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安田記念は2強の存在と少頭数でどんどん切らなくてはいけない

  • 2016年06月03日(金) 18時00分


◆まずはモーリスをどう扱うか

 モーリスがいることで頭数も少なくなってしまった今年の安田記念。まずはそのモーリスをどう扱うかが問題だ。

 そのモーリスは東京競馬場調整だが、体調そのものは悪くないのではないかと思う。香港マイルのときにも状態が取りざたされたが、終わってみればなんの問題もなかった。

 心配があるとしたら、チャンピオンズマイルの前からコース調整しかできない物理的な環境が続いていることだが、それをどう見るか。基本的に情報発信しない厩舎なので、解釈はさらに難しい。あとはファンが賭ける額をどうするか、いっそ見するかなど対応していくしかない。

 リアルスティールは、このコースと相性の良いドバイターフからのローテに好感が持てる。より選手層の厚い中長距離路線を戦ってきたことはプラスになるはずで、唯一のテーマだった折り合いは調教を見る限り安心とまでは言えないが、距離短縮の一戦なのだから大丈夫と考えたい。

 サトノアラジンは前走の京王杯を勝って良血馬の本格化と期待されているが、個人的にはまだ多少疑っている。そもそも京王杯組はGI組や距離短縮組に対して分が悪いし、この馬自身の成績を振り返ると、同斤ならロゴタイプあたりと近い内容。もちろんそこからの上昇度というのは見込めるのだが、今回はファンが先に行ってしまっている感もある。

 イスラボニータはここ2走の成績が冴えないが、マイルに対応できることは証明済みだし、大阪杯からの距離短縮は2,3着要員としては好ましいもの。2強を逆転することは難しいかもしれないが、3着で馬券になる形は十分に期待できる。

 フィエロも有力な3着候補だ。ルメールのテン乗りも期待できるし、脚質的に2強に対し自分から仕掛けてはいけないところが、逆に大飛びのリスクを軽減させると見る。年齢的に衰えた感じはないし、昨年の安田記念やマイルCSだけ走れば3着候補にはなる。

 この頭数と2頭の抜けた人気だと、リスクを冒してでもどんどん馬を切っていかなくてはならない。ロサギガンティアは1400mにフィットしすぎてきたぶん、1600mでは一歩足りないと見る。コンテントメントは1400〜1600mタイプの馬で、どちらかというと1600〜1800mタイプの馬が強い安田記念では足りないと見る。そもそも、過去に好走した香港馬と比較した場合、番付の観点でもやや落ちる。

 逆に、3着候補に残したいのがロゴタイプ。逃げ馬不在の今回、初手をレッドアリオンあたりに行かせるとしても、2番手のこの馬が緩んだラップを避けに行くはず。そうしたほうが自身のためにもいいし、サトノアラジンあたりの決め手を封じるためにもよい。ただそうなるとモーリスだけでなくリアルスティールも競馬がしやすいので、この馬は3着ということになるだろう。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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