ここまでの記録よりもっとレベルの高い内容を期待していいのではないか
今年の最大のポイントは、人気の
メジャーエンブレム、さらにはチューリップ賞組の
シンハライト、
ジュエラーのレベルはどのくらいのランクなのか。前哨戦の時計が示すほど強いのか、を再検証することにある。まず、阪神JFのメジャーエンブレム。1分34秒5はあの時点ではとくに速いわけではない。ただし、単に行っただけではなく、推定「47秒0-47秒5」のバランスで抜けた中身に、これからもまず崩れることはないと予感させる安定した総合スピードを示していた。今回とまったく同じ間隔で出走したクイーンCは、驚異のレースレコード1分32秒5=「46秒1-46秒4」だった。前年の小差2着馬ミッキークイーンが1分34秒0であり、それはレースレコードと同じ時計。だから、レースレコードを1秒5も短縮したのである。だが、当日の未勝利戦の着外馬でさえ1分34秒台であり、他のレースの時計をみると、1秒5近い馬場差のある高速の芝だった。バランスの良さ、最後まで11秒台のラップを楽々と連続させた点で、阪神JFよりスケールアップしたが、快レコードは数字が与える印象ほどの強さの証明ではない。
1分32秒8=「46秒8-46秒0」のレースレコードで決着したチューリップ賞はどうか。ダイワスカーレット=ウオッカのレースレコードの1分33秒7を0秒9も更新しただけでなく、桜花賞レコードの1分33秒3をも0秒5も上回っているから、これはもうどうみても限りなく怪しい時計である。その証拠に、しんがり16着のアドマイヤリードが1分33秒9だった。ダイワスカーレットやウオッカと、ドンケツの馬でさえほぼ同じ時計で乗り切ったチューリップ賞の馬場はあまりに変。レースレベルは測りにくいが、同タイムの2着馬ジュエラーはシンザン記念の微差2着馬。1分34秒1で決着したシンザン記念のレベルは必ずしも高くない。
他のレースから推測するに、結局、チューリップ賞の日の阪神も、1秒3-5くらいの大きな馬場差があった可能性が高い。
今年は、500万下の馬がロードカナロアのレースレコードを大きく0秒8も更新する瞬間があった高松宮記念の中京など、来年はどういう方向にするのだろうと心配になったが、クイーンCの東京も、チューリップ賞の阪神も、かなり変であり、芝整備の難しい時期とはいえ、週ごとの明らかな馬場の違いが大きすぎた。
桜花賞の馬場はどうなのだろう。土曜日の阪神牝馬S1600mや、10レースの1400mを参考にすればいいが、いま、土曜日の6レースが終了した時点では、古馬500万下のマイルで1分33秒4、古馬1000万下の1400mが1分20秒7だった先週とほぼ同じ芝コンディションか。3歳500万下が平均ぺースに近い流れで、1分34秒0「47秒2-46秒8」。レース上がりは34秒9だった。チューリップ賞の日や、クイーンCの日ほどは速くない。荒っぽい推測だと、先週の古馬500万下(かなりレベルは高かった)が1分33秒4なら、平均ぺースの可能性が高い桜花賞は、レコードと同じくらいの1分33秒3前後を予測していいだろう。
メジャーエンブレムは、皐月賞前に急速に良くなった父ダイワメジャーと、その4分の3妹で07年の桜花賞を制したダイワスカーレットにきわめて似たタイプと思える。ここへ来てスケールアップしているから、ここまでの記録よりもっとレベルの高い内容を期待していいのではないかと考えたい。快速型ではなく、粘り強い平均ぺース型がその本質。自分でハイレベルの一定ペースをつくれる利をフルに生かしたい。クイーンCほど時計は速くなくとも、同じように後続には楽をさせない戦法で勝機をつかめるはずである。
流れに紛れがないと、チューリップ賞組もかなり有利になる。シンハライトも、ジュエラーも、前回は緩い流れを追走できたから鋭く伸びたわけではない。
全体時計が速くなると、今年の組み合わせは人気馬有利になる公算大。追い込み一手型も、メジャーエンブレムと同型も苦しい。ただ、案外外差しは決まりそうだから、妙味は、
デンコウアンジュ、
アットザシーサイドか。