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中山牝馬Sは“無理にでもひねってみたい”レース!

  • 2016年03月11日(金) 18時00分


◆ルージュバックと心中しきれない理由

 ルージュバックの参戦でぐっと盛り上がっている中山牝馬S。ただこのレースは荒れてナンボのレースでもある。素直に同馬を買うというよりは無理にでもひねってみたいというのが私の方針だ。

 そのルージュバックだが、昨年は外厩メインで調整するのか厩舎に置くのかというところばかりが注目され、外野も騒いで逆に焦点がボケた印象がする。デキももちろん重要なのだが、競馬は適性や展開も大きく作用するわけで、そちらが敗因になってきた面も当然あるはずだ。

 そう考えると、中山芝1800mという舞台は少々不安でもある。器用に立ち回るというよりは一刀両断に末脚で他馬を断ち切るタイプ。特に後ろからの攻めになって進出途中でブレーキを踏むシーンがあると、それが致命傷になりかねない。個人的にはヒモ扱いでいきたい。

 もうひとつルージュバックと心中しきれない理由が、このレースにおける4歳馬の弱さだ。過去10年でもそれは明らか。三冠路線を戦って間もない明け4歳馬と、煮詰まり感のある5歳以上馬で前者のほうが斤量を余分に積まれがちという可能性もある。3月の1800m戦なので、ここで4歳馬はベースになる斤量が1キロ増えてもいる。

 今回はアースライズも人気になりそうだが、前走が3着で今回1キロ増というのはまさにこのパターン。1キロのぶんだけ着順が下がって4着、という可能性も意識しておきたい。

 シングウィズジョイも個人的には狙いを下げようと思っている1頭だ。ターコイズSは中だるみの実質スローで、上位馬はすべて先行した馬たち。勝ったこと自体にはもちろん価値があるが、それを根拠に人気になるのはおいしくない。

 馬券で狙いたいのは愛知杯の「負け組」だ。例えばシュンドルボン。愛知杯はかなりの差し競馬だっただけに、道中4〜5番手だったこの馬が沈んだのは言い訳がきく面もある。前走オープン・重賞から斤量据え置きでここというのはデータ的に良いパターンでもあり、今回はレイヌドネージュヴィルジニアあたりにも注目してみたい。

 純粋に展開面から気になるのがウインリバティ。エリザベス女王杯では16着と大敗したがさすがにGIの話だし、逃げ馬は負けるときは大きく負けるもの。今回は完全な逃げイチになるだけに、警戒が必要だ。

 先述したようにこのレースでは4歳馬が弱く、そのぶん他の重賞に比べて6歳馬にもチャンスがある。自在性のあるノボリディアーナあたりもヒモには押さえておきたい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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