“世界のマイル王”モーリスに注目が集まっている安田記念。しかし、打倒モーリスを目論む強力な2頭が！　それこそが、リアルスティールとサトノアラジン。この2頭には見逃せない共通点がある。キズナの活躍で一躍注目を集めた「ディープ×Storm Cat」という配合だ。仏GIを圧勝したエイシンヒカリをはじめ、ラキシス、アユサン、ヒラボクディープなど、重賞ウイナーを続々と輩出している。この配合の魅力、今回の安田記念でこそ狙いたい理由を、血統評論家の栗山求氏が徹底解説！

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「大レース向きの底力」と「ここ一番での強さ」

　ディープインパクトは今年、父サンデーサイレンスが打ち立てたある大記録を破るべく驀進している。

　種牡馬の年間重賞勝利記録は、これまで03年にサンデーサイレンスが樹立した「38勝」が最高だった。途中経過を調べてみると03年1月から5月末日までに「15勝」を挙げている。同じ時点で今年のディープインパクトはすでに18勝。海外の2勝を含めれば「20勝」に達する。父のキャリアハイを上回る史上最速のペースで重賞を勝ちまくっているのだ。

　ディープインパクト産駒は芝向きの瞬発力に優れ、1600〜2400mで最大の力を発揮する。統計を取ってみると、成功しやすい配合と失敗しやすい配合が見えてくる。「20勝」を母の父別に集計してみると、いちばん多いのはStorm Catの3勝。以下、フレンチデピュティ、Singspiel、ブライアンズタイム、ホワイトマズルが2勝ずつとなっている。

「ディープインパクト×Storm Cat」は、今年に限らず通算でもディープインパクト産駒の重賞勝利数ナンバーワン。その数「16勝」は2位以下を大きく引き離している。

　重賞ではなく単純に勝利数のみを比較しても、JRAだけで最多の70勝を挙げており、「ディープインパクト×フレンチデピュティ」の56勝、「ディープインパクト×トニービン」の55勝を大幅に上回る。

　つまり「ディープインパクト×Storm Cat」は、怪物種牡馬ディープインパクトの最も成功している配合、ということになる。