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2歳王者・リオンディーズの復権は? 最終追い切りでチェック!

  • 2016年05月25日(水) 18時00分


ヴァンキッシュランは「ケチのつけられない」調教

 先週は土日ともいつも以上にパドックでの講義が長く、すぐに日焼けしてしまいました。それと同時に感じることができたのは、この時期ならではのパドックの見方。どうしても発汗がきつくなってしまいますが、やっぱりレース前にボタボタとしたたるような汗をかいてしまってはスタミナをロスします。また、オークスのように多くのお客様が視線を注ぐパドックでは平常心を保つことが重要。

 そんな中、ひと際目立ったのが、シンハライトの落ち着きぶり。パドック入場の最初と1周、2周目だけはカメラマンが多い場所で気にする素振りを見せたものの、その後は堂々とした表情で周回し、返し馬でも抜群のフットワークでした。負けるとしたら、実力を発揮できない状況だけだろうと思っていましたが、そこも跳ねのけての勝利。

 桜花賞ではジュエラーに◎を打ちましたが、シンハライトの上昇度は栗東にいる時からヒシヒシと感じていました。それを継続しつつ、というか、むしろ東京競馬場への遠征をこなしてこの状態ですから、本当に芯の強い女の子なんだろうなって思います。陣営からも秋のG1で他のG1ホースとの対戦が楽しみだとコメントされていましたが、まさにその通り。それぞれがどんな夏を過ごして、秋の京都で激突するのか。今から楽しみでなりません。

 もちろん、楽しみといえば、今週の日本ダービー。マカヒキサトノダイヤモンドはnetkeiba.comでの予想単勝人気が1番、2番人気でしたので、最終追い切りは速報性を重視して、トレセンニュースで公開しました。記事を読んでいただければ、どちらも素晴らしい追い切りだったことはお分かりいただけると思います。

【日本ダービー/リオンディーズ】

 皐月賞では◎を打たせていただきましたが、その根拠は状態の良さ。素晴らしい状態が結局はハイペースと風の影響で5着という結果になったのではないでしょうか。それだけにこの中間はどのような仕上げにしてくるのか、非常に注目していましたが、ざっくり言えば、前走時と変わらないと思います。

 ただ、それは最終追い切りを見るまでの内容。これまで最終追い切りでは前方に併せ馬がいても、それに追いつくことはありませんでしたが、今回はシャケトラとドラゴンカップの併せ馬を真ん中から割っていく形。仕掛けられたこともあって、最後は最先着に見えました。6F86.2秒は遅い時計ですが、ラスト1Fは11.5秒。正直、最終追いを見るまではあまり気がない馬でしたが、この動きを見せられると道中馬群で我慢して、最後の直線は馬込みを割ってくるイメージができるだけに、ちょっと頭を悩ませています。

リオンディーズ(5月25日撮影)

最終追いを見てちょっと悩ませているリオンディーズ(5月25日撮影)



【日本ダービー/ヴァンキッシュラン】

 2歳5月に栗東へ入厩していた時から注目していて、POGでも推奨させてもらった馬ですが、当時と今では本当に体つきが変わってきました。それだけしっかりしてきたということですが、左回りだとどうも内にささるようなところがあるようですね。今回のような激戦になれば、これは相当なウィークポイントだと思いますが、状態に関しては申し分なし。

 最終追い切りはエキストラエンド、フルーキーという厩舎の大将格の胸を借りました。さすがに最後はエキストラエンドの手応えが優勢に見えましたが、それでもしっかりと走れていましたし、ローテーションが詰まっていても、これだけ攻めてきたということが評価できます。調教からケチをつけるところはなく、あとは本当に内にささる点だけ。

ヴァンキッシュラン(5月25日撮影)

これだけ攻めてきたということが評価できるヴァンキッシュラン(5月25日撮影)



【日本ダービー/スマートオーディン】

 他紙にも書いたことですが、最終追い切りが坂路でラスト1Fが最も速くなるラップを踏めば、不動の本命でした。ところが、最終追い切りはCW。確かにここ2走はそのパターンで結果を出しているので、決して悪いことではないのですが。最終追い切り場所がCWと聞いた時点でテンションが下がってしまったので、最終追い切りを見る時も複雑な心境でした。

 最終追い切りには戸崎圭太騎手が跨りましたが、最後は内から瞬発力を使って先着。確かに素晴らしい動きでした。ただ、これまでの最終追い切りは調教助手が跨って、外から追い抜く内容。確かに、過去2走、戸崎騎手が跨った追い切りでは内から抜いているので、そのパターンからは変化がないのですが、大外で一気に脚を使うような走りがベストだと思っているだけに…。最終追い切りが坂路でなかったことで、単にテンションが下がっていて、偏屈な眼で最終追いを判断している可能性はありますが(笑)、2連勝の最終追い切りとは少し違ったパターンになったことは事実です。

スマートオーディン(5月25日撮影)

2連勝の最終追い切りとは少し違ったパターンのスマートオーディン(5月25日撮影)



【日本ダービー/イモータル】

 当初からの予定通りだったとはいえ、NHKマイルCはレース間隔があいたことも敗因としてよいのではないでしょうか。この中間は中2週と間隔が詰まりますが、坂路で2本、そして最終追い切りをCWで併せ馬という、現状できるだけの追い切りを消化してきたという印象があります。

 最終追い切りには石川裕紀人騎手が跨っていましたが、エルリストンと終始馬体を合わせての道中。最後まで前に出ることはなく、同入のままでのゴールでしたが、動きは決して悪くありません。共同通信杯の最終追い切りがCWだったことを考えると、今回の追い切り場所はプラスにとってよいと思いますが、時計は当時よりもかなり遅め。ここまで含めると、簡単に前走以上という評価もできないところもあります。

イモータル(5月25日撮影)

動きは決して悪くないものの簡単に前走以上という評価もできないイモータル(5月25日撮影)



【日本ダービー/エアスピネル】

 最終追い切りの内容はほとんど前走と変わっていませんが、この中間の変化は5月11日と5月22日の追い切り。左回りとなるCWで6Fから時計を出しており、これは完璧に東京競馬場を意識した内容。特に22日は併せ馬を行っており、馬なりで同入という内容。時計的にも本当に素晴らしい内容だったと思います。

 前記の通り、最終追い切りで大きな変化がないのは安定の証拠。よって、個人的には左回りになった今回で枠順次第では立ち回りのうまさを活かして競馬することができれば、前走以上の着順を得ることはできるような気がしています。

エアスピネル(5月24日撮影)

立ち回りのうまさを活かすことができれば、前走以上の着順もあるエアスピネル(5月24日撮影)



◆次走要注意

・5/21 3歳未勝利【スカイムーヴァー】(4人/4着)

 パドックでは少し気負うようなところを見せていて、少々の発汗。もう少し落ち着いて歩くことができて、馬体もひと絞れあれば十分に勝ち負けできると思います。
 この厩舎ですから、今回の権利取りで中3週くらいのレース間隔をとって、追い切り本数の多い併用系統で仕上げてくれば。

[メモ登録用コメント] [芝]追い切り本数多い併用系統なら勝ち負け

・5/22 オークス【エンジェルフェイス】(3人/10着)

 パドックに出てきた時から気合十分、むしろ気持ちが前向きすぎたような印象も受けました。さすがC.ルメール騎手らしく、返し馬で落ち着かせていたので、折り合いを欠くようなところはなかったと思いますが、もっとリラックスできることが大舞台では必要でしょう。
 しかし、馬体はこのメンバーでも見劣り、というよりもトップクラス。秋になれば、もっと良くなってくるはず。

[メモ登録用コメント] [秋華賞]藤原英昭厩舎の勝負調教なら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・むらさき賞【サウンドアプローズ】
 4歳馬だけに、ここを勝たなくても来週から1000万下に下がることは承知の上。とにかく先週、今週と追い切りで見せるフットワークの軽さが素晴らしい。むしろ、ここを勝って、もう一度1600万下を走ればよいだけでは、なんて思ってしまいます。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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