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調教で見えた! リオンディーズとサトノダイヤモンド、鞍上が手の内に入れているのは!?

  • 2016年04月13日(水) 18時00分


エアスピネルの逆転は……

 先週の桜花賞は予想が的中したこともあって(笑)、実にいいレースでした。ゴール前は首の上げ下げでしたが、8日金曜日に藤岡健一調教師と話していて「今度もシンハライトと上げ下げの勝負になるはず。チューリップ賞では、少し頭が高いから上げ下げで負けたけど、今回は首を下げるための調整に取り組んでいるから、結果は変わってくるはず」と話していたんですよね。だから、僕はゴール前のシーンが鳥肌モンで「先生の言った通りやん」とひとりで突っ込みを入れてしまいました(東京競馬場で講師の仕事をしていたので、モニター観戦でした)。

 言った通りになるなんて、なかなかないことですが、それを実現する後押しは「勝負の流れ」だと思っています。ビッグアーサーの高松宮記念で引き寄せた流れを確実にモノにした藤岡健一厩舎。この流れで、天皇賞・春も仕留めるのでしょうか、それとも…。

 それよりも重要なのは、今週の皐月賞。マカヒキの最終追い切りに関しては、トレセンニュースで速報させていただきました。最初、担当の大江助手から「坂路でやります」って聞いた時に?と思いましたが、よく考えれば、前走の最終追いも坂路だったんですね。それはいいとして、それ以上に気になるのは、前走のような加速ラップではなかったこと。これをどう判断していいのか、正直、迷っています。

【皐月賞/リオンディーズ】

 マカヒキの◎を迷わせる存在がこれ。弥生賞の最終追い切りでは外を回ったこともあって、前に追いつくことができませんでしたが、M.デムーロ騎手が前を捕まえにいこうと手綱を押したことで「仕上がり途上なんだ」と感じました。前走時の1週前追い切りにしてもあまり派手な動きではなかったので、そのあたりが一連として、やっぱり休み明けと判断した理由です。

 しかし、この中間は2週前追い切りから動きが機敏。特に1週前はマウントハレアカラを追走して、鞍上が軽く仕掛けるだけで一瞬にして相手を交わし去りました。あの動きができたからでしょう、今回の最終追い切りでは前に2頭が走っていても、それを追い抜こうとする気配がありません。実質、単走追い切りのような形で時計はごく普通の数字。しかし、ゴールを過ぎてからも前を追い抜こうと頭を上げたり、テンションが上がった仕草は見せておらず、完全にジョッキーが手の内に入れているといった感じ。

 これを見せられると、前走のように先行することもなければ、極端な後方からのレースでもなく、中団のいい位置につけて、勝負どころでエンジンをかけて、直線半ばで楽に先頭というシーンが思い浮かびます。

リオンディーズ(4月13日撮影)

完全にジョッキーが手の内に入れているといった感じのリオンディーズ(4月13日撮影)



【皐月賞/サトノダイヤモンド】

 この中間のトレセンニュースでもずっと取り上げていますが、決して悪くないけど、少し地味な印象が残る追い切りが続きます。その理由のひとつが、今朝13日の追い切りでようやく分かったような気がします。それが「コーナーでのラップの遅さ」です。

 1週前追い切りこそ、CWでの3コーナーから4コーナーのラップはそれなりに速くなりましたが、それ以外のCW追い切りは最終追いを含めて、ほとんどが3F40秒くらい。つまり、最後の1F手前のラップが14秒から15秒といったところになります。最終追いに関しても、エアカミュゼを追い抜く際の反応とかフットワークは素晴らしいと感じるのですが、そこに至るまでの経緯が遅いので、この伸びは当然のように思ってしまうんですよね。

 コーナーをゆっくり回って、直線でズドン。これって、直線の長い東京競馬場にぴったりなような気がしています。陣営が常に「ピークをダービーに」とコメントしている理由がここにあるような気がしてなりません。

サトノダイヤモンド(4月13日撮影)

決して悪くないけど、少し地味な印象が残る追い切りが続くサトノダイヤモンド(4月13日撮影)



【皐月賞/エアスピネル】

 これまで週中の追い切りは坂路でしたが、今回の1週前追い切りはCW。しかも武豊騎手が跨って、調教パターンを変えており、前走の着差を逆転すべく、調教に負荷をかけています。それだけに最終追い切りがどんな内容になるのか。これをかなり楽しみにしていました。

 しかし、内容としては坂路でキャノンストームを追走して先着。時計は4F53.9秒と遅くなりました。前走時との比較で数字が遅くなっているのは、馬場差もあると思います。それでも前走時より速い数字になってくることを想定していただけに、この程度にとどめたのかという感じ。もちろん上位争いできる馬であることは間違いないと思いますが、前走から逆転できるほどの調教変化はないといってよいでしょう。

エアスピネル(4月12日撮影)

前走から逆転できるほどの調教変化はないといってよいエアスピネル(4月12日撮影)



【アンタレスS/アウォーディー】

 坂路での追い切りが多い松永幹夫厩舎にあって、この馬はストライドが大きいこともあって、CWでの追い切りが中心。あまり機敏な動きをする馬ではないので、見た目には評価しにくい部分がある馬ですが、13日の併せ馬に関しては、それなりに見せてくれました。

 ピオネロを追走する内容でしたが、前半が少し遅め。その分というわけではないのでしょうが、後半がしっかりペースアップして、最後の1Fは12.1秒の伸び。JRA重賞はシリウスS以来になりますが、当時の最終追い切りよりも動いたという印象がある動きですから、まだまだここから強くなっていく、そんな感じがします。

アウォーディー(4月13日撮影)

まだまだここから強くなっていく、そんな感じがするアウォーディー(左内4月13日撮影)



【アンタレスS/アスカノロマン】

 東海S1着時に◎を打ったことで、この馬の追い切りを完璧に把握できたというおごりから、前走時は評価を下げて大失敗。東京ダート1600mに対する適性もないだろうという先入観が無印という恥ずかしい予想にさせてしまいました。

 昨年は大敗したアンタレスSですが、今年はレース間隔もあけており、ちょっと違った結果が期待できそう。と思っていましたが、13日の最終追い切りはフェブラリーS時と比較しても、それ以上に地味な印象。当時と馬場差はあまり変わりないと思いますが、それでも平凡な伸びになんでだろうと思ったくらい。前走の反省があるので、追い切りの印象だけで評価を決めまいとは思っていましたが、それでも高い評価はできません。

アスカノロマン(4月13日撮影)

フェブラリーS時と比較しても、それ以上に地味な印象のアスカノロマン(4月13日撮影)



◆次走要注意

・4/9 阪神牝馬S【ミッキークイーン】(1人/2着)

 中間の追い切り過程を見ても、ゆったりとしていて、明らかにここを叩いての仕上げ。それでいながらも、鬼脚でスマートレイアーにクビ差迫るあたりは能力の違いを感じます。
 馬体重も430キロ台をキープできそうですし、古馬になって、より馬体が安定している今なら次走に向けて安心して調教できるはず。そうなれば、次は負けないでしょう。

[メモ登録用コメント] [ヴィクトリアM]標準併用なら勝ち負け

・4/10 桜花賞【メジャーエンブレム】(1人/4着)

 単勝1.5倍という支持を考えれば、馬券圏外になったことが惨敗ですが、スタート直後にあれだけ前へ前へと入られてしまっては仕方ないところ。
 それでも直線では見せ場はつくりかけました。あの一戦が距離延長のオークスへの大きな布石になりそうな気がしてなりません。

[メモ登録用コメント] [オークス]併用系統の調教タイプなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・中山GJ【サナシオン】
 馬券的妙味がないことは分かっていますが、前走を叩いて確実に良化していることを思うと、どうしてもここに取り上げておきたいと感じました。
 特に今回は5Fから時計を出す、少し違った形での最終追い切り。これで結果が出れば、アップトゥデイトが戻ってきても怖くないくらいの進化を見せるような気がします。
サナシオン(4月13日撮影)

どうしても取り上げておきたいと感じたサナシオン(4月13日撮影)

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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