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「ダービーからダービーへ」(辻三蔵)

  • 2016年03月29日(火) 18時00分


◆ノーザンファーム生産馬の早期デビュー組を育成段階で見抜くには…

「ダービーからダービーへ」を合言葉に、2012年から2歳新馬戦は日本ダービーが終わった翌週に行われるようになった。

 初年度の2012年には6月に新馬戦を勝ったマイネルホウオウ(2013年NHKマイルC1着)、ロゴタイプ(2012年朝日杯FS、2013年皐月賞1着)がGIウイナーになった。

 3回東京開催が4日から8日間に増えた2013年にはイスラボニータ(2014年皐月賞1着)が6月2日に、阪神競馬ではレッドリヴェール(2013年阪神ジュベナイルF1着)が6月1日に新馬勝ちを飾った。

 6月デビュー組がGIに直結する傾向が強まり、2014年からはノーザンファーム生産馬が本格参戦。ノーザンファーム生産馬の6月成績は2014年が7勝、2015年は4勝と最多勝利を記録。2015年には同年の阪神ジュベナイルFを勝ったメジャーエンブレムが6月14日に東京で新馬戦を勝利。6月デビュー組の重要性を裏付ける結果になった。

 メジャーエンブレムは育成先のノーザンファーム空港牧場からノーザンファーム天栄を経由して4月30日に美浦トレセンに入厩。入厩時期を早めることで乗り込み量を増やし、確実に勝てる状態に仕上げていた。メジャーエンブレムは新馬勝ち後、右前脚の球節部に軽い腫れが出たが、1勝したことで夏場を休養期間に充てている。

 昨年6月の東京競馬ではトウショウドラフタ(2016年ファルコンS1着)、ロードクエスト(2015年新潟2歳S1着)が新馬勝ちを収めている。

 今年の3歳クラシック路線を見る限り、2歳6月と2歳秋デビュー組が活躍しており、夏競馬を境にデビュー時期が分散している。早めに勝たせて夏競馬を休養期間に充てるか、牧場で夏を過ごし、暑さが収まった時期にトレセンに入厩する二極化が強まっている。

 3月28日の時点で美浦トレセンには12頭の2歳馬が在厩しているが、島川隆哉オーナーが所有するエスティファーム生産馬(6頭)が半数を占める。社台系の馬は1頭も入厩しておらず、6月の東京開催を見据えた素質馬が入厩するのは4月下旬以降になるだろう。

 ノーザンファーム生産馬の早期デビュー組を育成段階で見抜くには調教内容を見ればいい。ノーザンファーム空港牧場なら屋内周回コースで走行距離2400m以上のキャンターを週に3日以上行い、週2日(もしくは3日)、屋内坂路で1F15-16秒台のキャンターを2本行う。心肺機能を鍛える基本速度と言われている[15-15](1Fを15秒台で走ること)の調教時計を出せるようになれば、美浦・栗東トレセンへの移動が近いと考えられる。放牧先で早期デビュー組を見極めるには牧場で出す調教時計に注目だ。

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

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