◆「ポテンシャルに見合った動きをするように」
こっちが聞いてもいないのに、関係者の方から自主的に馬の話を持ち出してくるのは、よっぽど状態がいい証拠と、古今東西決まっている。
先週、中日新聞杯の取材で音無厩舎の馬房まで行った時のこと。担当の武田助手が「レコンダイトもいいっすけどね」と口にした後、「こっちの方がもっと自信があります」と自ら“推奨”してきたのが隣の馬房でのんびりカイバ桶に顔を突っ込んでいた若葉S(19日=阪神芝内2000メートル)に出走するノガロだ。
「これまでは体がしっかりしていなかった分、持っている能力を全て出し切れていない感じだったんですけど。ようやくしっかりしてきて、ポテンシャルに見合った動きをするようになってきたんです。今週、来週の動きを見てもらえれば、それが分かると思いますよ」
その言葉がずっと脳裏に残ったまま、チェックしたここ2週のノガロの追い切り内容は、まさに武田助手の言葉を裏付けるものだった。
これまでは一杯に追っても坂路で4ハロン53秒を切るか切らないかが精一杯だった馬が、いかに馬場がいいとはいえ、先週(9日)=52.0秒、今週(16日)=51.2秒とワンランク上の時計を叩き出したのだ。
「馬がステップアップしたのは間違いないですね。(松若)風馬も前走(きさらぎ賞4着)は勝負に行ってくれて、あの競馬はあの競馬で声は出ましたけど。今まではどうもこの馬を動かし切れていない感じの競馬ばかりだったのは確か。今回は戸崎(圭)さんが乗ってくれるのも魅力だし、皐月賞の権利(2着までに優先出走権)は取ってくれると思いますよ」
何せ13番人気で3着に好走した中日新聞杯のレコンダイト以上の“推奨馬”。人気の一角にはなるかもしれないが、馬券はきっちり決めておきたいところだ。(栗東の坂路野郎・高岡功)