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再度リオンが引っ張れば…プロディガルの奇跡はないか/トレセン発秘話

  • 2016年05月26日(木) 18時00分


◆横風は馬にとってかなりきつい

「あの日はバックストレッチの向かい風が強くて、逃げ馬にはかなり厳しい状況。加えて、コーナーで横風にアオられるというのも、実は馬にかなりきついんです。普通の状況なら今回こそ見直せると思いますよ」

 これは1回新潟4日目(5月8日)の未勝利戦にノボホウセイを送り出した際の尾関知人調教師の談話。実際、前走(4月17日)逃げて持ち時計より1秒7劣る時計で3着だった同馬が、次戦では先行して2着に1馬身半差の完勝。“知将”の分析力を再認識する一戦だったのだが…。トレーナーには申し訳ないが、当方がこの話を聞いて最も納得したのは、ノボホウセイの敗因ではない。“あの日”同じく果敢な先行策を取った皐月賞5着馬(4位入線)リオンディーズの敗因である。

 レースの4ハロン通過が45秒9。5ハロン目のラップが12秒5。流れが一瞬緩んだこの瞬間、2番手にいたリオンは先頭に並ぶ位置まで押し上げた。そして6ハロン目から逃げ馬が脱落。実質強烈な横風を目一杯受けてコーナーを回ったのはこの馬ということになる。やや強引に映った鞍上M.デムーロの積極策だが、それでもラスト100メートルまでの先頭はリオン。ミルコにとって計算外は5ハロン通過58秒4のペースではなく、実は強風の影響ではなかったか。そう思い直させる尾関師の発言だったのだ。

 実際そう考えると、リオンディーズの持久力は相当なもの。昨年のダービーは2分23秒2のレースレコードでドゥラメンテが完勝したが、同じくキンカメを父に持つリオンが再度引っ張るようなら…。昨年を更新するレコード決着も十分。こんなイメージも湧いてくる。数字を追えば、やはり皐月賞上位馬で仕方ない一戦?

 いや、あながちそうとも言い切れまい。

「オークスを力んで走ってしまったフロンテアクイーン(6着)と同様のことが、この馬にも言えるよな。道中もう少し軽くフワッと走れば、しまいの伸びが違うはずなんだ。ペースが流れれば、ハミにモタれて走ることもないと思うが…」

 これは青葉賞で4着に終わったプロディガルサン=国枝栄調教師の弁。少なくとも展開は師の願い通りに流れそうだし、皐月賞時のディーマジェスティよろしく、底を見せぬディープ産駒の一頭が同馬であるのも確かだ。皐月賞組の強さは百も承知。それでも金子真人オーナー“第3の馬”が起こす奇跡の可能性――それを週末までもう少し追ってみるつもりだ。(美浦の宴会野郎・山村隆司)

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