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ダイヤモンドの加速装置は中山でも発動するか。ダイオウの加速装置はここでも通用するか。

  • 2016年04月14日(木) 12時00分


先週の桜花賞はオッズ視点で見ても、特異な桜花賞だった。
単勝1倍台の馬がいるのにも関わらず、3人気の単勝が5.0倍しかつかなかったからだ。

1人気 メジャーエンブレム 1.5
2人気 シンハライト    4.9
3人気 ジュエラー     5.0
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4人気 レッドアヴァンセ  22.0

単10倍以内に3頭しかいない桜花賞はけっこうあるけれど、単1倍台がいるのに3人気が5倍しかつかない桜花賞はめったにない。こういうときは、2人気から6倍以上つくことが多いのだ。

実際、1〜3人気の単オッズが1.5倍〜5.0倍の中で凝縮された桜花賞はこの10年で初めてだった。とはいえ、似た年はあった。ウオッカが2着に敗れて、ダイワスカーレットが1着した07年の桜花賞だ。しかも似ていたのは単オッズの配置だけでなく、レースの結末も似ていた。

1人気 ウオッカ 1.4
2人気 アストンマーチャン 5.2
3人気 ダイワスカーレット 5.9
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4人気 ショウナンタレント 34.7

結果は
1着 ダイワスカーレット 3人気
2着 ウオッカ      1人気
3着 カタマチボタン   7人気

先週の桜花賞は、
1着 ジュエラー     3人気
2着 シンハライト    2人気
3着 アットザシーサイド 6人気

どちらも3人気が勝って、2着も1人気、2人気、そして3着に伏兵が食い込んだ。
なるほど。3人気が強いけれど、3強で1・2・3独占はしないのだな。1頭は伏兵の割り込むスキが生まれるのだな。
貴重なサンプルが採集できた。

なんて思っていたら、今週の皐月賞は桜花賞以上にレアな3強レースになるかもしれないとのムードが漂っている。netkeiba.comの予想オッズからレアなスモークが立ちこめている。くんくん。いい匂いだ。

予想オッズでは
1人気 リオンディーズ   2.4
2人気 マカヒキ      2.9
3人気 サトノダイヤモンド 3.4
-------------------------
4人気 エアスピネル   11.3

1人気は1倍台ではないけれど、1人気が2倍台で、3人気が3倍台になるかもしれない。こんなに高い位置で上位3頭の人気が圧縮されそうな皐月賞を見たことない。

3強ケースはたびたびあった。けれど、ここまで高い位置で圧縮されるようなケースはなかった。あくまでも予想の段階だけれど、もし実オッズでもこうだったら、過去20年一度もなかった超レアケースとなる。

ただし、ここでもやっぱり似た年はあった。

15年
1人気 サトノクラウン 3.1
2人気 リアルスティール 3.8
3人気 ドゥラメンテ  4.6
-------------------------
4人気 キタサンブラック 9.7

13年
1人気 ロゴタイプ  3.7
2人気 エピファネイア 3.9
3人気 コディーノ  4.4
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4人気 カミノタサハラ 7.0

どちらも3強と言われたレースで、そのとおりに3強の単オッズも凝縮されていた。しかしそれでも1人気のオッズは3倍台で、3人気は4倍台だった。4人気の単オッズが10倍未満で、キタサンブラックやカミノタサハラにも支持が回ったからかもしれない。

しかし、今年は予想では4人気のエアスピネルの単勝が10倍以上つきそうなムード。伏兵馬の入り込むスキを許さないような様相だ。近年稀に見る、真の3強レースになるかもしれない。

一応15年、13年の結果は、

15年
1着 ドゥラメンテ   3人気
2着 リアルスティール 2人気
3着 キタサンブラック 4人気

13年
1着 ロゴタイプ    1人気
2着 エピファネイア  2人気
3着 コディーノ    3人気

伏兵の入り込むスキがない!あっても4人気まで!

15年の1人気サトノクラウンは4角で不利を受けての6着だった。そこを4人気のキタサンブラックが埋めた。13年の4着馬は4人気のカミノタサハラだった。1・2・3・4着までが人気どおりだった。そう、皐月賞の3強対決(3頭のオッズが接近遭遇している対決)は、桜花賞と違って、上位人気陣がほとんど崩れていないのがわかる。

今年の皐月賞はオッズ視点では今までにない3強レベルになりそう。
となると、ますます崩れを期待しにくいような…。
1・2・3人気で十分か?いや念のため4人気まで加えるか?

1人気 リオンディーズ   2.4
2人気 マカヒキ      2.9
3人気 サトノダイヤモンド 3.4
4人気 エアスピネル    11.3

キタサンブラックもカミノタサハラも単オッズは10倍を切っていた。3強とは認定されなかったけれど、3強のあとを追う馬としての存在感は放っていた。
エアスピネルは予想では11倍。理想は10倍を切ってくることだけど、予想5人気のマウントロブソンが19.2倍だから、エアスピネルは単独で4人気になるのは間違いなさそう。

つまり、エアスピネルを見切って、3人気まで買うか、エアスピネルを混ぜて、4人気まで買うか、そこが問われるのが今年の皐月賞の気がしてきた。

ならばカンタンだ!
3人気までなら、一番馬券が美味しいはずの(理屈どおりではないけど)、
3人気から1、2人気へ2連系馬券。
4人気までなら、
4人気から1・2・3人気へ3連系馬券。

3人気は予想ではサトノダイヤモンド。4人気はエアスピネル。

サトノダイヤモンドはきさらぎ賞から直行で、レベルの高い馬たちとのレース経験がなく心配されている馬だ。陣営も「目標はダービー」とずっと発言している。少々不安だ。この不安な気持ちが3人気ということだろう。

エアスピネルはリオンディーズに2回も完敗している。マカヒキにも負けた。大丈夫なんだろうか?でもサトノダイヤモンドとは対戦していない。サトノより強ければ3着はあるということだろう。

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皐月賞注目馬
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サトノダイヤモンドの加速装置

ルメールが某誌でこの馬のよさを「加速するときの脚」と語っていた。
なんかかっこいいな。
サイボーグ009みたいだ。

自分は009が加速装置を発動するときの「加速ぅ!」が大好き。無条件に好き。だからルメールの加速発言を読んで、これまた無条件にサトノダイヤモンドの加速が見たくなった。
そして(リップサービスではなく)本当にサトノダイヤモンドに加速装置が搭載されているというのなら、中山の皐月賞でこそ見たくなった。

中山2000はトリッキーなコースだから、競馬センスが大事だとよく言われる。
実際そのとおりかもしれないけれど、過去の1着馬を見ると、センスよく勝ってる馬ばかりでないことにも気づく。

去年のドゥラメンテの4角〜直線に向くときの加速(?)はすごかった。

ドゥラメンテ 14-13-11-7 1着

4年前のゴールドシップはいつの間にか最内から抜けてきたように見えたけれど、3角〜4角で加速(?)していた。

ゴールドシップ 17-18-17-6 1着

ヴィクトワールピサも向こう正面から押し上げるレースをしていた。

ヴィクトワールピサ 15-13-7-8 1着

この3頭に共通することは、皐月賞後もG1を勝っていたことだ。ここが一世一代の走りではなかった。

逆にセンスのいい(と思われるような)走りで、1着した馬はその後G1を勝てていない馬が多い。
アンライバルド、ロゴタイプ、イスラボニータ……。

サトノダイヤモンドは、大トビで中山より東京向きと言われている。それをセンスとは決めつけられないけれど、もしダービーを本気で狙える器と認識しているのならば、センスがなくても、それなりの結果は出せるはず。1着か、もしくは4着か。

サトノダイヤモンドは厳しい経験をしてないから、皐月賞では経験不足を露呈するとも言われている。自分もそう思う。陣営からも「目標はダービー」というコメントが出ている。桜花賞のメジャーエンブレム・ショックとも重なって、それが人気にも反映されているように思える。

ただそれゆえに1人気にならず、3人気になると言うのなら話は別だ。サトノダイヤモンドの加速装置が発動されて、加速する。そんなシーンを見てみたい。3人気ならば、その賭けにのっかる手はある。

ルメールには追い出すときに「カソクゥ!」と叫んで欲しいけれど、それはまた別の、いやどうでもいい話でございます。

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アドマイヤダイオウの加速装置

加速といえば、アドマイヤダイオウだろう。
Mデムーロ騎乗で、ここ2戦向こう正面で加速装置を発動させている。

梅花賞 7-6-1-1 1着
若葉S 6-1-2-2 1着

今回騎乗する福永騎手に友道師は「ミルコ君みたいに乗って」と注文をつけるのだろうか?

自分は福永騎手は同じようには乗らないと思っている。っていうか乗らない方が面白いと思っている。
梅花賞は出負けして、ペースもスローだったから、ああいう競馬になり、若葉Sは権利取りのかかったレースで、またしてもペースがスローだったから、ああいう競馬になったのではないか。いずれにせよ馬にはキツい競馬だったはずで、時計や着差以上の価値があるのではないか。

福永騎手は理論立てて競馬を組み立てているように感じるから、向こう正面から加速する競馬を良しとするとは思えない。またスタートの上手い騎手だから、先行するのなら最初から行くはず。

リオンディーズに新馬で0.7差もつけられたのは気になるけれど、2戦目にムーアがふつうに乗って、上がり1位で勝ったのを見ると、Mデムーロの競馬が必ずしも大正解とも思えない。

向こう正面からの加速といえば、最近ではゲッカコウだけど、フラワーCでは特に動かず流れに乗って、直線で加速して2着した。重賞のペースがそれを可能にしたのならば、G1皐月賞のペースがダイオウにもハマる可能性はある。ダイオウのまっとうな加速がどんなもんか興味津々だ。

福永騎手は、桜花賞ほど派手に人気薄を持ってくるわけではないけれど、皐月賞でも10年で5回掲示板にのっている。だから友道師には「ミルコ君みたいに乗って」というより、「エピファネイアみたいに乗って」「リアルスティールみたいに乗って」「メイショウレガーロみたいに乗って」と注文をつけて欲しい。おっと、これもまた別の、いや余計なお世話でございます。

というわけで、
皐月賞は、真の3強オッズが見られることを期待しつつ、馬券はサトノダイヤモンドの加速装置の発動とアドマイヤダイオウのまっとうな加速に注目したい。

エアスピネルに関しては4人気になりそうという理由だけで、取り上げてしまった。だから何に期待していいかよくわからない。なんだろう?センスか?そうだセンスだ。センスでサトノダイヤモンドに先着できれば3着はあるはず。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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