◆消耗戦になってくれればチャンスが出てくる
2012年のセントウルSであのロードカナロアに土をつけたスプリント重賞2勝馬エピセアローム。その乗り味を「スーパーカーみたいだった」と担当の桑村助手は振り返る。馬場が良くても悪くても、ブレがなく、常に高性能の走りができる…そんな特性を持っていたからだろう。
現在、桑村助手が担当するタッチングスピーチも、馬場の悪化にうまく対応して、ブレずに安定した走りができる点ではエピセアロームとよく似ているという。
「かきこむような脚の使い方は一緒だね。体幹がしっかりしていて、どういう馬場になっても安定した走りをしてくれる」
重馬場で行われた今年初戦の京都記念。休み明けで牡馬相手という厳しい状況にもめげずに2着に奮闘したのは、この馬の精神力と馬場への適応能力のたまものだろう。今週の追い切りに乗った浜中もこう証言する。
「パワーがあるので、バリバリのスピード競馬より馬場が渋って力がいるコンディションになった方が向いているイメージ。消耗戦になってくれればチャンスが出てくる」
雨が続き、予報通りなら良馬場での開催は望めそうもない今年の宝塚記念。馬場が重くなれば、一瞬のキレよりタフな末脚で勝負するタッチングスピーチの出番がありそうだ。
「昨年のエリザベス女王杯(3着)が終わった時点で、今年の目標はこの宝塚記念だった。目黒記念(6着)以降が順調ってことに大きな意味はない。女王杯が終わってからここまで、順調にきていることに意味がある」とは桑村助手。
今年に入ってから常に牡馬相手に戦いを挑み、へこたれることなく、昨年からの目標のレースに出走してきたこの馬の頑張りに、思わず一票(印)を投じたくなる坂路野郎であった。(栗東の坂路野郎・高岡功)