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ニホンピロバロンの谷中厩務員と高田騎手にインタビュー!

  • 2016年06月28日(火) 18時00分
谷中厩務員

田所厩舎のニホンピロバロンと谷中厩務員



谷中厩務員「中山大障害をバロンなら狙える」

 7万人を超えるファンの中で競馬のオールスター戦、宝塚記念(GI・芝2200m)が行われました。最強と言われたドゥラメンテが悲運な結果となってしまいましたが栗東トレセンで経過観察されるということなので無事を祈りたいですね。

 勝ったマリアライトは438kgの小さな体で強い牡馬を完封!

 前が速くなる分、中団のポジションでジックリ待って、なかなか動けませんでした。道中一度も内へ入れませんでしたが、道悪を走らせなかった分、力の消耗が少なく済み、最後ひと伸びもふた伸びもしましたね。蛯名騎手の見事な手腕がさえましたね。

 蛯名騎手は、初の阪神競馬場で行われるGI完全制覇(桜花賞・宝塚記念・阪神JF・朝日杯FS)。素晴らしいと思いました。「おめでとうございます」と声をかけると「おー、つねちゃんありがとう」と言ってくれて嬉しかったです。

 話題いっぱいの春のGIも終わり夏本番…もお楽しみください。

***

 5月28日に行われた京都ハイジャンプ(GII・芝3930m)は、ニホンピロバロンが4連勝で重賞初制覇。田所厩舎の谷中厩務員さんと高田潤騎手にバロンの強さについてお聞きしました。

ニホンピロバロン

高田騎手の手綱で京都ハイジャンプを制したニホンピロバロン(C)netkeiba.com



常石 バロン強い競馬でしたね。「おめでとうございます」

谷中 ありがとうございます。直線に入ってから飛び出していきましたね。最後の直線に入る手前で先頭に立った時に勝ったと思った。気付いたら7馬身差をつけていましたね。

常石 障害の飛びはどんな感じですか?

谷中 障害を拒否することはなかったですね。だから障害レースが合っていると思います。若いころはかかるところがありましたけどね。

常石 障害レースの初勝利はどこでしたか?

谷中 東京競馬場です。

常石 東京は直線が長いので飛越力も必要ですが馬力も必要ですよね。そこで勝ったらタフな競馬ができますよね。益々楽しみです。

谷中 ありがとうございます。バテないですね。心肺がかなり強いんだと思います。東京ではゴール寸前に前をとらえたので、ハラハラドキドキしましたね。

常石 中山は、いつ勝ったんですか?

谷中 障害レース3戦目で、中山新春ジャンプSは最後で詰め寄られて心配しましたが、この馬の強さを感じましたね。レースごとに強くなっている感じがします。

常石 東京・中山・阪神で勝って、そして京都で初重賞制覇と徐々に力をつけてきていますよね。

谷中 どこの競馬場でも飛べるようになってきたのは頼もしいですよ。いつも前目のポジションで競馬をして安定して飛んでいる。すごくタフな馬で抑えきれないくらいの手ごたえですね。平場も走っていたんですが1000万で駄目だったんで障害に使うことにしました。昨年の秋でしたね。障害レースに転向してから6戦5勝しています。中山競馬場は2回勝っているんですよ。

常石 中山を経験しているのは大きいと思います。京都の3段跳びも難しいですよね。

谷中 高田騎手が京都競馬場でシッカリ練習してくれていましたので大丈夫だと思い安心して見ていましたが、やっぱり力が入りましたね。

常石 乗ってる騎手より見ているほうがハラハラするそうですよね。僕の時も中尾先生は、あまり見ていませんでしたね。息子さんの秀正先生がいつも一緒でした。

谷中 バロンは安定した走りをしているので自信はありましたね。飛越がとってもきれいで安定しているので見ごたえがあります。

常石 ジャンプが上手くなると自分から跳んでくれます。平場とは違った筋肉も付いてくるのでたくましさを感じますよね。

谷中 そうなんですよ。障害レースを始めたときより10kgくらい増え筋肉も付いてきました。中山でバンケットを飛越するのが上手いと思ったので中山大障害で力を出してほしいと思ってます。ジャンプすることに目覚めてよかったと思う。バロンの一番いいところを出してあげられます。

常石 大きな目標がありますね。年末楽しみにしています。ジャンプレースは、やればやるほど面白いですよね。他にも思い入れのある馬はいますか?

谷中 函館記念を3連覇したエリモハリアーですね。僕が初めて重賞勝利した馬なんですよ。栗東にいる時より函館にいる時のほうが元気がよかったですね。3歳未勝利を勝った時から僕の担当だったのですがよく走りましたね。他の馬が道悪で苦しんでいてもしっかり走っていました。

常石 暑い時は北海道がいいですよね(笑)。田所厩舎は札幌や函館競馬場での出走が多いですか?

谷中 多いほうですね。向こうで新馬戦に出走することもありますね。もう43年になるんですがこつこつやっていたらいいことありますよ。勝ったらうちの奥さんが喜んでくれます。やっぱり家族が喜ぶと嬉しいです。馬も元気なのが一番嬉しいです。勝つ前に元気で厩舎に戻ってきてほしいといつも願っています。やっぱり馬も人もみんな元気が一番いいね。

常石 僕もそう思います。「おはようございまーす」と声をかけるのが楽しみです。最後にバロンの魅力を教えてください。

谷中 中山大障害をバロンなら狙えると思ってます。騎手の指示に素直に動ける。障害を飛ぶのが好きなんだなと感じる。跳ぶスタイルがとってもきれいで流れるように飛越する。バロンの能力も高いけど高田騎手の手綱さばきも抜群なのでバロンも安心して任せられるんだと思います。プレッシャーもありますが楽しみのほうが大きいですね。放牧に行ってますがふっくらとして帰ってきてからジックリと仕上げていきます。応援してください。

常石 活躍楽しみにしています。

 長時間ありがとうございました。高田潤騎手にもお聞きしています。

高田騎手

高田騎手にもお話をお聞きしました



常石 潤騎手、バロン強かったね。おめでとうございます。

高田 常さん、僕のレースをちゃんと見てくれましたか?

常石 見たで。でも、えーっと、何番手でレース運んでたっけ…4番手くらい?

高田 惜しいなー、3番手でレースを運んで直線手前で先頭に立って、最後は7馬身差をつけて勝ったわ。東京・中山・阪神・京都競馬場で勝ってるからすごいわ。どんな馬場でもこなせるし跳びもうまい。

常石 中山競馬場で経験があるのはいいね。

高田 飛越も上手いから安心して乗れる。障害をよく見て飛んでいる。ちょっとなだめながらだったけど抜群の手応えで飛越してくれた。いつももっと後ろから行くんだけどメンバーと展開を考えて3番手につけた。いいポジションだったと思うよ。

常石 4連勝と安定してるよね。

高田 あの日のようなタフな競馬の経験も必要で、多少力みはあったけどよく辛抱してくれた。スタミナもジャンプ力もあるのでジャンプホースとして完成しつつあるけど、まだまだ伸びしろもあるので楽しみ。学習能力もあるから流れに左右されないね。

常石 中山競馬場で2戦2勝してるのはでっかいね。一番最初から手綱取ってる?

高田 最初からやらせてもらっています。

常石 癖も、良いも悪いも、全部分かって乗りこなせているのが魅力だね。楽しみにしています。ありがとうございました。

高田騎手

グリーンチャンネル・トレセンまるごと情報局の取材を受けている高田騎手



***

 夏競馬真っ盛りですが今の間にゆっくり放牧に出てリフレッシュし、中山大障害をじっくり見据えて秋から動き始めるバロンに期待しましょう。谷中さんも我が子のように優しいまなざしで接してかわいがっているのが印象的でした。

つねかつこと常石勝義でした。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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