母は世界的な名牝系の出身
5歳の秋から一気にパワーアップし、目下ダートで3連勝中の6歳馬
アウォーディー(父ジャングルポケット)は、5歳秋に急速に強くなり、9番人気の札幌記念を制した勢いに乗って、14番人気の天皇賞・秋を勝ったヘヴンリーロマンス(父サンデーサイレンス)産駒。
1歳下の半妹になる5歳アムールブリエ(父スマートストライク)も、最初はとくに目立たなかったが、4歳後半から急速に強くなって、もう交流のダート重賞をエンプレス杯など4つも勝っている。帝王賞に挑戦するのではないかとされている。
ノースヒルズの前田オーナーは、最初はダート競馬をあまり評価しない時期もあったが、ヘヴンリーロマンスをアメリカに送り込み(アメリカで生まれてとどまっていたアウォーディーは、だから外国産馬扱い)、スマートストライクを配合して、アムールブリエ。そのあと世界最高額の種付け料を誇るタピットを付けて、見事ドバイで勝ってケンタッキーダービー挑戦が実現しそうなラニを生産している。
ヘヴンリーロマンスは、もともとUSA血統であると同時に、芝向きのスタミナ、成長力にすぐれる世界的な名牝系の出身。ゴールドアンドアイヴォリー、種牡馬サウスアトランティック、日本のシルクプリマドンナなどを送るナターシュカの牝系である。
根底に流れる底力あふれる血が、たまたまダート巧者として表面に出ている側面もあり、ヘヴンリーロマンスを起点とする素晴らしい牝系ファミリーが築かれると、活躍はダート戦に限定されない逸材も出現するはずである。
アウォーディーの今回は、
ローマンレジェンド、
クリソライトなどダート界のトップ級が相手だが、かつての実力馬は勢いを欠く死角があり、6歳とはいえ、いま本格化の時期を迎えているアウォーディーにとっては恵まれた組み合わせに映る。
阪神ダートは【2-0-0-0】。57キロなら4連勝のチャンスだ。地力をつけつつある5歳
ロワジャルダンと、アウォーディーと同じようにいま充実期に入っている
アスカノロマンが相手本線。穴馬にはコースが合いそうな
サンマルデュークを加えたい。オークス馬テンモンが代表する一族出身で、祖母の父はミスターシービー。5歳以降の3勝はなんと「16、15、12」番人気という武士沢騎手のお手馬である。