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NHKマイルCで「かなりの魅力を感じる」1頭

  • 2016年05月06日(金) 18時00分


◆メジャーエンブレムは逃げ確定ではない?

 オークスではなく、NHKマイルCを選択してきたメジャーエンブレム。ノーザンファームの距離適性把握はある程度正確だろうし、ラップの起伏が得意でない馬が2400mを走るのは大変なことでもある。合理性のある選択だと思う。

 ただここへ来てシゲルノコギリザメが抽選を突破し、シュウジが1番枠を引いたことで逃げ確定とは言えない状況になってきた。

 こういった馬たちにハナを譲るようだと、メジャーエンブレムにはまたリスクが出てくる。前走の敗因は位置取りだけではなく、位置取り+ラップだ。ハナへ立ったあとペースを落とすタイプの馬を先に行かせると、大敗はないにしても惜敗の可能性は出てくる。今回は2枠4番という絶好枠を引いたわけだし、有無を言わせず逃げてクイーンCのような競馬を目指すのではないだろうか。仮にそれで負けたとしても、他馬のペースで負けるよりは悔いが残らない。

 ロードクエストは皐月賞からの転戦組で、昨年のクラリティスカイに形としては似ている。ただこの馬の場合はスタートに不安もあり、道中位置はおそらくかなり後ろ。距離短縮を考えるとなおさらだ。そこから一気に差し切れるかと考えるとアタマ付けの馬券は買いづらい。良い要素としては、東京→新潟と圧勝した左回りだが、それを生かしてどこまで上位に食い込めるか。

 イモータルはディーマジェスティが皐月賞を勝ったことで共同通信杯2着が評価されつつある。こちらは道中位置もある程度とれるし、マイルの競馬はもちろん大丈夫。自在性を生かしての好走があると見る。ただ、皐月賞は展開も左右していたので、単純に「ディーマジェスティの2着だった」と評価されるのは、馬券的にはありがたくない面もある。

 ニュージーランドトロフィー組は4頭が出走。勝ってきたダンツプリウスに成績上の問題点はないが、両レースを連勝する馬はほとんどいない。馬券的に妙味があるのはむしろ負け組なのだが、ストーミーシーはもともと1200mにこだわっていた馬、エクラミレネールはクイーンCの結果を考えると過大な期待はかけづらい。この組ではレインボーラインが馬券的には一番狙い目なのではないかと思う。

 他にも脈のありそうな馬が多く、迷ってしまうのが今年のNHKマイルC。トウショウドラフタは3連勝の勢いがあるが、あまりに1400mに向いているところが今回は不安。しかも今回はサウジアラビアロイヤルCで先着された2頭がともに出走している。

 当時の勝ち馬ブレイブスマッシュは血統だけを見ると中長距離馬でもあり、1400→1600mはプラスだろう。横山典騎手が突いてくるコースがはまれば、穴になりうる。

 ティソーナは2戦目以降大崩れがないし、東京経験も豊富。ただ今回は同じノーザンファームで脚質的にバッティングしかねないメジャーエンブレムがいるので、どういう競馬をするか。鞍上が特に空気を読まず自分の競馬をして成功……という可能性はあるが。

 安定味ということでは、個人的にかなりの魅力を感じているのがアーバンキッド。位置取りが安定しているうえ、速い上がりにも対応できる。普通のペースでも馬券になりうるし、メジャーエンブレムが負けて大穴になるような展開だと、上位の一角にいるのはこの馬だと考える。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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