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スマートオーディン 戸崎圭が眠れる末脚よみがえらせる!?/吉田竜作マル秘週報

  • 2016年03月23日(水) 18時00分


この毎日杯が分水嶺となりそうなスマートオーディン

 中央開催(福島、阪神)で2歳戦が6月から始まるようになってもう14年がたつ。それ以前はというと、函館開催が中央の2歳戦に先駆けて行われていた。この際、馬産地から函館の馬房に直接入キュウするには競走馬登録をする必要があった。しかし、一般的にはこの登録を行うのは両トレセンの検疫馬房に入った時。体力のない若馬に馬産地→トレセン→北海道のUターンがこたえるのは言うまでもない。そのため、今やPOGになくてはならない「産地馬体検査」が行われるようになったといわれる。この検査を受けることで競走馬登録が完了するため、馬産地から直接函館や札幌の馬房へと入キュウできる運びとなる。

 しかし、今はこの北海道の直接入キュウについても2歳新馬の枠ができた。「検査は混み合うというし、2歳馬にとってはリスクもついて回ります。うちは基本的に受けません。今は函館にも直接入れる枠ができましたから」と言い切るのは安田調教師。当たり前だが、競馬の主役はサラブレッド。リスクを避け、彼らがいい状態でレースに臨むことが大前提なのだ。

 では、なぜ形骸化しつつある「検査」を受検するのか。「馬主さんや(愛馬会の)会員さんへのアピール」と平然と言ってのける某調教師もいる。POGファンを始め、競馬ファンに向けての“発信”という意味合いの方が色濃くなっているのかもしれない。近年は馬主の発言力が強くなり(というか、そもそもはそうあるべきなのだが)、サラブレッドを“大切に”扱う傾向が強くなっている。個人オーナーの所有馬、リスクを避けたい取っておきの素質馬などが受検しないとなると…そのうち“見どころ”に乏しい検査となっていくかもしれない。

 POGを推し進めてきた記者としては複雑だが、やはり基本は「主役はサラブレッド」という考え方。字面や勝った負けただけでなく、POGはリアルに走る馬の姿をより楽しみ、競馬好きの仲間たちとの仲を円滑にするための“ツール”としてあってほしいもの。これからドラフトのリスト作りなどで忙しい方も多いだろうが、その際はぜひこうした気持ちを心のどこかに置いてほしい。

 受検馬がそれほど増えない上に、近年は直前まで近くの育成牧場で調教されることが増えた2歳新馬。ただ、裏を返せばもうそこまでやってきている馬もいるということだ。「もう(ノーザンファーム)しがらきや吉澤WESTに来て入キュウを待っている馬もいます」とは前出の安田師。先日、北海道へ行ってきたという西園師も「この前見に行ってきてアイアムトゥルーの子(牡=父スクリーンヒーロー)がいい動きをしていた」と2歳馬の情報を伝えてくれた。球春ならぬ、“キュウ春”到来はもう間もなくだ。

 さて、その前に今週の毎日杯に進退をかける馬がいる。それが松田キュウ舎の屋台骨スマートオーディン。「前走の結果ではオーナーに報告しづらいですから。勝てばいろいろと相談できると思います」と松田調教師。皐月賞へ臨むのか、それとも“マツクニローテ”の王道、NHKマイルC→ダービーとなるのか。いずれにせよ、この毎日杯が分水嶺となりそう。戸崎圭が眠れるオーディンの末脚をよみがえらせれば…混迷の皐月賞をさらに難しいものに変えてしまうかもしれない。

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