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【女性騎手対談】藤田菜七子×赤見千尋(4)『みなさんに愛される騎手になりたい』

  • 2016年05月23日(月) 12時01分
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▲女性騎手対談の最終回。最後のテーマは「騎手・藤田菜七子を支えるもの」


女性騎手対談も今回が最終回。最後のテーマは「騎手・藤田菜七子を支えるもの」です。デビューから2か月ちょっとで、たくさんのことを経験した菜七子騎手。人知れずの苦労もあったでしょうが、笑顔で乗り越えてこられたのは、大事な存在があったから。言葉のひとつひとつから、菜七子騎手の飾らない真っすぐな素顔が見えてきます。(取材:赤見千尋)


(前回のつづき)

温かい先生と頼れる兄弟子に囲まれて


赤見 デビューしてこの2か月は、いろいろな競馬場に遠征して、メディアにもたくさん出演して、凝縮されてますね。

菜七子 そうですね。経験という意味では、同期に負けてないなと思っていますので、それをいかしていきたいです。

赤見 高知では、別府真衣騎手との女性騎手対決も実現しました。

菜七子 あの経験は、とても刺激になりました。それまで、女性ジョッキーと一緒に競馬に乗ることってなかったですし、多分これからも本当に少ないと思いますので。別府騎手は「本当に騎手なのかな!?」って思うぐらい可愛らしい方で、それでいて乗ったらすごくパワフルですし、かっこいいなと思います。

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▲高知競馬場で、別府騎手(左)根本調教師(中)と記念の3ショット(撮影:武田明彦)


赤見 あの日の高知は、1レースからたくさんのお客さんが来てましたね。赤岡騎手や別府騎手が、「菜七子ちゃん人気すごい!!」ってびっくりしてました。この時もそうでしたけど、1日の競馬が終わるたびに大きな記者会見があって。疲れているはずなのに、いつもきちんと対応してますよね。

菜七子 体力的なことは全然大丈夫なんです。ただ、勝ったときなら話せることもたくさんありますけど、大きく負けたときは答えられることがそんなにないので…。そういう時はちょっと困りました。

赤見 たしかに、どんな時でもコメントを求められますもんね。しかもその発言が、メディアに大きく取り上げられるので、難しさもあるんじゃないかなと。

菜七子 言葉選びには、やっぱり気を付けるようにしています。難しいところもありますが、こうやって取り上げていただけたり、注目していただけるのは本当にありがたいことです。

赤見 ものすごいカメラのフラッシュでしたよね。なかには取材が苦手な騎手もいますが、菜七子騎手は大丈夫ですか?

菜七子 得意とか苦手という以前に受けないと、と言いますか。根本先生の下にいたら、自然とそうなります(笑)。

赤見 たしかに(笑)。先生ご自身も、メディアには出てくださる方ですもんね。菜七子騎手をきっかけに、競馬以外のメディアでも競馬を取り上げてもらえるので、すごく大きなことだなと思います。なかなかないことですよね。

菜七子 あまりないですもんね。根本厩舎にいなかったら、こうはなってなかったと思います。周りの方からも「根本厩舎でよかったね」って言われますし、私自身も本当にそう思ってます。

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▲いつも温かい眼差しで菜七子騎手を見守る根本調教師


赤見 根本厩舎に行くというのはどういう経緯だったんですか?

菜七子 競馬学校の先生が所属先に決めてくださって。調教師さんというと、厳しい顔で腕組みしてるような怖いイメージだったんですけど、根本先生は全然そんなことなくて。明るくて優しくて、とても話しやすい先生だなっていうのが、第一印象です。赤見さんの師匠は、どんな方だったんですか?

赤見 わたしの先生も、弟子を温かく守ってくれるような方でした。多分そういう先生だからこそ、女性騎手をとってくれるんだと思います。そう考えると、厩舎ってすごく大事ですね。

菜七子 本当にそう思います。

赤見 弟子って、1人とるのも大変だと思うんですけど、根本先生は現役の弟子が3人(丸山元気騎手、野中悠太郎騎手)。先生がおっしゃるには、調教師の自分には言えないことも兄弟子になら話せるからって。そういう意図もあってのことなんですね。

菜七子 ありがたいですね。元気先輩は、いつもはふざけた感じなんですけど(笑)、馬乗りのことになるととても真剣でまじめですし、「もっとこうした方がいいよ」って、競馬の日でも平日でも丁寧に教えてくださるので、本当に勉強になります。

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▲2人の弟弟子を支える頼もしい存在!丸山元気騎手


赤見 野中騎手は菜七子騎手がデビューする時に、川崎のコースのことを調べてくれたそうですね。

菜七子 そうなんです。悠太郎先輩はめちゃめちゃ優しいです。年も1つ違いで近いので、話しやすいですしね。悠太郎先輩になら、細かいことまで聞けるといいますか。兄弟子がいるのは、本当に心強いです。

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▲菜七子騎手初勝利のプラカードを持つ野中悠太郎騎手


赤見 今の菜七子騎手の支えになっているものって、何ですか?

菜七子 厩舎の方々の存在ですね。根本先生、兄弟子、厩舎の方々。いつも競馬を見てくれていて、「この間は惜しかったね」とか声をかけてくださったり、元ジョッキーの助手さんもいるので「こういうときはこうした方がいいよ」ってアドバイスもくださいます。

赤見 騎手になってよかったですか?

菜七子 はい。それは本当によかったなと思います。

赤見 その言葉を聞けてよかったです!

菜七子 厩舎の方だけでなく、馬主さんや関係者のみなさん、ファンのみなさん、本当にたくさんの方に支えてもらっていますし、本当に感謝しています。

赤見 今の自分を客観的に見て、課題はありますか?

菜七子 レース映像を改めて見たりすると、「もっとこうすればよかったな」って思うことがたくさんありますし、出来てないことも多いので、それを減らしていきたいです。課題はたくさんあるんですけど、具体的に挙げるとしたら、追い方をもっともっとパワフルに変えていきたいなと。

赤見 でも、フォームがきれいですよね。

菜七子 いえいえ、全然そんなことはなくて…。フォームも、もっと力強い感じに変えていきたいです。わたしからも、質問していいですか? 7年間ジョッキーをされてきた赤見さんの教訓を教えていただきたいです。

赤見 教訓ですか? これはもう完全に実践していると思いますが、やっぱり周りの人に好かれることかな。

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▲先輩女性騎手の赤見千尋さんが、自身の経験からのアドバイスを!


菜七子 あぁ。やっぱりそうなんですね。

赤見 うん。そうしないと、この世界では生きていけないと思います。でも、菜七子騎手はデビュー前の厩舎実習のときから、すごく元気にあいさつしてくれたりして。「あー、菜七子ちゃんだ!」って、うれしかったです(笑)。

菜七子 本当ですか(笑)? やっぱり、あいさつはしっかりしようって意識しています。

赤見 それにしても、なんでそんなに謙虚でいられるんですか?! こんなに人気者なのに。

菜七子 全然そんなことはないんですけど(笑)。本当にたいした人間ではないですし、馬乗りだって同期の方が上手です。そんなわたしにこれだけ注目していただいて、ありがたいんです。これからも周りの人への感謝を忘れずに、1鞍1鞍大事に乗って、みなさんに愛されるような騎手になりたいなと思います。

(了)



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東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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