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3年ぶりの重賞制覇で波に乗る、丸山元気騎手を直撃!

  • 2016年05月24日(火) 18時00分
丸山元気騎手

3年ぶりに重賞を制した丸山元気騎手



ダンツプリウスに出会えて嬉しい反面、怖さも感じていますね

赤見:少し時間が経ってしまいましたが、ニュージーランドトロフィー制覇おめでとうございます!ダンツプリウスにとっては初重賞制覇、丸山騎手は久しぶりの重賞勝ちでしたね。

丸山:ありがとうございます。やっぱり重賞を勝つというのは大きいですね。素直に嬉しかったです。当日乗った時には、少し期間が開いていたので硬さが抜けていて、すごくいい状態でした。スタートも良くていいポジションで運べたし、内もキレイに開いて。勝つ時っていうのは何もかもが上手くいくんだなって思いました。

赤見:トライアルを勝ってNHKマイルカップに挑戦するというのは、ジョッキーとしても自信になったのでは?

丸山:そうですね。ここまで続けて乗せてもらってクセもわかっているし、相手なりに走れる馬なので自信を持って乗りました。スタートも良かったしいいポジションが取れたんですけど、前2頭が外へ外へ行く展開になってしまい、内から出られてしまいました。馬券圏内には絡みたかったんですけど、4着ということで悔しかったです。

赤見:ダンツプリウスとは昨年11月の福島(きんもくせい特別・500万条件)が初コンビでした。どんな印象でしたか?

丸山:未勝利を勝ったばかりで昇級戦だったんですけど、レースも乗りやすいし差のない2着にがんばってくれて、「500万くらいならばすぐに勝つな」という感じでした。ただ、正直『重賞で』というところまでは考えていなかったんです。中山のジュニアCの時も「上手くいったな」という感じで、先生も勝って驚いてましたし、よくがんばってくれたなという印象でした。

赤見:実際どの辺りから重賞でも戦える手応えを感じたんですか?

丸山:もともと気性的には大人っぽいというか、穏やかで大人しい馬なんです。体は少し硬い面があったんですけど、アーリントンCの頃からその硬さが抜けて来て、身長も伸びて来ました。なぜだかいつも接戦が多いんですけど、相手なりに一生懸命がんばってくれるし、勝負根性がすごいんですよね。

赤見:丸山騎手にとっても、この馬との出会いは大きかったんじゃないですか?

丸山:大きいですね。今のご時世、なかなか『お手馬』という風にはならないし、重賞やGIには乗るのも大変です。そんな中で乗せ続けてくれているオーナーや山内先生、関係者の方々には本当に感謝しています。NHKマイルであれだけ走ったんでね、上位のジョッキーたちもそれを見ているわけじゃないですか。自分の乗り馬がいない時には『乗れますよ』って営業して来るでしょうし、自分が乗り続けるためには結果を出し続けるしかないと思っています。だから、この馬に出会えて嬉しい反面、怖さも感じていますね。

丸山元気騎手

この馬に出会えて嬉しい反面、怖さも感じていますね(写真はNZT優勝時、撮影:下野 雄規)



赤見:現在は放牧に出ているそうですね。

丸山:ここまでけっこう使ってきたし、レースのたびにがんばってくれたので、いい休養になると思います。まだまだ成長途上の部分もあるので、休ませれば休ませるほど良くなるんじゃないかって思っています。どう成長して戻って来てくれるか楽しみですね。

赤見:今年はここまで16勝を挙げ、ここ何年かの勝ち星のペースを上回っていると思うんですけど。

丸山:重賞も勝たせてもらったし、いいペースで来ていると思います。目標は年間50勝なので、今年こそは達成したいですね。

赤見:1年目が8勝でしたが、2年目が大ブレイクで92勝しました。振り返っていかがですか?

丸山:2年目3年目は出来過ぎだったんです。自分の力というわけではなくて、本当に恵まれた結果でした。どうしてもそこと比較されるんですけど、ここ何年かの僕の成績が今の自分なんですよね。

赤見:若いうちに結果がでるとどうしても『それが当たり前』と感じてしまう部分もあると思うんですが、かなり冷静に受け止めてますね。

丸山:まぁでもいい時は人は寄ってきますよ。僕はこういう性格なので、周りは『浮かれてる』と取った方もいると思います。でも、勝っている時も負けてる時も性格は変わらないので(笑)。いい時の波が去って、寄って来た人たちも去った中で、それでも僕を見捨てないでくれている人たちには本当に感謝しているし、恩返ししていきたいです。

赤見:浮き沈みの激しい世界ですもんね。

丸山:騎手になってみて、うちの親父(タマルファイターなどで活躍した、高崎所属の丸山候彦元騎手)が内心では僕に騎手をやって欲しくないと思っていた気持ちがよくわかりますね。もちろん、いいこともたくさんあって充実しているけれど、精神的にも肉体的にも追い詰められることが多いですから。ただ、そういう厳しい環境の中で、仲間ができて応援してくれる人がいてっていう、人と人のつながりの大切さを実感しています。

赤見:丸山騎手は根本厩舎所属ということで、藤田菜七子騎手の兄弟子になりますね。

丸山:デビュー前から人気が先行してかなり大変だったと思いますが、ここまでよくがんばってますよね。僕も兄弟子として、聞かれたことは何でも答えるようにしています。まだまだ伸びしろがあるので、これからは本人の努力次第です。何かあったら『どうせ女だから』と言われてしまう世界なので、それに負けたくないならがんばるしかないと思います。

赤見:では、今後の目標を教えて下さい。

丸山:1回大きなケガをしてからケガの辛さも実感したので、1年を通してケガなく乗ること。馬に乗れない時間というのは本当に歯がゆいし、もったいないですから。数字的には、たくさんの方に応援してもらっているので、年間50勝はしなきゃいけないと思っています。今年はいい流れで来ているので、このまま突き進みます!
丸山元気騎手

今年はいい流れで来ているので、このまま突き進みます!

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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