スマートフォン版へ

グランダム・ジャパンの不公平感

  • 2016年05月27日(金) 18時00分


◆南関東所属馬に有利な感じが否めない

 前回は高知生え抜きのディアマルコの活躍について取り上げた。グランダム・ジャパン3歳シーズンも残すところ最終戦の関東オークス(6月15日)だけとなって、優勝の可能性を残しているのは、39ポイントで1位のクラトイトイトイ、33ポイントで2位のディアマルコの2頭に絞られた。

 ディアマルコが優勝するには、関東オークスにクラトイトイトイが出走しない場合は4着以内、クラトイトイトイが出走した場合、ディアマルコは3着以内でクラトイトイトイに先着する必要がある。なかなかに高いハードルだ。とはいえディアマルコは関東オークスに出走しない場合でも、目下13ポイントで3位のモダンウーマン、リンダリンダのどちらかが関東オークスで優勝しないかぎり2位は確保される。高知の主催者からのリリースでは、ディアマルコは関東オークスの4日後に行われる地元の高知優駿への出走に前向きなようだ。

 そうなればなったで、高知優駿は興味深い対戦となる。5月22日の黒潮皐月賞を制したブラックビューティは、2歳重賞・金の鞍賞も制していた。その金の鞍賞で1番人気に支持されながら3着に敗れていたディアマルコにとっては、地元に戻っての高知優駿で雪辱なるかという対決の構図になるからだ。

 さて本題はここから。実は前回、グランダム・ジャパン(GDJ)のポイントなどのシステムについて指摘しようと思っていたら、ディアマルコの見事な逆転があったので、ネタがそっちに行ってしまった。

 GDJの現行のシステムは、遠征自体が少ない2歳シーズンは別として、3歳および古馬シーズンは、南関東所属馬に有利な感じが否めない。同時に、北陸・東海・近畿という広範囲な地域が同一地区として扱われるところの関係者からは、他場に遠征してもポイント区分★★のレースでは自地区の少ないポイントしか得られないという不満を耳にする。

 今回のGDJ3歳シーズンでいえば、優勝の可能性が高いクラトイトイトイについては、これはもう他地区でしか戦っていないわけだから、仮に優勝すれば文句のつけようのない見事な優勝だ。

 今回のGDJ3歳シーズンで、ここまで表彰対象の資格要件3つすべてを満たしている馬は8頭。そのうち、クラトイトイトイを含めると南関東所属馬が5頭と多数を占めている。これは、南関東牝馬3冠がすべてGDJ3歳シーズンの対象レースになっているためだ。つまり、南関東の3歳牝馬にとっては、特にGDJを目指さずとも、地元の3冠を目指していずれかで3着以内に入ればGDJの資格要件が満たされてしまう。また、得られるポイントが小さいとはいえ、南関東限定の東京プリンセス賞がGDJの対象レースになっているのは、それ以外の地区から見れば不公平と言わざるをえない。当初は2歳シーズンにも南関東限定戦(ローレル賞)があったが、今やGDJ全体で地区限定として残されているのは東京プリンセス賞だけだ。

 さらに古馬シーズンで見てみると、北陸・東海・近畿地区のレースは3戦あるが、それらの地区の所属馬にとってみれば得られるポイントが少ないレースが多いというデメリットになってしまう。対して南関東で設定されているレースは、スパーキングレディーC、レディスプレリュードというダートグレード(ポイント区分★★★)ゆえ、地元南関東勢にとってみれば、他地区からの遠征馬と同じポイントを得ることができる。これは3歳シーズンの関東オークスにもいえること。

 まとめてみると、不公平と思われる点は以下の2つ。

・北陸・東海・近畿地区の所属馬は広範囲のレースが自地区として扱われるため、他場への遠征のリスクを背負ったとしても少ないポイントしか得られないレースが多い。

・南関東にはポイント区分★★★(シーズン最終戦及びダートグレード競走)のレースが数多くあるため、地元のレースでも他地区からの遠征馬と同じポイントが得られる。

 解決策としては……

 (1)ポイント区分★★の自地区ポイントを廃止する(すべて現状の他地区ポイントとする)。

 (2)東京プリンセス賞を全国交流とする。もしくは対象レースから外す。

 (3)自地区・他地区のポイント差をなくす代わりに、資格要件に「他地区の対象レースに出走して3着(もしくは5着)以内」という要件を加える。

 ということで不公平感が少なくなると思うのだがどうだろう。

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング