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武豊&キタサンブラックをマーク/天皇賞・春

  • 2016年04月30日(土) 18時00分


内枠有利、外枠不利なのか

 枠順が発表されて人気の順位が微妙に変化し、かつ、分散したところがある。流れのカギを握ること必至のキタサンブラック(武豊騎手)が、最内の1番を引き、同じく人気のゴールドアクターは最外に近い17番を引いた。

 まず、内枠有利、外枠不利とされているが、本当だろうか。ただ単純に馬番別の成績を並べたものが多いが、毎年同じ頭数ではない。「外の18番、17番の好走馬が少ない」のは当たり前で、1番や2番とは、長い歴史の中では、数倍どころか、10倍以上も出走馬の数が異なる。

 G1の格付けになり、18頭立てで行なわれたのは1984年以降、たった13回。回数が少ないのでデータは成立しないが、おおざっぱに内寄りの馬番(1-9番)、外寄りの馬番(10-18)に2分すると、

  ▽内寄り【9-3-6-99】
  ▽外寄り【4-10-7-96】

 だった。勝ち馬は9番以内に多いが、2着は外の方が多く、3着は同じくらい。たった13回のことなので判断できないが、言われるほど内枠有利でも、外枠不利でもない。似たようなものであり、実際に馬券に関係した馬は外寄りの方が多いのだから、枠順の有利不利は、特殊な脚質の馬以外さして関係しない。

 最大のポイントは、ペースのカギを握るだろうキタサンブラック(武豊)が、最内を引いたこと。外寄りならペースメーカーになるのを嫌って、また、京都の3200mの流れに自信のない人馬を幻惑するためにも、控える手が考えられたが、この枠順なら2-3番手。あるいは、自分で主導権を握る可能性も少し生じ、事実上の流れを作る主導は、武豊の可能性が高くなった。

 天皇賞男とされる武豊騎手は、天皇賞・春は【6-6-4-7】。すごい成績である。しかし、先行型のメジロマックイーンの連勝も含め、武豊は3200mの天皇賞・春でハナを切ったことも、前半から2番手にいたことがないのである。中距離と区別している。

 なぜか。スローペースを作るとか、平均ラップを踏むとか、そういう問題ではない。圧倒的な実力馬であっても、3200mをずっと後続の目標になりつつリードする形は、きわめて危険。それでなくとも天皇賞に断然の良績を残しているから、マークされること必至。ハナを切ってはみんなにリズムを合わされてしまう。中距離戦と違って、2マイルでハナを切るのは主導権を握るのではなく、格好のペースメーカーであり、負けたら単なるトップ引きになりかねない。

 仮にハナを切るにせよ、2-3番手にせよ、過去12回も連対する武豊の3200mの体内時計は、前半の1600m通過「1分38秒0台」か、それ以上にありそうに思える。これだと、後半1600mを1分37秒台で乗りきれば、現在、ふつうのレベルなら勝ち負けの「3分15秒台」が可能。後半を1分36秒台にペースアップできる能力があるなら、勝ち負け必至の「3分14秒台」にできる。ただし、前半にスタミナロスがあると、後半が計算できない。だから、後続にリズムを与えてしまう先導は、相手の能力を引き出してしまう点でも、危険なのである。

 内枠ゆえ、事実上の主導権を握らざるをえなくなった武豊=キタサンブラックをマークできる馬を探したい。力を出し切って勝てるなら、天皇賞・春は難しくない。プラスアルファを求めたい。そのときに、武豊を徹底マークする乗り方は有効である。かつて、日本のビッグレースを再三制したO.ペリエ騎手のように。

 外枠だが、かからないゴールドアクターは有馬記念と同様に、スタートで気合をつけて好位に付けたい。あとはキタサンブラック(武豊)を射程に、リズムを合わせればいい。

 人気薄での魅力は、58キロに慣れているサトノノブレスフェイムゲームか。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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