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【涙の初重賞制覇】祖父・伊藤雄二 父・笹田和秀から受け継がれる競馬人魂 ――笹田知宏

  • 2016年04月26日(火) 18時01分
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▲遠回りしながらつかんだ栄冠 競馬界のサラブレッド笹田知宏騎手を直撃


競馬界のサラブレッドとも言うべき騎手が、デビュー5年目にして園田競馬で重賞初制覇を遂げた。笹田知宏、30歳。祖父は元調教師・伊藤雄二、父は調教師・笹田和秀。JRAの競馬学校中退から、ニュージーランドで騎手デビュー。120勝余りを挙げたのち、園田・姫路競馬でデビューした異色の経歴の持ち主だ。その良血ぶりとは裏腹に、順風満帆ではなかったこれまでの軌跡を辿った。(取材・文・写真:大恵陽子)


エアグルーヴの調教を見てから登校


 笹田知宏の家系図には、競馬界の歴史の一部が刻まれていると言っても過言ではない。

 祖父の伊藤雄二は、調教師としてウイニングチケットで日本ダービーを、またエアグルーヴでは牝馬として17年ぶりに天皇賞・秋を制した。

 母の淑(よし)は、女性としてJRA初の調教助手。現在、栗東トレセンだけで8名の女性調教助手が在籍するが、彼女たちの道を切り開いた人物だ。

 そして、父はエアスピネルを管理する笹田和秀。

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▲笹田和秀調教師 エリンコートで初GI制覇、現在はエアスピネルでクラシック戦線まっただ中(撮影:高橋正和)


 笹田が生まれた頃、父・和秀は伊藤雄二厩舎で調教助手をしていた。住まいは伊藤雄二厩舎の馬房に隣接する住居。寝ても覚めても馬を身近に感じられ、しかもその中には重賞で活躍する馬が何頭もいた。

「追い切りの日には、父が乗るエアグルーヴの調教を見てから小学校に登校していました。馬のそばにずっといたくて、はじめは父と同じ仕事をしたかったんですが、エアグルーヴの活躍で主戦のユタカさん(武豊騎手)と接する機会が増えたんです。その中で、『カッコイイな〜』と憧れを抱くようになり、騎手を目指しました」

 競馬学校に入学し、尊敬する武豊を目指す夢のスタートラインに立ったかに思えた。しかし、約1年2か月でふりだしに戻った。

「自分の責任で競馬学校をクビになってしまいました。これからどうするか決めきれていなかったのですが、叔父がその頃ニュージーランドにいたので、自暴自棄になるくらいなら、気持ちを入れ替えるために一度行ってみようと思いました」

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