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国枝師が記者にポツリ…「ここはトレセンだよな」/トレセン発秘話

  • 2016年06月23日(木) 18時00分


◆押し寄せる外圧の波

「オマエ、これを見てどう思う?」

 全休明けの火曜(21日)、美浦南スタンドで、国枝栄調教師がやぶから棒に声を掛けてきた。調教師数人がいるだけで、閑散とする2階席。普段と何ら変わらない光景がそこに広がっている。質問の意味が分からず返答に窮していると「ここはトレセンだよな」と師。その時ようやく言葉の意味がボンクラ記者にものみ込めた。

 実際、大半のトレーナーが予定調和のごとく取っている行動様式。それが毎週月、火曜の牧場巡りである。実際に預託された馬を見ることもあれば、当歳馬を視察し預託を請う場合もある。調教師にとっては重要な作業のひとつだ。しかし1年を通じて常に閑古鳥が鳴く火曜の調教スタンド。そこに最前線基地たる活気はない。対照的に全休明けでイレ込む若駒の放馬シーンが、むなしいエネルギーの発散を感じさせる。

「牧場との顔つなぎも必要だろうって?バカ言うな。管理する馬を見るのが本来の調教師の仕事だろ。もはや本末転倒しちゃってるんだよ」

 国枝師が指摘する通り、トレセンの空洞化は確実に進んでいるのだろう。馬の入れ替えは牧場主導、入キュウ10日の競馬は当たり前。日進月歩でグレードアップする外キュウ施設とは対照的に、いまだにトレセンの時間だけが妙にゆっくり流れている。もはやキュウ舎が牧場の下請け業になり下がろうかという瀬戸際にありながらだ。

「内キュウ制をうたうJRAにとっても由々しき事態のはずだが、今後はトレセンの馬房数を削減する方針ってんだからな。外キュウ制に拍車をかける施策としか思えない」

 戸崎圭→ルメール→M.デムーロ。現状のリーディング争いは競馬学校の存在意義を危うくするものだろうが、問題は騎手だけにとどまらない。やがて外圧の波は調教師、スタッフを含めたキュウ舎全体にも押し寄せよう。

 象徴的な出来事があった。昨年の2冠馬ドゥラメンテが宝塚記念においてはファン投票第6位。取材機会が限られたこの馬の順位こそが、実は“その瞬間”が来た時のファン心理を予言しているように当方には思えてならない。JRAの方向性、本当にこのままでいいのだろうか。(美浦の宴会野郎・山村隆司)

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2010年に創刊50周年を迎えた夕刊紙。競馬確定面「競馬トウスポ」(大阪スポーツは「競馬大スポ」、中京スポーツは「競馬中京スポ」)は便利な抜き取り16ページで、中身は東スポグループだからこその超充実ぶり。開催3場の全36レース(2場開催の場合は全24レース)の馬柱を完全掲載しています。

関東・舘林勲、大阪・松浪大樹の本紙予想のほか、記者による好評コラム(「一撃・山河浩、馬匠・渡辺薫など)、そして井崎脩五郎、爆笑問題の田中裕二、IK血統研など超豪華執筆陣の記事も読みごたえたっぷり。馬券作戦に役立つ情報が満載です。

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