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本格化の時期を迎えた/アンタレスS

  • 2016年04月15日(金) 18時00分


母は世界的な名牝系の出身

 5歳の秋から一気にパワーアップし、目下ダートで3連勝中の6歳馬アウォーディー(父ジャングルポケット)は、5歳秋に急速に強くなり、9番人気の札幌記念を制した勢いに乗って、14番人気の天皇賞・秋を勝ったヘヴンリーロマンス(父サンデーサイレンス)産駒。

 1歳下の半妹になる5歳アムールブリエ(父スマートストライク)も、最初はとくに目立たなかったが、4歳後半から急速に強くなって、もう交流のダート重賞をエンプレス杯など4つも勝っている。帝王賞に挑戦するのではないかとされている。

 ノースヒルズの前田オーナーは、最初はダート競馬をあまり評価しない時期もあったが、ヘヴンリーロマンスをアメリカに送り込み(アメリカで生まれてとどまっていたアウォーディーは、だから外国産馬扱い)、スマートストライクを配合して、アムールブリエ。そのあと世界最高額の種付け料を誇るタピットを付けて、見事ドバイで勝ってケンタッキーダービー挑戦が実現しそうなラニを生産している。

 ヘヴンリーロマンスは、もともとUSA血統であると同時に、芝向きのスタミナ、成長力にすぐれる世界的な名牝系の出身。ゴールドアンドアイヴォリー、種牡馬サウスアトランティック、日本のシルクプリマドンナなどを送るナターシュカの牝系である。

 根底に流れる底力あふれる血が、たまたまダート巧者として表面に出ている側面もあり、ヘヴンリーロマンスを起点とする素晴らしい牝系ファミリーが築かれると、活躍はダート戦に限定されない逸材も出現するはずである。

 アウォーディーの今回は、ローマンレジェンドクリソライトなどダート界のトップ級が相手だが、かつての実力馬は勢いを欠く死角があり、6歳とはいえ、いま本格化の時期を迎えているアウォーディーにとっては恵まれた組み合わせに映る。

 阪神ダートは【2-0-0-0】。57キロなら4連勝のチャンスだ。地力をつけつつある5歳ロワジャルダンと、アウォーディーと同じようにいま充実期に入っているアスカノロマンが相手本線。穴馬にはコースが合いそうなサンマルデュークを加えたい。オークス馬テンモンが代表する一族出身で、祖母の父はミスターシービー。5歳以降の3勝はなんと「16、15、12」番人気という武士沢騎手のお手馬である。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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