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面白いことを話してくれた池江調教師(吉田竜作)

  • 2016年05月24日(火) 18時00分


◆「距離が長いこともあるのか、走りも体も少し…」

 皐月賞で3強が敗れたことで、俄然混沌としてきた牡馬クラシック。“元祖”の3強の巻き返しがあるのか、それとも皐月賞馬が続いて戴冠となるのか、それとも…。少なくとも見る分にはここ何年かの中でも最高クラスのレースとなるのではないか。

 現時点で本命に推すつもりでいるのは皐月賞2着のマカヒキ。敗れはしたが、明らかに先につながる競馬だった。「もともと追い切りは古馬以上に動くのですが、全体的にしっかりしてきたというか。レースの後の回復のスピードが早くなりました」というのは担当の大江助手。確かに1週前追い切りも圧巻のひと言。新興勢力の一翼を担うのは京都新聞杯を勝ち、重賞タイトルを3に伸ばしたスマートオーディン。レース間隔が詰まるが、これは松田調教師にとっても承知のこと。「NHKマイルCを使っていれば勝っていたことでしょう。しかし、目標はあくまでダービーですから。長距離輸送でのロスを考えれば、キズナが取ったこのローテーションの方がいいと判断しました。間隔を詰めて使った方が結果も出ている馬ですし、ひと言で言えば順調にきていますよ」と目尻を下げる。こちらも1週前の併せ馬では抜群の瞬発力を披露。いかにも“切れ者”という走りを見せつけた。

 しかし、ここで面白いことを話してくれた人がいる。それがサトノダイヤモンドを擁する池江調教師。「ダービーというのは距離が長いこともあるのか、走りも体も少し頼りなさげなくらいの馬が走ることが多い」というのだ。同師が助手時代に携わったディープインパクト、3冠馬オルフェーヴルといった馬たちも、確かに見栄えがする馬体とは言いがたい。記者がかつて池江調教師に「この馬は面白いかも」と勧められてPOGで指名した馬にチャペルコンサート(02年オークス2着)がいるが、この馬も410キロ台の小兵だった。「マカヒキのような馬が勝つとなると、これからの調整方法から考えないといけない」とまでいうくらいだから、何か引っかかるものがあるのかもしれない。大舞台についての分析力に富むトレーナーがいう意見だけに耳を傾ける必要がある。

 多少逆説的な響きはあるが、「調教の動きが映える=ダービーを勝つ」ということではないのかもしれない。となると、攻め駆けするタイプのマカヒキやスマートは…? もっとも「同世代同士だからこなしても不思議ではないけど」と釘も刺されはしたのだが。ちなみに出走馬中最低体重、という可能性がある京都新聞杯2着のアグネスフォルテ。名門・長浜厩舎にとって最後のダービー出走となる馬だ。先代から続く「アグネス」ゆかりの血統が大一番で開花する…というのもドラマチックな結末と言えるかもしれない。

 POGフリークなら、現3歳世代よりも次週から始まる2歳馬の方に興味があることだろう。モンドキャンノは函館の1週目、芝1200メートルに戸崎騎手でデビュー予定。攻めも抜群で「短いところなら」と安田調教師も腕を撫している。中竹厩舎のホープフルスターも「これはかなり走ると思うんだけど」と自信を見せている。このあたりが函館2歳Sの中軸となるか。早くも安田調教師が「新潟2歳Sを」というのはマナープリンセス。中京デビューを視野に入れているのはディーパワンサ。「牧場でもかなり手ごたえを感じてくれているようです」と松下調教師。このあたりが即戦力候補としては有望だろう。

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