条件賞金1900〜2000万円となり、クラシック出走など楽々当確と思われていた馬がはみ出しかねないのである。
まあ、そんなことはまずないだろうが、2歳重賞が増えたところに、別々の勝ち馬が次々に誕生したから、重賞を1つ勝ったくらいでは、賞金ランキングでクラシック出走OKではないのも事実である。
また、新しい重賞勝ち馬
マカヒキ(父ディープインパクト)の誕生に期待したい。前回の若駒Sはスローなので全体時計は目立たないが、レースの上がり3ハロンは「11秒4-11秒0-11秒1」=33秒5だった。これを中団より後方から抜け出したマカヒキ自身の上がりは、「(推定)11秒3-10秒7-10秒6=32秒6」。とても目いっぱい追っての抜け出しとは映らなかったから、京都とはいえ素晴らしい切れである。
人気はともかく、マカヒキはまだ挑戦者の立場。リオンディーズと、エアスピネルは、前回の対戦もあるから、距離2000mへの延長もあって、互いの位置取り(射程への入れ方)には思惑もあるだろうが、マカヒキは強敵2頭より後方に控えることはないと、推測したい。位置を取りに出ることも珍しくないルメール騎手でもある。強敵2頭が出走を承知でここに挑戦し、弱気な戦法はない。
つい数年前には、ドイツ牝系が注目を集めたが、今年の注目は、アルゼンチンで発展する牝系。目下、候補No.1の評価を受けるサトノダイヤモンドは、ペルーサや、ディアデラノビア母子と同じようにアルゼンチン育ちの牝系だが、このマカヒキのファミリーも英国からアルゼンチンに渡って発展した牝系になる。