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宮崎育成牧場展示会

  • 2016年04月06日(水) 18時00分
宮崎育成牧場展示会

宮崎育成牧場展示会風景


こうした機会は新たな人々と知り合う大きなきっかけにもなる

 4月になり、いよいよ月末のブリーズアップセール(以下BUS)が3週間後に迫ってきた。去る4日(月)と5日(火)には、宮崎育成牧場にて、JRA育成馬22頭の展示会が5日に、そして前日の4日には新規馬主対象の「育成馬を知ろう会」がそれぞれ開催された。

 昨年は1週間日程をずらして開催されたが、今年は2日間続けて実施されることになり、まず「育成馬を知ろう会」は、4日(月)午後1時半より、場内診療所二階にて始まった。

 10数人の新規馬主と東西の調教師が数人集まり、JRA育成馬とBUSについての説明からスタート。配布された資料では、JRA育成馬のBUS後における競走成績なども詳細に紹介されており、またキャリア3年以内の新規馬主限定セッション対象馬(8頭上場予定)についても案内されていた。

 その後、頃末憲治業務課長による「馬の見方について」のレクチャーに移り、写真や動画を使用して、馬を見る際の要点について分かりやすく解説された後、レポジトリーに関する説明と続き、かなり内容の濃いものであった。

育成馬を知ろう会、座学風景「馬の見方」

育成馬を知ろう会、座学風景「馬の見方」



 馬の各部位に関する説明は、専門的な知識が必要で一度に理解できるようなものではない。そのため、座学の後は、実際に生の馬を間近で見て、より詳しい説明を受けることになり、宮崎育成牧場にて訓練用の乗馬として繋養されている14歳せん馬をモデルに、さらにより踏み込んだ馬学講座となった。その後、宮崎の育成馬が6班に分かれて展示された。

実馬を使用して「馬の見方」を学ぶ

実馬を使用して「馬の見方」を学ぶ



 この「育成馬を知ろう会」は、新たに馬主になった人々を対象に、馬を買い所有して競馬をより楽しんで頂くために開催されるもので、この後、市内のホテルに場所を移して夕刻より開催された懇親会には、東西トレセンから10数人の調教師も参加し、それぞれ新規馬主と名刺交換をして懇親を深める光景が見られた。できるだけ多くの方々と面識を得て頂くために、時間ごとに席替えを行い、さながら“お見合いパーティー”のような進行であった。せっかく馬主になったのに、どうやって馬を買い、どこの誰に預けたら良いのかと悩む新規馬主が少なくないことから始められた行事であり、こうした機会は新たな人々と知り合う大きなきっかけにもなる。

前夜の懇親会

前夜に行われた懇親会



 翌5日午前10時より育成馬展示会が開始された。私事ながら前日もこの日も、北海道とはまるで異なる温暖な気候に驚かされた。青々と芝生が伸びており、気温は20度前後にもなっている。北海道の感覚では、もう春を通り越して夏の陽気に近い。前日、早朝に私宅を出発した時の気温は3度だったので、なおのこと暑さに体がついて行かない。

 最初はまず前日と同じく、牡牝それぞれ3班ずつ計6班に分けての展示である。1班あたり3頭〜4頭ずつが引き出され、厩舎と厩舎の間の芝生上に並べられる。少頭数なのでじっくり観察する余裕がある。

 22頭の展示後、牡牝それぞれ10頭ずつの計20頭が騎乗供覧を披露することになった。宮崎育成牧場は元競馬場であり、ダート千六の本コースと内側に500mのウォーミングアップ用馬場を持つ。

宮崎展示会内馬場にてウォーミングアップ

宮崎展示会内馬場にてウォーミングアップ



 500mにて速歩からキャンターで体を温めた育成馬たちは、本コースに移動し、最初の1周をハロン20秒程度のキャンターを縦列で行ない、2週目に今度は2頭併走で、概ね13秒前後のギャロップを披露する。

 とはいうものの、中には想定以上の速度が出てしまう組もあった。牡馬では最初に登場した4番スノーボードロマンの14(父バゴ、JRAホームブレッド馬)とエーシンブランディの14(父ヴァーミリアン)の12.2、12.2計24.4秒が最速だったが、驚かされたのは、牝馬の2組目に登場した58番セイカシリアスの14(父パイロ)と、81番タイキノワールの14(父ストーミングホーム)で、実に11.7、11.6計23秒3という時計であった。このまま順調に行けば、中山競馬場の騎乗供覧でも、好タイムが期待できそうだ。

スノーボードロマンの14

スノーボードロマンの14


セイカシリアスの14

セイカシリアスの14


エーシンブランディの14

エーシンブランディの14


セイカシリアスの14と、タイキノワールの14

驚かされたセイカシリアスの14と、タイキノワールの14の追い切りタイム



 どの馬もよれることなくまっすぐに走り、明らかに口向きの悪そうな馬は見当たらなかった。現時点で昨年のBUSにて取引されたJRA育成馬は17頭が19勝しており、とりわけ宮崎組の健闘が目立つ(8頭で9勝)。

 来週は浦河の日高育成牧場での展示会が開催される予定で、列島の南と北に分かれて育成されている2歳馬の仕上がり具合を比較してみたいと思う。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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