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ゴールドアクターは1人気と連勝ホースの壁を突破できるか?

  • 2016年04月28日(木) 12時00分


2連勝以上で臨む馬の成績はよくない。
この11年で馬券になったのはビッグゴールドの2着のみ。この馬の2連勝はオープンのレースだった。
大阪城S1着→大阪ハンブルクC1着→天皇賞春14人気2着

この11年にしたのはビッグゴールドの2着が11年前だったから。
この10年にしたら、1頭もいなくなる。
ディープインパクトも、有馬2着→阪神大賞典1着からの参戦で1着した。

すべてではないけど、中距離重賞を連勝してくる馬は、その距離こそが適距離だった可能性がある。
しかも、重賞を連勝すると人気になる。人気になると、3200を意識した競馬というより、いつもの競馬になりがちだ。いつもの競馬で2連勝以上していた馬がいつもとは違う競馬で負けたら、何を言われるかわからない。いつもの競馬では3200は勝てないと思っていても、人気が邪魔して思い切れないことも多いはずだ。

そして、みんな馬券圏内にも入れずに負けていく。いつもの競馬はいつもの距離で強い競馬だったというわけだ。
去年もそれを拠り所にして、2連勝で人気になっていたアドマイヤデウスをナイガシロにできた(結果3人気で15着)。

今年2連勝以上して、天皇賞春に臨むのはゴールドアクター(1頭のみ)。
しかもゴールドアクターは1人気にもなりそう。
ただでさえ、1人気にツラいレースなのに(1-0-1-8)、そこに「いつもの競馬」がかぶさってくる。

はたしてゴールドアクターは1人気を背負って、なおかつ、いつもの競馬で、天皇賞春に立ちふさがる壁を突破することができるのか?

この10年で2連勝以上して、天皇賞春に臨み、馬券圏内に入った馬はいないと書いた。以下は、2連勝以上で1人気になった馬たち。

13年のゴールドシップ  1人気5着 重賞4連勝
11年のトゥザグローリー 1人気13着 重賞2連勝
09年のアサクサキングス 1人気9着 重賞2連勝
07年のアイポッパー   1人気4着 重賞2連勝

ゴールドアクターは目下5連勝中で、重賞は3連勝中だ。
アルゼンチン共和国杯1人気1着
有馬記念 8人気1着
日経賞  2人気1着

連勝の濃さではG1を2勝(菊花賞・有馬)、G2を2勝(神戸新聞杯・阪神大賞典)していたゴールドシップに劣るとしても、連勝の勢いは上記した4頭より上だ。勢いで突破してしまうか?

だからもうちょっとさかのぼってみる。
過去10年のその向こうの10年も検索してみる。

02年のナリタトップロード 1人気3着 重賞2連勝
00年のテイエムオペラオー 1人気1着 重賞2連勝
99年のスペシャルウィーク 1人気1着 重賞2連勝

おっと、むしろ馬券にはなっている!
ゴールドアクターにはいい話か!?

ゴールドアクターは、テイエムオペラオー、スペシャルウィークなら勝てる。
ゴールドアクターは、ナリタトップロードならちょっと負ける(3着)。
うむ、実にいい話だ。

でも同時に怖さも感じてしまう。
「過去10年の傾向では負けるけれど、その向こうの10年の傾向では勝ち負けできる」とも言えてしまうからだ。
ここは気になる。馬場が違う。血統も違う。馬づくりの姿勢も違う。
過去10年で3分16秒を切るレースは9回あるけど、その向こうの10年で3分16秒を切ったことは2回しかない。3分15秒を切るレースは過去10年で6回あるけれど、その向こうの10年では1回しかない。

その向こうの10年では、連勝してレースに臨む馬を素直に信用できたけれど、今はその逆の傾向になって、危険な人気馬に化すとも言えるわけだ。ひぃ〜こわい〜!

勢いで突破するか、そして新しい10年の先陣を切るか?
そうはいっても、直近競馬の傾向どおり連勝で臨む馬には天皇賞春の3200はツラい距離なのか?

日経賞 2:36:8(良) この10年で9番目に速い時計(阪神2400の11年除く)
有馬記念 2:33:0(良) この10年で7番目に速い時計
アルゼンチン 2:34:0(重) この10年で10番目に速い時計

時計がかかるレースで強いような感じだ。やっぱり、その向こうの10年なら勝てるタイプに思えてくる。
京都ではレコードの出た菊花賞で3着しているけれど、1着、2着馬には0.7秒、0.6秒も引き離されている。時計の速い競馬がベストとは言えなさそうだ。しかもそこで先着を許した2頭が今回も出走する。

日経賞で58キロを背負い、56キロのサウンズオブアースをねじ伏せた競馬は強かったし、自信にもなっただろう。今回はキタサンブラックを視界に捕え、力でねじ伏せるか?
でももし、時計のかかる馬場で速い上がりを使えるタイプだとしたら、どうだろう?高速と言われる京都の3200でも同じように速い上がりが使えるのだろうか?

菊花賞で負けた2頭、トーホウジャッカル、サウンズオブアースより成長度も勢いも上に思えるけれど、速い時計で勝ってるわけではないので、そこは心配だ。いや、1人気じゃなければそんなに心配しないけれど、1人気なら話は別だ。

というわけで、自分は今年も1人気を心配することにした。キタサンブラックを有馬記念と同じように視界にとらえ、力でねじ伏せて、なおかつ突き放したら、脱帽して、敬服するまで。でも武の豊さんだって、なんも考えずにキタサンブラックを操縦するとは思えない。1人気のゴールドアクターを意識して競馬をするのではないか。

武の豊さんは、大阪杯で逃げて、アンビシャスにマークされて負けた。それゆえに今回はもう少しペースを上げてくるかもしれない。逃げると断定できないけれど、ペースが遅ければ、途中から自分でペースを上げるかもしれない。
一番面白いのは、菊花賞のような内ぴったりの先行競馬だ。ゴールドアクターより後ろにいたらさらに面白いけど、こればっかりは枠が発表されてからでないとなんとも言えない。ここはお楽しみとして、とっておこう。

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天皇賞春・注目馬
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キタサンブラックとゴールドアクターの攻防を楽しみにしつつ、
サトノノブレス
アルバート
フェイムゲーム
に注目している。

「天皇賞春は菊花賞で2、3着した馬にもやさしい」。

3着、2着したウインバリアシオンは菊花賞で2着だった。
2着したトーセンラーは菊花賞で3着だった。
1着したビートブラックは菊花賞で3着だった。
3着したナムラクレセントは菊花賞で3着だった。
2着したアルナスラインは菊花賞で2着だった。

今年は菊花賞で2着、3着した馬が3頭出走する。
14年菊花賞2着サウンズオブアース
14年菊花賞3着ゴールドアクター
13年菊花賞2着サトノノブレス

菊花賞1着馬が2頭(キタサンブラック、トーホウジャッカル)いるから、全部合わせると、5頭となる。
その5頭を予想だけど、人気順に並べるとこうなる。

1人気 ゴールドアクター
2人気 キタサンブラック
4人気 サウンズオブアース
6人気 トーホウジャッカル
11人気 サトノノブレス

一番人気のないのはサトノノブレスだ。
これだけでそそられる。

サトノノブレスは4歳の天皇賞春に出走して、6人気で8着に負けた。0.5秒差だった。
ナムラクレセントは5歳の天皇賞春に出走して4着だったけど、着差は1.1秒もあった。しかし翌年、0.3秒差で3着した。サトノノブレスの0.5差など気にする必要はない。むしろ、逃げて、よくぞ0.5差に粘ったと思うくらいだ。

今回は和田が乗る。ナムラクレセントを菊花賞と天皇賞春で3着させた騎手だ(天皇賞春4着は小牧)。勝つのは難しくても3着なら期待は持てる。

サトノノブレスを注目したい理由は、もう一つある。

「前2走を58キロ以上で出走していた馬は、けっこう頑張る」

去年1着した2人気ゴールドシップ、一昨年1着した4人気フェノーメノは、それぞれただ1頭の該当馬だった。
5年前に18人気で5着したトウカイトリックも該当馬だった。
6年前に2着した4人気マイネルキッツも該当馬だった。
4年前の5人気ヒルノダムールと、5年前の2人気ローズキングダムがどちらも11着に負けているから、そんなに威張れたもんではないけど、人気がないなら一考したくなる。

今年該当するのはサトノノブレスただ1頭。

2走前・日経新春杯 ハンデ58 3着
前走・中日新聞杯 ハンデ58 1着

上記した馬と違うのは、ハンデ戦で58キロだったことだ。しかもどちらもトップハンデだった。
ハンデ戦の成績は軽んじられがちだけど、2戦ともに58キロのトップハンデで踏ん張り、なおかつ今回人気がないのならば、上げ材料として扱いたくなる。

池江厩舎がトップハンデでも出走させたのには、大厩舎ゆえの事情もあるだろうけど、それでも勝ち負けできる自信と、G1を見据えてのビジョンもあったのかもしれない。だとしたら、この異色のローテも納得だ。

菊花賞2着の実績と直近2走を58キロで踏ん張ってる実績、2つの理由から、人気がないことを大前提で、サトノノブレスに注目したい。

アルバートはルメールが2回目だから。名手は3回連続騎乗したら1回は馬券的結果を出す。ムーアは1回で結果を出す。ルメールは2回で結果を出す。と仮定してみた。

フェイムゲームは、前走のダイヤモンドSを470キロ(日本ベースで+14キロ)で、ハンデ58.5キロで2着した。これなら去年と同じような期待をしてもいいのではないか。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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