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天皇賞・春、有力馬の分析と「穴っぽいところで1頭」

  • 2016年04月29日(金) 18時00分


◆単純にデータ面で有利なのはキタサンブラック

 天皇賞春は、展開ひとつでスタミナ寄りになったり全く3200mの意味がなかったり、極端に触れるレース。ただ近年は極端に緩むラップは少なく、なんだかんだでスタミナ寄りの決着になると期待したい。

 単純にデータ面で有利なのは、キタサンブラックだ。最近は本番と距離差のある大阪杯組が実はいちばん安定しているし、前付けできる脚質。しかも絶好の1番枠を引いた。

 ただ、同馬の勝った菊花賞は極端な中緩みの競馬だったし、同馬自身もいつもより後ろに位置して外回りコース特有のイン突きを決めた。今回も同じように距離を意識して下げると、アタマまで届くことは難しくなる。また、本質的なスタミナ勝負になった場合に対応できるかも未知数だ。

 ゴールドアクターは連勝の勢いもあるし、血統のわりに決め手もある。なにより安定して先行しているのがこのレース向きだ。今回も枠については意識せずいつもの位置取りをしたい。

 この馬が負ける場合は超スタミナ決着になったケースで、菊花賞で実際に負けているトーホウジャッカルや、昨年の2着馬フェイムゲームあたりがこの馬にとっては強敵となる。

 シュヴァルグランは阪神大賞典の着差が着差だし、完全に本格化した印象。今回は超のつくGI級がいないので、初GIでも通用しやすい。

 問題は位置取りだろう。折り合い重視で控えていくタイプのジョッキーだが、理想は軽く捲り上げて4角5〜6番手。それより後ろだと、レースの傾向としてアタマまでは届きにくくなる。

 フェイムゲームは、昨年の2着がかなり内容のあるもの。展開を利したカレンミロティックと、力もスタミナもあるゴールドシップの間に割って入った、それも4角10番手から2着というのはかなり内容が濃い。オーストラリアで大敗してきた影響がどうかだが、前走を見る限りダメージもなさそうだし、2年連続の好走も十分にありうる。

 トーホウジャッカルは、ここで好走できなかったらもう好走することはないのではとさえ思う。消耗戦のレコード決着菊花賞を勝った馬だけに、キタサンブラックが嫌がるラップになることが好走の前提。自分も位置を取れるタイプだし、もし前がペースを落とすなら突いていくくらいの積極性が欲しい。枠は正直、もっと内が欲しかった。

 同馬の菊花賞で2着したのがサウンズオブアース。そう考えるとスタミナ寄りの決着で荒れたときにはこの馬の出番がありそう。ただ今回は15番枠。また藤岡佑騎手が乗った神戸新聞杯の内容を考えると差し構えになるかもしれない。そうなると、突き抜けまでは考えにくい。勝つためには、どこかで腹をくくった捲りを打つのがよいと思う。

 アルバートはステイヤーズSを勝っていて長距離実績はあるのだが、そのレースも1000万・準オープン勝ち時も、すべて3着まで差し決着の競馬。天皇賞春は前にいる穴馬が残りやすいだけに、この馬の形がハマるかどうかが問題だ。

 穴っぽいところで1頭挙げるならトゥインクル。ステイゴールド産駒で内枠。ただ先行タイプではないので、捲るにしても好枠を生かしづらい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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