桜花賞では主流路線以外にも注意
桜花賞に出走する直前のレースは、「チューリップ賞」が断然の主流になり、それも近年になるほど有力馬の出走するステップレースになった。3着までに「優先出走権」が与えられるといっても、実際には賞金獲得額から出走を確定させている有力馬が複数いるから、チューリップ賞で権利を取ろうとするのは、最初から無理なことが多い。
チューリップ賞組の断然の優位性は最近になるほど増し、最近20年間の桜花賞の1-3着馬それぞれ20頭のうち、チューリップ賞組の占める数は、【12頭-7頭-6頭】である。勝ち馬の60パーセント(12頭)がチューリップ賞組、2着馬の35パーセント(7頭)、3着馬の30パーセント(6頭)も、チューリップ賞組という意味である。
かつては、主流路線だった1400mの「フィリーズレビュー」組は、過去20年間では【3頭-3頭-3頭】となるが、最近7年間に限るなら【0頭-0頭-1頭】にとどまる。
フィリーズレビューは、桜花賞のトライアルとして検討するより、多頭数の阪神1400mの独立した重賞と考えてアプローチした方がいいなどといわれる。今年もそうなりそうな勢力図がすでに浮かび上がっているが、先週のチューリップ賞はウオッカ=ダイワスカーレットのレースレコードを大幅に更新する「1分32秒8」。メジャーエンブレムの独走したクイーンCも驚異の「1分32秒5」。ともに桜花賞レコードさえはるかに上回っている。
それだけハイレベルの逸材揃いか、というと、チューリップ賞はしんがり16着馬まで1分33秒台だった。芝刈りの時期、週単位で芝状態の変わる季節、エアレーション効果の変動などにより、異常な高速馬場が生じていた可能性は否定できない。
かつて、NHKマイルCが転落への入り口と評されたのと同じ理由で、若い3歳馬が早い時期に過度のスピードレースを展開すると、たとえ馬場が固くなくとも、腱や筋肉、さらには心肺機能など、バランスの取れた成長を蝕む危険から逃れることができないのではないか?それが当てはまる素質馬が生じてしまっているのではないか。あまりにも時計が速すぎたため、妙な心配がささやかれているのである。まだ、3-4戦目の牝馬だからなおさらである。
サバイバル路線になどならないはずだが、今年は主流路線以外のステップを選んだ伏兵グループにも、注目しておく必要があるかもしれない。
人気の
アットザシーサイド、
メイショウスイヅキは、1400m適性もありここを選んだ。明らかにチューリップ賞組よりランクは落ちるうえ、ここまでのレース内容はメジャーエンブレムと比較するレベルではないが、少し成長するなら1600mに大きな不安があるわけではない。レースぶりに注目したい。穴馬は、オーバーホールで線の細さが消えた
ボーダレス(父アドマイヤムーン)か。インでうまくタメが利くと切れるはずだ。