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盤石といえる馬は1頭も見当たらず!/ヴィクトリアマイル

  • 2016年05月11日(水) 18時00分

■ヴィクトリアマイル(G1・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録23頭


【コース総論】東京芝1600m Bコース使用

※今回は「Bコース」だけを集計対象としています

・コースの要所!

★人気馬が弱く人気薄が強いコース。とくに7〜12番人気の強さが目立つ。
★やや内枠有利の傾向も平均人気の差を考えれば当然。そう差はないはず。
★直線は長いが意外に差せない。後方に置かれると、その時点で期待薄か。






 先週に引き続き、今週のヴィクトリアマイルも東京芝1600m戦。ほとんど同じ内容を繰り返しても面白くないので、今週は「Bコース」で行われたレースだけを集計対象としている。コース全体の傾向も把握したいという場合には、先週分の内容を読み返していただければありがたい。

 まず目立っているのが、人気薄の猛烈な強さである。平均配当は、単勝1304円、馬連6582円、3連複11万5710円という高水準。昨年のヴィクトリアマイルが平均値を大きく押し上げているが、これを抜きにしても高いのだ。とくに活躍が目立っているのが7〜12番人気のゾーンで、その複勝率はトータルでも15%以上。逆に1番人気は連対率28.1%、複勝率37.5%と信頼度が低く、まったくアテにできない。

 次に枠番。データを見ると内枠有利&外枠不利と結論づけたくなるが、これは平均人気の差による部分が大きい。内枠や中枠と連対率で5%以上もの大差が出ていることから「外枠不利」の傾向にはあると思われるが、それでもおおむね人気どおりに走れているわけで、実際はそれほど差はないと考えられる。枠番値が優秀な馬番7〜12番の「センター」が、じつはもっとも優秀といえるのだ。

 脚質については、イメージよりもかなり前が強い。直線が長い東京芝だけにもっと差せそうなものだが、信頼度の面でも回収率の面でも、4コーナーを6番手以内で回った先行勢が優秀。4コーナー13番手以下のポジションからは、3着にくるのが精一杯という印象だ。逃げて馬券に絡んだ馬が多いのも特徴で、今週がBコース替わりのタイミングであるのを考えると、なおさら怖そう。前重視のスタンスでの取捨をオススメする。

【レース総論】ヴィクトリアマイル(G1) 過去10年

・レースの要所!

★人気馬から人気薄までまんべんなく好走。人気薄への警戒が怠れないレース。
★人気馬が多いが、馬番1〜6番はやはり好成績。先行勢の強さも目立っている。
★牡馬相手に重賞を使われてきた5歳以下が強い。ひとケタ着順なら文句なし。









 昨年は12番人気のケイアイエレガントが2着、逃げた18番人気のミナレットが3着で、3連単2000万馬券が飛び出したこのレース。1番人気は[3-2-0-5]と半数が馬券に絡んでいるものの、以下は人気サイドから超人気薄までまんべんなく好走しており、人気薄だからといって軽視は禁物。さすがに13番人気以下ともなると期待薄だが、12番人気以内馬については、どこが突っ込んできてもおかしくない。

 枠番は、一応は「やや内枠有利」と結論づけたい。平均人気の差が大きいので強くて当然ではあるのだが、複勝率でここまで大きな差が出ているとなると、話は別。このレースが創設されて以降、馬番1〜6番が絡まなかった年は一度もなく、2頭以上が馬券に絡んでいる年も4回ある。コースデータよりも内枠有利の傾向にあるのは間違いなく、内枠だけを少しプラスに評価するのが、もっとも適切と思われる。

 脚質別データでは、コースデータ同様に先行勢の強さが目立っている。連対馬の過半数が4コーナーを6番手以内で回っており、逃げた馬の複勝率が40.0%と非常に高いのも特徴的。また、差して好走している馬が人気サイドに大きく偏っているのも、見逃せないポイントといえそうだ。つまり、マークすべきは人気薄の先行勢。内枠からスッと前に行けそうな馬は、必ず押さえておきたい。

 次に年齢別。昨年は6歳以上馬によるワンツー決着だったが、過去の傾向からすると、これはかなりのレアケース。4歳馬が馬券に絡んだ馬の過半数を占めているように、5歳以下馬が圧倒的に強いレースである。あとは、前走で牡馬を相手に戦ってきた組が非常に強いのも、このレースの大きな特徴。過去10年の勝ち馬のうち、じつに7頭までがこの組だ。1着候補については、この点をとくに重視して選択すべきである。

【馬場&血統総論】



・現在の馬場
 Bコース替わり。再び前が圧倒的有利な馬場となる可能性があるので注意。

・天候予測
 天候が崩れるのは週明けになってから。日曜日までは好天が続きそうだ。

・注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ハーツクライ産駒○、フジキセキ産駒▲

 先週の土曜日は「差し馬が壊滅」といっても過言ではなかった、東京の芝コース。馬場の内から乾くのが大きく影響したのだろうが、あそこまで極端な結果になるとは思っていなかった。日曜日になって是正された印象だが、今週からのBコース替わりで、再び「スーパー前有利馬場」が出現する可能性アリ。この時期の東京は毎年そうだが、基本的には前有利と考えておいたほうがいい。

 種牡馬別では、39勝と圧倒的な勝ち星を誇るディープインパクト産駒が断然。ハーツクライ産駒も勝率12.8%と好成績だが、複勝率では約8%もの大差が出ている。それ以外で目立っているのは、フジキセキ産駒の強さ。もともと東京芝1600mの適性が高い種牡馬であり、やはり警戒は怠れない。ちょっと意外なのが、キングカメハメハ産駒の成績が伸び悩んでいること。評価を割り引くほどではないが、過剰評価は禁物だ。

★出走登録馬・総論×各論

 いわば「荒れる春のG1シリーズ・第3戦」である、ヴィクトリアマイル。ショウナンパンドラ、ミッキークイーン、ルージュバック、スマートレイアーなど、今年もなかなか面白そうな馬が揃った。昨年が昨年だけに今年も大波乱を期待するファンが多そうだが、現段階では「中波乱あたりを狙ったほうがよさそう」というのが、当データ分析からのジャッジである。

 トップ評価はショウナンパンドラだ。昨年のジャパンカップを制しており、久々だった前走の大阪杯でも3着に好走と、牡馬とも互角以上に張り合ってきたキャリアを誇る。今年の登録馬で3頭しかいない「前走重賞で牡馬と対戦してひとケタ着順の5歳以下馬」でもあり、上位に評価するべきなのは当然だ。ただし、末脚のキレるタイプでマイル戦実績に乏しいなど、ここは懸念材料もアリ。今年の春G1で存在感を大いに発揮している鞍上に、ひと押しを期待するとしよう。

 二番手評価にマジックタイム。前走で初重賞制覇と実績では見劣るが、牡馬相手にマイル重賞で好走してきたという臨戦過程は、高く評価できる。東京芝マイルという舞台はピッタリで、末脚はキレるがキレすぎず、ある程度の位置で流れに乗れるというのもプラス。この勢いで、一気に頂点まで突き抜ける可能性も十分にありそうだ。

 三番手評価にウリウリ。本質的にはマイラーではなくスプリンターだと思われるが、流れや立ち回り次第でマイルでもやれるはず。6歳以上馬であることなどマイナスの材料も抱えているが、それを補ってあまりあるプラス材料を有している。また、常に人気に推されてきた馬が、一気に人気を落としそうだというのもそそられるポイント。騎乗予定の三浦ジョッキーも、東京芝マイルは得意中の得意だ。

 四番手評価にシュンドルボン。こちらも前走の中山牝馬Sが初重賞制覇だが、2走前のエリザベス女王杯でもマリアライトから0秒2差の7着と、力を見せている。前走が牝馬限定戦であることを除けばマイナス材料はほとんど見当たらず、好位〜中団やや前で流れに乗れるタイプであるのも大きなプラス。決して侮れない存在といえる。

 五番手評価にミッキークイーン。1番人気に推されてもおかしくない馬で実績も十分ながら、前走が牝馬限定戦で2着というのは、このレースを「勝つ」のを目指す上ではもの足りない成績。マイルもこなすがベストは中距離のはずで、その能力は高く評価するも、2〜3着に惜敗するケースが十分に考えられる。ここを1着では買わないというスタンスで、買い目を構築したいところである。

 以下は、ウインプリメーラ、ルージュバック、スマートレイアー、レッツゴードンキ、ストレイトガールという評価順。もっとも、このあたりは大接戦で、内枠に入るか外枠を引くかによっても序列は入れ替わる。また、レース傾向からも、少しでも可能性がある馬ならば、拾っておいたほうがベターなはず。人気上位馬が懸念材料を抱えているのだから、なおさらだ。


■総論×各論・先週の馬券回顧




東京11レース NHKマイルカップ(G1)
1着 04メジャーエンブレム
2着 05ロードクエスト
3着 18レインボーライン

……(#^ω^)←かなり自信があったらしい
最終的な予想も◎アーバンキッドで、パドックでの気配も絶好。パドック派の友人もこぞって推してくる上に、土曜日が内伸び馬場という好条件。さらに、04メジャーエンブレムと10ダンツプリウスも気配良好ときたもんだ。コレが当たらなきゃ何が当たるというんだ! とばかりに買いましたよ。後厄に入ってからの馬券の当たらなさ、マジ怖い。

※コースデータは2010年、血統データは2013年、レースデータは2006年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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