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力を出し切っての一騎打ちを制したダノンレジェンド/北海道スプリントC・門別

  • 2016年06月10日(金) 18時00分

(撮影:田中 哲実)



例年以上に2頭の能力が高かった

 人気の中心となった2頭、ダノンレジェンドは前走の東京スプリントが出遅れて3着、一方のノボバカラはかきつばた記念を勝ったとはいえスタートで後手を踏んで慣れない5番手あたりからの競馬だった。しかし今回、2頭ともに自分の理想的な形に持ち込むことができ、3コーナーから一騎打ちという見応えのある競馬となった。

 地元の桑村騎手が起用されたノボバカラが抜群のダッシュを見せると、内からアウヤンテプイが並びかけ、もともとスタートはそれほど速くはないダノンレジェンドも互角のスタートで外から並びかけてきた。3頭が併走しての前半600m通過は、雨で締まった馬場状態もあって34秒1というハイペース。アウヤンテプイはさすがにこのペースにはついていけず、最初の400mを過ぎたあたりで位置取りを下げた。ついていけなかった、というより、意識的についていかなかったのかもしれない。それで2頭の一騎打ちとなった。

 3、4コーナーでのコーナーワークで、インコースのノボバカラがわずかではあるもののリードしていたが、300mの直線一杯を使っての追い比べは、残り100mあたりで鼻面を合わせたダノンレジェンドがハナ差先着。一方、ノボバカラの桑村騎手にとっては中央の有力馬で巡ってきたチャンスだったが、大きなハナ差だった。ダノンレジェンドより1kg軽い57kg。それでも能力は十二分に引き出したと思う。

 2頭ともに後半600mの上りは35秒8。前半34秒1で飛ばした馬にその上りの脚を使われては、追走する馬が差し切るというのはさすがに無理。勝ちタイムの1分9秒9(2着馬も同タイム)は、2010年のこのレースで勝ったミリオンディスクのレコードにコンマ3秒と迫るもの。湿った時計の出る馬場だったとはいえ、1分10秒台どころか、1分11秒を切ったのもその2010年以来という速いタイムでの決着だった。

 ちなみに過去3年を見ると、前半600mの通過タイムが2013年は34秒2で、2014年は33秒8。この2回は、ハイペースで飛ばした逃げ馬がいずれも6着以下に沈み、勝ったのは3、4コーナーで中団に位置していた馬。そして昨年はといえば、前半34秒8という平均的なペースで逃げたのがシゲルカガで、そのまま逃げ切っている。それを考えると今年の前半34秒1というのは逃げ馬がつぶれてもおかしくないペースで、それを2頭ともが後続を寄せ付けなかったのだから、例年以上に2頭の能力が高かったといえそうだ。

 4馬身離されたとはいえ3着に入ったスノードラゴンは、6番手あたりを追走して、前にいたレーザーバレットを直線で交わしてという競馬が59kgを背負ってのものなら好走といっていいだろう。過去にもJBCスプリントを制し、その後59kgや60kgを背負わされて勝つことが難しくなった馬に、サマーウインド、タイセイレジェンド(58kgで東京盃は勝っている)、ドリームバレンチノなどがいるように、スノードラゴンも引き続きGIII/JpnIIIでは負担重量に悩まされることになりそうだ。

 4着に入ったのが、中団よりうしろを追走してメンバー中最速の35秒5で上がったクリーンエコロジー。地元同士だと1200mでも掛かって直線失速ということがあるが、中央のオープンを経験しているように、ある程度速いペースで流れたほうが力を発揮できるのかもしれない。

 前回に続いてブリンカーをつけて臨んだレーザーバレットは積極的に5番手を追走したが、直線でうしろからスノードラゴンとクリーンエコロジーに交わされて5着。今のこの馬にコーナー2つの1200mはちょっと忙しい。

 地元期待のアウヤンテプイは6着。それでも走破タイムは1分11秒9で、自身のタイムでは走っている。今回はいかにも勝ちタイムが速すぎた。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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